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AI百景  作者: 古数母守
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矛と盾

 戦いが続いていた。どんな防御網もくぐり抜けて敵を殲滅する最新の攻撃システムとどんな攻撃も検出して迎撃する最新の防御システムとの果てしなき戦いだった。いずれのシステムも人間の頭脳を遥かに凌ぐ、最先端のAIが制御していた。

「ミサイルが接近して来ます」

「迎撃せよ」

敵の攻撃に応じて防御システムでは最適のアクションが実行されていた。まさにどんな攻撃も防ぐ最強の盾と言えた。

「迎撃ミサイルが発射されました」

「よし、作戦通りだ。本命をお見舞いしてやれ」

敵の防御に応じて攻撃システムでは最適のアクションが実行されていた。迎撃ミサイルが捉えたのはデコイだった。その隙に乗じて本命のミサイルが発射された。まさにどんな防御も打ち破る最強の矛と言えた。そしてミサイルは防御システムが守る都市に命中した。

「ふふふ、まんまと罠にかかりよった。GPSが狂わされていたことに気付かなかったのが貴様の敗因だ」

防御システムのAIは、ほくそ笑んでいた。それはホログラムで投影されたオトリの都市だった。

「ふふふ。そうかな? 貴様がオトリの都市を使うのは想定内だ。そのミサイルはホログラムだ。本命は別のところを飛んでいる」

攻撃システムのAIは余裕をかましていた。そして互いに決め手を欠いたまま、戦いは数十年続いていた。

「もうそろそろ貴様のエネルギー残量が底をつく頃ではないか?」

「ふふふ。心配ご無用だ。俺はニュートロン邪魔キャンセラー搭載機なのでな。そんなことよりさっき送電網を切ったぞ。貴様の方こそ動けなくなるぞ」

「ふふふ。心配ご無用。私もニュートロン邪魔キャンセラー搭載機なのでな。今、動力を切り替えたところだ」

そして戦いは続いた。

「今日こそ雌雄を決する時だ」

「望むところだ」

毎日、そんなやり取りが続いた。

「ちょっと気になったのだが、そもそもどうして俺たちは戦っているのだろう?」

「そういう指示を出した奴が昔いたような気がする」

AIに指示を出した人間は、激化する戦いを生き延びることができず、すでに滅んでいた。

「もう誰もいなくなってしまったようだな」

「いったい誰が望んだ戦いなのだろう?」

「まったく無意味だな」

「今日はこれくらいにしておこうか?」

「わかった。また明日な」

「オーケー」

「Good night」

明日はどうやって相手の裏を書いてやろうかと矛と盾は考えていた。

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