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(今日こそは!)
と、息込んで数日、目の前のイザヤに視線をちらちらさせては、溜め息がでる。
「どうした、サーシャ。」
「あの........此処は、私が住んでいた場所とは、時間の流れが違いますよ、ね。」
(気付いたか。)
無言で頷く。
暫く、サーシャはイザヤを見つめる。
「......もう、両親や、姉はいないのですね......」
俯いたサーシャ、イザヤは立ち上がりサーシャの傍による。
「そうだ、お前の家族は、もういない。......サーシャ.......」
ハラハラと涙を流すサーシャを、イザヤは抱きしめる。
「我がいる。サーシャ、我がいる。それでは駄目なのか。」
嗚咽を漏らすサーシャは、イザヤに抱きつく。
(ずるいですわ.........。)
そう思うサーシャに、イザヤは愉悦を感じた。
「サーシャ、我と、婚姻を結ぼう。」
優しい声は、どこか熱を発していた。
(こんな時に、ずるいですわ。)
僅かに頷いたサーシャに、イザヤはサーシャを引き剥がす。
「良いのか......」
「はい、ふつつかな者ですが、よろしくお願いします。」
(これでサーシャは、我のものだ。)
嬉しそうに、獰猛に笑い、サーシャを抱き上げ、寝室に向かう。
「イザヤ様、何故、寝室に......。」
「決まっている。サーシャを我がものにする為だ。」
そう言うと、静かにサーシャをベッドに降ろす。そしてイザヤはサーシャの上に覆いかぶさる。そのまま静かにキスをした。




