研究No.9「宴会」
私は幸福へと満たされた。鳴り響く悲鳴、求めることができない助けを求める叫び、そして、生と死の狭間、こいつは世界中いや、未来、過去を探しても、これを経験して生き残っているやつなど一人もいない。
死とは誰しもが辿り着く目的地。避けることは絶対にできない。寿命を延ばすことで抗うことは出来るが目的地は一生変わらない。私は生物として生まれたからこそ命というものがある。生物は以下で発言した通り、目的地は同じ。
私は同じ目的を持つことは嫌いだ。なぜなら、新しい目的がそこには無いからだ。私が求めるのは、既存のものではなく、新品だ。新しいことだからこそ楽しみがある。私は死という目的地から1歩離れたところに行きたいのだ。
だが、現実は甘くはない。
死は絶対的と言っていいほど私に感じさせる。
別の目的地へ歩みたいというだけなのに…
ならば、考え方を変えよう。
目的地が同じということは、その過程までも同じ。
では、過程を変えてしまえばどうなる?
同じ目的地か、それともちがう目的地か。
私は過程を人間とは違った方向へと進みたい。また、新しい過程が生まれるように自分を満喫させる。それこそが本当の人間の生き方だと…
私は思う
さてさて…そろそろ基地へと戻れる。私の実験室に戻れるのは早くて3日と言ったところかな。酒は苦手だが、コーヒーは飲める。満足した体には休息も時には必要。宴の開催だ。
「今回の奇襲部隊壊滅計画の無事成功を成し遂げ、我が部隊被害数0、負傷者、死亡者0と大成功に収まった。今回、1番、いや、自分の昇格狙いで仲間に嘘をついたMVP早く来い!」
「了解しました」
「ヒガン兵長の成績を称え、宴を始めようと思う。十分に楽しめ!」
「かなり皮肉めいた言い方だったな」
「いやいや、私はこういったのには慣れている。別に気にしてなどいない」
実際は昇格では無いけどな
「ところで、プラス君。君の名前を聞いていなかった君の魔法と、ともに詳しく聞かせてもらえるかな?」
「僕の名前はイオン・マイナス。魔法は電気系を使うことが出来て、脳の電波信号を送ることや感じることができる」
「そうか。それ以上は何も言わないと」
「ここからは国から禁止とされているのでね」
国家ぐるみで弱点を隠したいのか。イオンの能力は強すぎる。しかし、弱点があるからこその強みがあるはず…
私も毒の状態や性質を変えることは可能だが、それに伴う代償がある。代償がそれほどに大きいとでも言うのか?
「私が戦う前、君は『前の敵を油断させて欲しい』と言ったな。君はなぜこんな発言をしたんだ?」
「……」
黙りか…
「国絡みとなると流石の私もどうなるかわからない。これ以上はやめておこう」
「やめておいてくれ。強すぎるが故の弱さなんだから」
「酒は飲めるか?」
「飲めるけど…」
「行ってきてくれないか。あれに」
指を刺したのは一気飲み大会。ヒガンは確信していた。あれに参加したら大事だと…
「いや、やめとk…」
「イオン君が酒をもっとよこせって言ってます」
「そうか!こっちに来い!」
「ヒガぁぁぁぁぁン!!!!」
私は外で1杯のコーヒーを飲んだ。