表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結審  作者: 沱錙人形
1/1

終わりなき判決

2話


女性 内気


裁判官 赤 真面目




死の世界


挨拶


回想


過去


未来


帰宅 お見送り


ED









------------------------------------------




















私は幸せだったのだろうか
















---------------------------------------




「起きて、ねぇ起きて!」


懐かしい、心地よい声

私は夢を見ているのだろうか。 外は眩しく瞼を開けて見ると周り一面暗闇だった。






幼女「ここは.. 私夢を見てるの..」




確か女の子の声が聞こえてきたはず。 私はその声で目が覚めたのを思い出した。





赤「お姉さん大丈夫?寒くない?」




暗闇の奥から女の子の声が聞こえてきた。

一人? いや何人かいる.. こそこそとみんなで話している声。何故私はこんなに嫌悪感をしているのか。 あまり好きじゃない。 


嫌いなの。



幼女「だれ!? 誰かいるんでしょ!」


暗闇でも自分の身体が見えるのかさっぱりわからなかった。 



周りは真っ暗なのに声やその認識した物ははっきり見えるのだ。




自分の身体を見ると明らかに幼い、小学生くらいだろうか? 


分かる、分かるのに自分の過去の事を何一つ覚えていないのだ。






黒「なぁ〜私たち働きすぎじゃねーか?」



赤「あなたは何もしてないでしょ!」



白「皆さん、静かにしてください。」


緑「ははは〜」


青「ふぅ....」


黄色「..」






ふと意識をした瞬間に女の子達が現れた。

格好は裁判官の様な服を着ている。 みんな性格を色に溶け合わせたんじゃないの?と思わせるような少女達で柔らかい雰囲気を醸し出しながらこちらに一人歩いていてくる。




赤「お姉さん、こんにちは。(ニッコリ)」




私にはわかるこの笑顔は間違いない。 悪意のないそして愛情深い笑顔。


なんなのこの笑顔。  母親? いやお腹の中にいるような.... いったい......


.....








赤「ここに来て不安なのに何も説明しないでごめんね


今から説明するから安心してね。」



さっきから活発に喋っていた赤色の女の子が私の目の前に座って話し出した。







「ごほん。 あのね、貴方は16歳の冬。亡くなってしまうの。 私たちはギリギリだけど貴方を見つけてこの世界に連れてきたのね」






私ははっとした。

私の身体は明らかに小学生、多く見積もっても五年生くらいの幼い身体だった。



なのに何故亡くなったのは16歳なのだろう。 いや何で私はここにきたのだろう。




色々な考えで頭がパニックになってる様子を女の子が見て哀れむような目で見ている。






赤「そうね、色々わからない事がありすぎて頭がごちゃごちゃするよね..」



「おーい今度も俺が行くか〜」


「あれだけ言っておきながらねぇ..」



「勉強が足りません。」


「(笑)」





周りの似たような格好をした、しかし性格はどれも違う女の子達がガヤを入れる。




赤「五月蝿い! 集中できないから静かにしてもらえる?」





赤「あのね、この世界はずっとは入れないの。 お姉さんは選ばれたのね。 その一瞬の出来事が。




貴方は確かに死んだ。 そう16歳の冬にね。 それで私たちが来たの。


若い時に死んだ報われない魂の為に私たちが。」



赤「選んで欲しい。 亡くなった時にまた戻って生き抜くか。 もしくは一から生まれ変わって新しい人生を歩むか。」


















説明を聞くと若くして亡くなった人たち全員のもとへ行けてるのではないらしい。


今回は稀でこの子達も16歳という年齢はあの子達も初めてという事も。

私の死んだ世界、生き抜いた世界両方見えて、どういう結末になるかも





女の子「私は死んだのね。」



女の子「この世界ではこんなに幼いのにも何かしら理由があるのかしら?」


私は最初の疑問を嘆きかける。



赤「それは私たちは分からない。 ここにくる人達は知らないけど寿命までのどれかの身体で来るから。 きっと元気だったから..?」


元気な身体? 私はこの頃元気だったのだろうか..?


でもこの頃は楽しくていい思い出が沢山ある。夢もいつもみるんだ..






 この子達と話してると不思議な気分になってくる。 暖かい優しい気持ちに。 無くなっていた記憶も断片的に思い出してくるの。




赤「お姉さんどうする? すぐには決めれないと思うけど



それでも..。


















女の子「お願い私を殺して.. !! もう疲れたのこの人生には。」










私はずっと意見を言えなかった。 自分の考えがよく分からない、よく分からないから他人に指示されるほうが楽だしそれが私の生き方だった。




赤「うーん、お姉さん少し勘違いしてるけど私たちお姉さん殺せないよ? 

         

        だってもう死んでるし。」


静かな声で。



赤「でも私達には見せる事ができる。 貴方が死んだ理由、貴方が生き残った未来も だからそれを見て新しい人生を歩むなら手助けできるかもしれない。」


赤色の女の子が笑顔になる。 悪意のかけらもない優しく暖かな顔。 




女の子「私の死んだ理由なんてどうせ大した事ないよ。 私は周りに浮かない様に生きてきた。 出来るだけ目立たないように影でひっそりと」




そう私は周りに依存して期待して、それでも自分自身には何も期待しないで生きてきた。


それが私を守る方法だったから..












私をは.. 私を... だから....


---------------------------------









私は高校入試なんてどうでもよかった。


ただ私の家系は昔から保育士家系で姉二人達も専門の学科に進んでいるため私も仕事に就きやすい、そんな学校を選んでもらったにすぎない。


晴美「でも受かってよかったな..」


落ちたら大変だ、姉にはずっと馬鹿にされるし母親なんか大変だ.. 。ご飯も作ってくれなくなるかもしれない。


姉「でもよかったじゃない! 私と同じ学校だし、男も少ないからあんたには学びやすいかもよ?」




姉二人は私を馬鹿にしたような声で笑う。


もう慣れっこで何も思わない。その通りで私は男嫌いだった。


昔から苦手で話すだけでも左手が震えてしまう。 そんな自分が心底嫌だった。 


顔にも自信がないし人と話すのも苦手。


そんな私を誰が選んでくれるのだろう。



少し笑えてきた。


晴美「よ、よかったでも。 これで就職先も決まったものかな?」


姉「は?何言ってるの? 私達と同じように学校生活がうまくいったらって話でしょ?


中学校ほぼ不登校だったのに何が出来るのよ。 義務教育は終わったんだからね」







何を言っても褒めて貰えない。 だから私はただ頷くしかできなくなっていた。 それが楽だから。 私を守るただ一つの手段だった。







そんな祝福されていない私の学校生活は最悪だった。


朝学校に行ってただ周りの女性達に話を合わせるだけの生活。

授業が始まってもそれは終わらない。 黒板の問題を解くだけで誰が何を言うかわからないこの恐怖感。




私は目立たないように発言を抑えた。 相手にイラつかせない為に言葉を選んだ。 





相手..相手..相手....












そんな私に毎回悪意なく喋りかけてくれる人がいたの。 私に興味を持ってくれる優しい人が...


-----------------------


赤「お姉さん、学校生活大変そうだったね..」



女の子「ううん、私のせいだから」


私は静かに言った。 裁判官は急にびっくりしたように





赤「え? お姉さん何も悪いことしてないじゃない 何かしたの??」





びっくりした様子で私に話しかけてくる裁判官を見て私は慣れたように話す。




「私、人と話すの得意じゃなくて.. 。

     相手をすぐ怒らせてしまうの。 だから出来るだけ話さないように逃げて

目立たない様に生きてきたから.. だからいざ     

       って時に喋れなくなるのね。」





私の方が格好は年下だけど年齢は歳上のはず。なのにこの女の子には、裁判官には話したくなってしまう暖かい雰囲気があった。

安心した。 ほっとする。



晴美「家にも居場所がない、趣味もないし私が生まれてくる理由なんてあったのかしら? 母親でさへ私を見てくれた事なんてなかったのに」


ネガティブな発言をに繰り返す。

裁判官はそれでも優しい笑みを崩さなかった。


赤「今まで頑張ってきたのね。いい子。


 もし私がここにいたらすぐ友達になって連れ出してあげるのに!」


裁判官はニッコリと笑う。


「池を見ながらお茶をしてその後歌を唄いながらお散歩するの! すっごく気持ちよくてスッキリするよ!」


「熊さんが甘い玉ねぎ焼いてくれるからそこで〜!」



棒を持ちながら歩き出す真似をする裁判官。

それを見て私は何か手足を温められたような心地よい感覚に包まれた。



赤「でももうそれはできないね..」


裁判官は静かに下を向く




赤「貴方はこの後、学校生活で優しくしてくれた男性に恋をしてしまう。」















私は思い出した。

そうだ、わたしにはいた。 好きな人が。

大好きで愛おしい、そんな存在が。


女の子「私に恋人がいたの?..」


私は震えながら裁判官に問う。


赤「うん..」


裁判官は私から目をそらし前を向く


-----------------


その人は男性だった


私に優しく話しかけてくれてずっと話を聞いてくれる。 


初めてだった。




異性でこんなに話す事ないと思ってた私は一生分話したと言っても過言ではなかった。 

嬉しかった。  幸せだった。

今まで私の話なんて聞いてくれない。 


だから私はその人を好きになってしまった。


のぞみ「晴美ちゃんってやっぱ喋った方が面白いよ。絶対に周りと打ち解けた方がいい。きっと周りもそれを望んでるんじゃない?」



晴美「そんな事ない、あの人達はきっと自分より弱い生き物を探してるだけ..」


私だってそう。 女性は自分より弱い生き物を探してそれを弄ぶのだ.. いや人間はそれで自尊心を高める。 そういう生き物だと私は知ってた。


のぞみ「そうかな? うーん俺には分からないけど」


のぞみは言う


のぞみ「てかそろそろ俺たち付き合わない?」


私はのぞみんの顔を見る




のぞみ「仲良くなって一か月 そろそろ付き合いたい。 本気でそう思ってるんだ。 晴美はどう思ってるの?俺の気持ちはわかってるんだろ?」



私は知ってた。 でも怖かった。 本当の私を知って嫌われるのが




いや違う。 先があれば終わりも来る。 この幸せな状況に依存していたのだ。





でも嬉しかった。 私は人に好まれるような人間じゃない。 でものぞみはそんな私を知りながら受け入れてくれた。









次は私の番だ。











私は


------------




女の子「私は男性が嫌いだと思ってた」






静かに前を見る裁判官に聞こえる声で言う


女の子「でもそれは男性が嫌いではなかったと分かったの。 


男性が好きな裏返し、私は手に入らないからと、私みたいな人間選んでくれないからと自分から逃げてただけだったのね。」


嬉しかったの。


のぞみが私は好き。


赤「うん....」




でもこんな幸せなのにどこで私は死んだの?

それが今になって気になってきた。







私殺されたの?









女の子「ねぇ!私この後どうなるの!?結婚できたのかな、ねぇ答えて!」



私は興奮していた、先程までと打って変わって裁判官に詰め寄る自分の姿に嫌気がさすがそんな事も言ってられない。




赤「ううん、貴方は殺されていない。きっと幸せだったと思う。」




裁判官はさっきまで暖かくにこやかに笑っていたのにも関わらず下を向いてこっちを見ようとしない。



赤「ね? 続きをみよう」






私を優しく抱きしめる。 それが嬉しくて


優しくて、そして寂しくて....私は目を瞑った。



----------


付き合ってから私は幸せだった。

今まで絶対にできない思ってた、ドラマや小説でしか見たことないデートもいっぱいした。


明日死んでもいい。 毎日そう思いながらのぞみんと会った。 この世の終わりと思いながら毎日家に帰った。


そんな日々が続いてた。


「え...何これ..」







私は妊娠していた。

この年齢でみんなエッチな事する知識は

流石の私でもある。インターネットでも調べた、お互いで避妊をしっかり意識しながら行為もした。


それでも出来てしまった子どもが。







私は高校も退学になるし親にもきっと家を追い出されるだろう。


でも


私は自然と絶望的ではなかった。 何故なら愛しているのぞみんとの子だから。 

色々な人間に軽蔑されるだろう、怒られるだろう、罵られるだろう。




それでも前向きに生きようと思えた。 子供がいるから。


しかしのぞみは違った。









のぞみ「え?子ども!?」


電話越しののぞみんは驚いた声で叫ぶ



のぞみ「え!?ちゃんとゴムしてたし何でできるの? そんなはずないじゃん。」


「私もびっくりしたよ.. でもゴム付けてても100%避妊はできないって聞くし私わ......



話を最後まで聞けなかったのかのぞみんは興奮気味でいう。


のぞみん「いやいやいや聞いたことない! 晴美もしかして浮気した!? てか俺たちまだ学生じゃん。 子供なんて無理だよ。」















私は頭が真っ白になった。


私の好きなのぞみんは受け入れてくれない。子供を祝福してくれない。 学校も退学で家も追い出される。






それでも私は折れなかった。





晴美「のぞみん..お願い。子どもを守って? 私はいい。結婚してお願い... 子供が生まれたら一緒に守ろう?ね?ね...?」



はじめて自分以外を守りたいと思った。子供は悪くない。 生まれてくる子供だけは私みたいな弱い人間ではなく強く前向きに元気に育ってほしい。 そう心から思った



のぞみんはそれ以来電話に出てくれなくなった。


学校で見つけて話しかけてもストーカーと言われてから周りの目を気にして近づけなくなった。




それからは大変だった。




学校は勿論退学になり、姉からは殴られ、親からは少しのお金を貰い家を追い出された。







ただ子供を守るので必死だった。





悲しかった。苦しかった。 それでも それでも私は負けない。 今まではずっと負けてきた。折れてきた。 自分が嫌いだったから。


でも今の私は違う。 


やっと守ってあげられる何かを見つけられたからだ。 私はもう母親だから、決して私のような悲しい弱い人間になってほしくない。愛情を捧げて祝福して産んであげたかったの。



死ぬ気で働いた。 身内の貸し屋にしばらく泊めてもらい日払いでバイトをした。


お腹も大きくなり周りから怪しまれてきた頃は焦った



その都度バイト先を変えて新しい仕事を覚える。


何回も倒れたけど私は耐えれた。 

私が強くないと祝福してあげられないから。







子供を心から愛しているから。









「つかれた...」



お腹もずいぶん大きくなって普通の仕事はできなくなってしまった。



私は座りながらできる派遣の仕事を見つけたので働ける事に感謝しながらバス停までフラフラでたどり着く。







世間はクリスマスか...




私は闇雲に働いて気づいてなかったけど今日はクリスマス。 急に懐かしい気持ちになった



「ふふ、今日は二人でケーキ食べちゃおっか?」





優しい気持ちになりながらも私は気づいてしまった。















奥の交差点で歩くのぞみんに。



のぞみは幸せそうだった。

一緒にいる女性もきっと幸せだったと思う。 二人の顔がそれを物語っていたからだ。


手には一緒に選んだであろうプレゼント。 これから二人で一緒に食べると思わせるような沢山の買い物袋。


誰がどう見てもお似合いのカップルで






綺麗で






かっこよくて






可愛くて






美しくて

















お似合いで






お似合いで.........










のぞみんのいる方向に気づいたら歩き出していた。




悔しかった。 

会ったらダメだと自分でもわかっている。 でもそれでも悔しくて悲しくて雪は降っていないのに手足が凍るように冷たかった。





私はもう走れない子供がいるから。 追いつけないのぞみんの人生には。

だから、私は





静かに..



静かに。










「ねえーーー!のぞみん!!!!」


交差点の中心。






”心から思う“








「彼女さん幸せにしなきゃね!」



後ろから大きなクラクションの音が鳴る。

























-----






赤「.....」



二人とも何も言わない。

本来なら裁判官が話を進めなきゃいけないが裁判官も悔しそうに下を見るばかりだ。







「私、自殺したのね。」



赤「いいえ、あれは事故よ。」



赤「自殺ならここには来れない。


自殺は一生輪廻転生の外から見続ける事しかできない思念体になるだけ。」


裁判官はこちらを見ない。


女の子「ううん、あれは自殺と一緒だよ。そっか私、死んだのね」



そう私は目の前で死んだのだ。 のぞみんとその彼女さんの目の前で幸せな日に。



「ふふ、 ふふっ......。私は最後まで人に嫌われながら死んでいくのね...


最後まで誰にも祝福されずに望まれない死に方で最後をむかえるのか。









それが私の人生だったのね。











それが私の人生なの。
















赤「いいえ、それは違うよ。」


裁判官が厳しい顔でこちらを見る。




赤「お姉さん誰か忘れてない?」


私を静かに見つめる赤色の裁判官




「何が言いたいの? 私は小さい頃から誰にも必要とされなかった。 だから今がある。 それは私が一番わかってるはずなのにこの子は何を



「わたしのことを............!




赤「さっききたのよ。」








    「貴方の子供。 息子さんが。」













---






赤「貴方はここで死んでしまう。」




裁判官は男性に優しく言う。





男性「そうか俺はここで死んだのか......そうか.. そうだ!!!



俺の母さんは!?俺の母さんはどうなる?!?」





さっきまで静かに走馬灯を見ていた男性は急に声を荒げる。





男性「裁判官。俺は大丈夫。どうなっても構わない。俺の母さんだけはお願いだ助けてくれ!母さんは強い女性なんだ!俺には生きていた記憶もないし、これからどうなるかもわからない。」





男性「それでも!

それでも母さんだけは死んでほしくない、俺にはわかってる。俺がお腹にいる時に愛情を沢山くれたのも、祝福して産んでくれる事も。 


何も望まない母さんには俺が恩返しをしなければならない!」





男性は裁判官に懇願をする。




裁判官達は慣れていた。 しかし裁判官達の一存ではどうする事もできない。 裁判官達は導く事は出来ても決定することは出来ないからだ。



赤「私には貴方もこの女性もどうする事もできない




でもきっと貴方が母親を愛してこの女性を守ってあげる強い意志があるなら。 二人に絆があるのならきっと助かるでしょう。」





きっと大丈夫





男性は静かに頷く。



--




赤「貴方の子供さんは貴方を愛していた。 誇っていた、必要としていた。それなのに母親の貴方が弱音でどうするの?




確かに今までの人生は大変だった、裏切られてばっかの人生できっと自信もなくなるよね。






それでも強くお腹の中で生きたいと、無条件で貴方を愛してくれる子供が待ってるのにまだ死にたいと言えるの?」













私は勘違いをしていた。




そうだ私には愛する子供がいた。 たしかに私は子供を愛していた。 でも子供が私の事を愛してくれる。必要としてくれる。 そんな簡単な事に気づかないで生きていたのね。



赤「子供はお腹にいながらも愛を受け取り母親を想い続けるから。貴方はもう愛されながら生きていたのよ。 あの男性は強かった。 自分より母親を最後まで心配していた。」





私は母親失格だ。

死んだ世界でさへこんな自分を卑下して弱いままでいる。



母親として強くなりたい。





私は強く子供を導いてあげないといけない。



赤「お姉さん選んで。」










私は負けない。

 

今までの人生なんて気にしない。


周りなんて気にしない。


ただ私が守りたいものを守る、その為に強くなりたい。


弱い自分はここで捨てる!








晴美「  お願い裁判官。 私は..... ‼︎ 」







 赤「    結審!!!    」 








-









赤「ただいまー!」


黒「はぁ〜また五月蝿いのが帰ってきたぜ..」


「....ほんと」




赤「何貴方達! 少しは労ってもいいんじゃないの?結構今回長く力使ったんだからね」



「赤さんお疲れ様です。」


「お疲れ様〜 どうだった今回?」


残った裁判官達は全員揃った事で少し安堵してるようだった。


黒「今回も結構胸糞悪そうだったけどまぁ〜俺には向いてないな」


黒は赤の肩を揉む。



赤「あら、たまには気が効くね。」


皆んな他の裁判官達は分かっていた。 連続して同じ人を見送る赤が疲れ切ってる事に。

しかし赤裁判官が自分で受けた仕事なので弱音を吐けないでいる。



「16歳でここにくるのは珍しいからね。 赤も体力使ったでしょ?」



「なんでそこまでこだわったのか...」







赤の裁判官はヘトヘトになりながらも満足げに言う。




赤「皆んな自分に欠点があると思い込んでしまう。


特に人間はね。 欠点などなく自分を愛し自信を持つ事が近道なの。


それに気づいてそれを変えようと努力する。 子供を守る母親は強いの。


それを私は信じる!」



赤の裁判官は得意げに胸を張る。



黒「いやお前子供産んだ経験ないじゃん。」



黒の裁判官が言ったセリフで周りは笑い出した。 



赤「なんなのあんた! ほんと腹立つ...」


黒「うそうそ!俺が子供になってやるから甘えさせてくれ〜」




二人がいちゃつき出すが周りも慣れてるように目線を外す。


赤の裁判官はふと二人がどうなったか気になるが..


考えないようにして前を向くのであった。



2話結審














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ