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女神対女神

 私の名はサフィーラ。私とアデリアの戦いは一方的な展開になっていた。


 私の攻撃は全て防がれてアデリアは無傷。一方私はアデリアの攻撃を避けきれなかったり防ぎきれずに何回も食らい、かなりの傷を負っていた。

 神同士の戦いでは傷を回復術で治すのは不可能なので、このまま攻撃を受け続ければ致命的な攻撃を食らわなくても出血多量で死ぬことになる。その前に何とかしなければならない。


 アデリアには隙がない。

 私を格下だと侮って大技を使って一気に倒そうとすれば隙が生まれて勝ち目もあると思っていたけど、アデリアは隙の少ない技ばかりを使い、防御優先で慎重な戦い方を崩そうとはしない。

 アデリアに隙がないのなら、あの防御を貫くしかない。




「ライトニングアロー!」

 何度目かになる無数の光の矢が私を襲う。

 同じ技でもアデリアの放つ光の矢は威力が段違いだ。まともに防ぐことは不可能で、ホーリーシールドで受け流すか避けるしかない。

「アデリア! 私の全力攻撃を食らいなさい!」

 私はアデリアの攻撃を避けながら、右手に神力を集中させる。

「フン、貴様の全力とはその程度か」

 口ではそう馬鹿にしながらも、アデリアはカウンターを狙うようなリスクは犯さない。

「ホーリーウォール!」

 予想通り神力を使って全身を覆う防護障壁を展開する。

「敵を滅せよ! ジャッジメントインパクト!」

 巨大な光の玉をアデリアに投げつけるけど、それは簡単に防がれてしまう。


「なに?」


 受け止めたアデリアも違和感を覚えただろう。ジャッジメントインパクトなどと大層な名前を付けたけど、殆ど神力の使われていない目くらましなのだから。


「全てを貫け! ライトニングニードル!」


 本命はこっちだ。

 人差し指の先に凝縮させた私の全神力を小さな針として打ち出す。

「なっ・・・ぐあっ!」

 針はアデリアのホーリーウォールを突破し、アデリアの心臓を貫く。

 いくら神力の上回るアデリアでも、全身を覆い神力の分散された防護障壁では、私の全神力を使った針の一点突破は防ぎきれなかったのだ。

 アデリアは防御優先で戦っていたけど、それは私を警戒していたわけではなく、万が一にも自分が傷つきたくなかっただけだ。

 アデリアは自分の防御を私が破れるはずがないと、最初から私を見下していた。その結果、アデリアは私の攻撃を避けるという選択肢がなくなり、この勝利を生んだ。


「ぐっ・・・がはっ・・・」

 心臓から血を吹き出しながら、アデリアは地上へと落ちた。

 全神力を使い果たした私も、ゆっくりと地上へ降りる。

「こんな馬鹿な・・・私がっ・・・貴様なんかにっ・・・」

「その驕りが敗北に繋がったのよ。残念だったわね」

 小さな穴からは血が吹き出し続けている。人間のように心臓を貫かれても簡単には死なない神でも、このまま血を流し続ければ出血多量で死ぬ。

 回復術が効かない以上、もはやアデリアに打つ手はなかった。




 突然後ろから拍手が聞こえてくる。

「まさかそんな倒し方があるとは・・・流石は我が神、見事な勝利です」

 エルフ姿のユリシーズが拍手をしながら近付いてきた。

「何が見事な勝利だ・・・私を騙す姑息な手を使っただけではないか・・・正々堂々と戦えないとは、神の面汚しめ・・・」

「負け犬が何か言っていますね」

「貴様ぁ!」

 アデリアが最後の力を振り絞ってユリシーズを攻撃するけど、ユリシーズはそれを簡単に避けた。

「二度も同じ技を食らうほど、私はマヌケではないですよ」

「くっ・・・」

 アデリアが悔しそうにユリシーズを睨む。

「不愉快だ! さっさとトドメを刺せ!」

 こちらに視線を向けたアデリアを、私は冷静な目で見つめる。

「トドメは刺してあげないわ。アデリア、そのまま死ぬまで苦しみなさい。それがあなたの罪に対する罰よ」

「なっ・・・」

 アデリアが一瞬狼狽える。恐らく私は恐ろしく冷徹な顔をしていたのだろう。

「帰りましょう、ユリシーズ」

「はい、サフィーラ様」

 私達はアデリアに背を向けて歩き出した。

「ふざけるな! 私はアデリア教徒に信仰される神として当然のことをしただけだ! 罪など犯していない!」

 私にとっては重すぎる罪でも、彼女にとってはそうではない。

 アデリアに罪の意識を持たせるなど不可能だし、彼女が反省することなど期待していない。

 今はただ、マグナス王国民が受けた苦しみを少しでも味わうがいいと思っているだけだ。

 アデリアと話すことはもうない。私はアデリアを無視してその場を立ち去った。




 こうして私は全ての復讐を終えた。






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