研究No.3「脱獄」
「何をしようか…」
私は悩む。研究が出来ないという苦しみを我慢しながら。
素材を取りに行けば良いじゃないかと言う人もいるだろう。だが、それは無理だ。なぜか?
ここのクソみたいな基地は、外出する時、軍人に外出券が必要なのだ。しかも、成果を成し遂げたもののみに与えられる。
最近、私は成果を成し遂げた。それは誰しも分かる事だ。しかし、発行する日程が遅すぎる!なんだ、1ヶ月って外出するだけのことで1ヶ月とは時間をかけすぎでは無いか?私なら「はい、どうぞー」とすぐに通してしまうのに…
1ヶ月待つ、猶予なんぞ私には無い。今すぐにでも素材を手に入れたい。私は思う。
「ここで着替えるか…」
私は森の中の光が指す広い草原で着替えていた。
「変装すれば、バレないと思っていたがやはり、私みたいなのはバレるのかな…?睡眠魔法はこういった時に役に立つな。フッ…」
さてさて…そろそろ素材を集めるか。
「ガスマスクと手袋を付けてと」
ここには毒の霧という私にとっては秘境スポットがある。
「見た目は綺麗なのだがな…」
毒というものは全てを腐らせる。自然も人も景色でさえも。まるで金と同じ。あればある程、その場をどんどん腐敗化していく…その様な場はあまり見たくは無いのだがな…人間とは何かを腐らせて生きている。それが人であろうと、自然であろうと…だから、私は自らの手で人を腐らせる。このような事を言っているのなら、私は自然保護団体みたいに見えるだろうが、私だって軍人だ。
自然だって、争いながら生きている。横槍が入ったって争いに夢中で気づきやしない。気づいた頃にはもう更地だ。兵器を開発し、命を奪い合い、平等と名乗るやつは平等を知らず、競い合う事があるからこそ戦争が起きるというのに…
私は生きたいように生きる。自分の快楽の為に、死ぬのならば、それは本能。自分の絶望の先を見つける為に、生きるのならば、それは本能。私は夢を見ている、それが現実であろうと、仮想であろうと。
さてさて…準備は整った。
私は夢を見に前へ進んだ。