研究No.7「奇襲」
所有物とは、自分で掴み取ったものを、あたかも自分のものとして扱うことだ。それは、金との物々交換や、誰のものか分からないものを、自分が最初から持っていたと宣言したりすることだ。
これは、どんな状況においても言える。
今回、私は魔法のみでの殲滅を考えている。
前回の反省を生かすのだ。
自分が掴み取った所有物を、また、無くしたくないからだ。どいつもこいつも役に立たないクズばかり。
私は、今までの戦闘はほぼ1人で活動してきたものだったが、今回に関しては「オール大佐」の部隊。
これは戦力になる兵士しかいないとみた。そうなると、緊急のための保険は必要無い。つまりは、魔法以外の危険物は必要ないということだ。
「こちら、リザルト。ゴール応答を願う。只今から作戦を開始する」
「こちら、ゴール。了解」
「周囲に30メートル付近、人数3人ほどを確認」
「ポイズン、今から毒の霧を放つことは可能か?」
「可能ですが、距離10メートルじゃないと無理です」
「了解。10メートル範囲内に入る」
「「「了解」」」
なかなかに、忠実かつ連携が取れた部隊だ。常に探知を働かせ、警戒を怠らない。普通の部隊というものが、このくらいのレベルで無いと、全滅は当たり前だろう。
今、後ろから追いかけている馬鹿は何も気づいていないのだろう。言っただろう、同じ手は喰らわないと…
「俺は後ろのやつをやる。お前らは前の部隊の全滅を目標に戦ってみろ!」
オール大佐、自分の部隊をかなり信用していないとできない行為を平然とやってのけたな…
とりあえず、3人を潰すか…
またか。このアホ舞台は何回やられれば気が済むんだ?俺らが戦歴を上げれるから別に良いんだけどな。さて、また同じことを…
ん?真上に缶?
発砲音が鳴った。
撃たれた!?まずい場所がバレたのか!
「こちら、ステルス。場所がバレた!全員今すぐその場から…」
「もしも〜し、ステルス君と言うのですね。今、私の毒をお届けしました。十分味わって…」
奥から甲高い笑い声が聞こえる
「そういえば、君のお友達のお声を聞かせてあげるよ」
「やめてくれ!やめてくれ!この悪魔!俺が腕や足が動かないからって何でもできると…」
「はいはい、目をくり抜きますよー」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
また、聞こえるあの笑い声が…
そして、悟った俺は生きて帰れないのだと…
なぜなら…足が動かなくなっている…なぜだ…
自分の体が思うように動かない…これが毒なのか?
「ちなみに、毒はあと数十秒で届くはずでs…やっぱ、両目が良かったよね?良いよー!」
「やめて!やめてぇぇぁぇぇぇ!」
毒が届いていないのなら何故?上空で撃たれたものが毒入りの缶だと思ったのだが違うのか?とりあえず、上の何かわからないやつを振り払わなければ!
「風魔法!俺の周りに台風を起こせ!」
風魔法専門じゃないから相当消費するが仕方ない。これしか生きる方法がないんd…
なんで、自分の魔力を腕に集中させている?このままだと、逆に魔力が腕の重りに…なんで、俺がこんな格好を…
「どうだい?楽しいかい?」
「楽しくなんかねぇよ!さっさと魔法を解除しろ!お前らを殺してやる!」
「ふふ…殺すって…今の私たちは、君を殺すことが可能なんですよ?さてさて…どうします?今、落ちてきている僕の毒は足と腕の神経を破壊するもの。私は毒の魔法の使い手…種類、形、色、匂いを決めることができる…ちなみに、今の状態に陥っているのは私のせいでは無い」
「僕、プラス(コードネーム)のせいだね。僕は電気専門で相手の神経系を感じること、電波信号を送ることができるんだよ!」
思い通りに体が動かなかったり、魔法が出ないのはこいつのせいか…
「さてさて…どうだい私の毒の味は」
くっ…もう、毒が…
俺は地面に這い蹲った…もう終わりなのか…いや、まだ1人後ろにつけておいた奴がいる!早く助けに…
「終わった?ポイズンとプラス」
「今からお楽しみを始めようかと…」
「お前ら、他の仲間はどうした?」
「楽しみを奪われないように他の場所に誘導させました」
「は?ポイズンなんてことしてくれんだ!」
「私はやるべきことをやったのみです。今は私情の時間ですので邪魔しないでください」
「ポイズンにましてや、プラスお前なんで!」
「3つに別れて動くと聞いていて、たまたま同じになったのです。こんなことになるとは思ってもいませんでした」
「ちっ…こちら、リザルト!お前ら戻ってこい!」
「はい?もう、終わったのですか?」
「お前らは、まんまとポイズンに騙されてんだよ!さっさと戻って撤退するぞ!」
「了解」
「プラス、帰るぞ」
「ポイズンはどうするんですか?」
「こいつは1人でも帰って来れる。今は俺らの部隊の安否確認が先だ」
こいつ…自分の快楽のためなら、全てを犠牲にしそうだ。要注意しておこう…
「ポイズン、帰還の無事を願う」
「了解。任せろ」
こいつには、もう何を言っても通じないだろう。今から始まるのだから…
私は笑みを浮かべる…