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第6話 夢物語を編んでいく06



 ミシバの将来を心配した所で、ユカリがやってきた。

 ユカリ・サンジョウ。偵察をとくいとする女生徒。


 どこか妖艶な雰囲気をまとっているが、見た目的にはごく普通の少女。

 つややかな紫の髪色はくせもなく真っすぐ伸びていて、礼儀正しさも感じさせる。


 薄紫の瞳が、メグミに向けての興味をのぞかせている。


 そんなユカリは、仲のいい女友だちであるシオリの元から離れて、わざわざ挨拶しに向かったようだ。


「お初にお目にかかります。わたくしはユカリ・サンジョウと申します。部隊の大黒柱の一つ的な存在とでも説明しましょうか。メグミさんって、あのウェストナー家のメグミさんですか?」


 それを、見て呆れるキサキは、メグミが嫌がるそぶりを見せないのを見て口をつぐんだ。


「お前も話しかけるのか。ほどほどにしろよー」


 そんな風に声をかけると、ユカリからはまったく悪びれない表情。


「アタシは情報をつかさどる、女神ユカリ様だよ。たいちょーだって、認めてくれたでしょ」


 その口調はメグミに対してのものよりかなり砕けている。


「そりゃ、お前の腕前は嫌と言うほど知ってるよ」


 しかしキサキは、隠しごとが全部筒抜けなんだからな、とまでは言わなかった。

 ユカリは上機嫌になる。


「だからクライアントの事もばっちり把握しておかなくっちゃ。しっおリーンちょっと待っててねー」


 ユカリは席でおとなしく待っているシオリへ元気よく手を振る。


 そのついでなのか、他の人物も挨拶しメグミの元へ。


「アタシはカオル・キサラギだ、よろしく」

「カオル! お前もかよ!」


 それがきかっけとなったらしく、皆がメグミの周りに集まり始める。

 ちょっとした人だかりが出来てしまった。

 唯一の救いと言えば、本人が迷惑そうでない事だが。


「放っておけばいいだろ、彼女がそうしたいと言ったんだ」

「キリコ……」


 うなだれるキサキに声をかけてきたのはキリコという男子生徒だった。


 キリコ・リバーサイド

 このクラスきっての頭脳派だが、授業以外はあまり知恵を貸してはくれない。日常では、すこぶる付き合いの悪い人間だった。


 女性のようにきっちりと整えられた黒い髪の毛に、皺のない服。眼鏡の奥にある二つの瞳はいつも鋭く、一見すると他者を睨んでいる様にも見えなくもないが、その表情がキリコのデフォルトだった。三白眼で損をするタイプの人間と、考えると覚えやすい。


「なぁ、キリコ。お前今日暇?」

「何だ? 唐突に、予定は開いているが、下らない事だったら聞かないからな」

「下らなくなんかねぇよ。まだ何も言ってねぇだろうが。何お前、俺が口を開く=下らないっていう計算式でも頭に持ってんの?」

「授業の時ならともかく、日常で口を開くお前の言動の大半が下らない事だと思うが」

「あぁん、ちょっとキリコさーんよー? お話する必要があるみたいだな、え?」


 キサキは、ケンカを売っているとしか思えない台詞に顔をしかめて文句を言うものの、相手は涼しい顔をするのみだった。


「余計な因縁つけたいだかなら、僕は向こうに行かせてもらうが?」

「はっ、マジ付き合いわりぃ。そこがお前のブレないとこでもあるけどな。用ならちゃんとあるっつーの」

「どんなだ」

「お見舞いだよお見舞い」



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