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学校の七不思議編 〜お見舞い幽霊〜

残念なことにアリスが通う学校には不思議な噂などは一切無かった。

でも、不思議な事が大好きな彼女つまらない。

だから、作り上げることにしたのです。

七不思議を。

「やっぱり物語の始まりは孤独な女子生徒の怪死からだよねぇ」

「えっと・・・その・・・開始だから怪死なの?」

「あまりそこは気にしないで」

友達のマリオンと共に作戦を練りあげます。

アリスは意気揚揚と言いました「だからね、誰かが自殺すればいいの」

「孤独で陰気な女の子が、虐められてさ、虐げられてさ、虐待されてさ、

引っ越しでも失踪でもなんでもねしてくれれば、私が後から自殺話をでっちあげる。

その噂に尾ひれとハヒレとフカヒレが付いてくれば上等、

幽霊話、怪物変化、呪いの小唄・・・ね」

マリオンは悲しそうな眼をして「あの・・・私を・・いじめるの?」

「いいの?」

「その・・・あの・・・やだ」

「じゃ、あの子にしましょ。いじめられても不思議じゃないあの子に」

アリスが指さした先にあの子がいた。

とても弱い弱い弱いあの子に。


アリスはいじめをした事がないので、

陰湿な方法なんかは知りません。

だから、過激な事ばかりしました。

教科書を積んでのこぎりで真っ二つにしたり、

靴を燃やしてその燃えカスを靴箱に戻したり

彼女の机にウサギの生首を置いたり、

いろいろと、いろいろと、ばれないように。

マリオンはこっそり、あの子の事を慰めていました。

「大丈夫だよ、大丈夫だよ、大丈夫・・・」

それしか言いませんし、それしか言えません、一緒に泣いてあげることしかできません。


あの日マリオンは風邪をひきまして。

三日目辺りでしょうか、昼夜の感覚があまりなくなった頃、

あの子がお見舞に来ました。

マリオンは起きたばかりなので、

視界がぼやけて意識もはっきりせず、それであの子の声が聞こえたものですから・・・

「その・・・ちゃんは・・・死んでしまったの?」

と聞いてしまいました。

だって、色の白いあの子はまるで天使のようだったから。

あの子はいたずらな笑みを浮かべ「うん」と答えました。

マリオンは泣きました。

ごめんね、ごめんねと言いました。

そして事の顛末をあの子にしゃべってしまったのです。

「大丈夫だよ、大丈夫だよ、大丈夫・・・」

泣きじゃくるマリオンにあの子が言いました。

「私は自殺したわけじゃないの、あのね、お見舞に来る途中でね車にひかれて死んじゃったんだ・・・だからねマリちゃんのせいじゃないんだよ。私が勝手にひとりで死んでしまっただけ。だからそんなに泣かなくていいんだよ」

マリオンは泣きました。

そして泣きやむと、

あの子の姿はありませんでした。


ニュースを見ました。

あの子が車にひかれてました。

車三台を巻き込む大事故でした。

たくさんの死者とけが人が出ました。


「お見舞に来る幽霊か・・・いいね。それ、もらいね」

アリスは生き生きとしています「学校のHPに書き込んで、噂話まきちらして・・・」

赤い眼をしたマリオンは言いました。

「幽霊って・・・本当にいるんだね」

「いるわけないじゃない」

「でも・・・その・・・家に来たんだよ・・・お見舞に」

「お見舞の帰りに交通事故で死んだんでしょ。いい、あの子はうそをついたの」

「・・・」

「マリオンを悲しませたくないからでしょ。自分は自殺じゃない偶然の交通事故であなたのせいじゃないって・・・ねっ、嘘をついてから車に飛び込んだの。やさしい子よね、やさしさってたまに死人が出るからね。でも、結局は自殺だけどね〜、アハハ〜♪」

しばらくの間、

マリオンの眼は赤いまま。


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