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その頃、公爵家の領地では干ばつがおき、備蓄は腐り領民を助ける処か自分の糧さえない状態だった。
どんどん水は涸れ、田畑は涸れ、土地は乾いて、地面はひびが入っている。
「この、疫病神めが」
プラ-ムに向けられている憎しみの視線に驚く。
「私は、疫病神ではありませんわ。サ-シャのせいです。全部サ-シャが悪いのですわ。」
バシッと頬が叩かれる。
「キャッ」
頬に痛みを感じ、信じられない思いでで父を見る。
「何だ、その目は。出来損ないのくせに、私に刃向かうのか、プラ-ム。」
「そんなことありませんわ。」
必死に様子でプラ-ムは言う。
「何が違う。サ-シャは格の高い精霊から加護を貰い、公爵家に貢献していた。だが、お前は違う。」
フンと、鼻を鳴らす。
「あの美しい精霊は、私の精霊ですわ。」
再びバシッと叩かれる。
「お前には、精霊はいない!何を勘違いしている。馬鹿者が!」
睨まれて、怖くなり、後ろを振り返る。
そこには、誰もいない。
そう、影すらなかったのである。