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VRMMO [AnotherWorld]   作者: LostAngel


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第八十八話

2024/09/04 一部を修正、加筆しました。

[第八十八話]


 残りの五千タメルは取っておくとして。残りの時間は、そうだな。


 時刻は十七時半。このまま、アラニア東部のフィールドを探索しにいくか。


 そう思い立った俺は、東門へ急ぐ。


「ありがとうございます」


 東門に到着すると、検問を行う。名前は聞かなかったが、女性の優しそうな方だった。


「走れっ」


 平原に出ると、いつものごとくダッシュで駆け抜ける。


 途中の魔物は無視だ、無視。


 しばらく走ると、大きな白い灯台と海が見えた。


 そうか。王都の東がココデ海岸だから、アラニアの東も海なんだな。


 しかし、ここはココデ海岸と違い、なだらかな砂浜ではなく崖が広がっていた。


 落ちたら命の危険はなさそうだ。用心しないとな。


 そう気をつけつつ、俺はこげ茶色をした灯台の扉を目指す。


「……開かないな」


 無事到着し、扉に手をかけてみたが、鍵がかかっているようだ。押しても引いてもスライドしてみても、うんともすんとも言わなかった。


 誰かが鍵を持っているのだろうか。それとも、入るのになにか条件が必要なのか。


 仕方がないので、アラニアの街へと引き返す。無駄足だったな。


 またもや平原の魔物を無視して、アラニアの東門に帰ってきた。


 検問の騎士さんに灯台のことを訊いてみる。


「すいません。水魔法使いのトールって言います。東の崖にあった灯台について聞いてもいいですか?」


「あ~気になっちゃうよね。でもまだきみには教えられないかな」


 行きのときにも見てもらった女性騎士は、名をセロトニカ・カミングスリーといった。


「お姉さんから出せるヒントとしては、もう少しきみのこと知りたいな~っていうのと、アラニアに貢献してくれたら嬉しいな~ってことかな」


 セロトニカさんは聞いているだけで眠くなりそうな声で教えてくれた。


 眠そうにしてるが、この人も中々にできそうな人だ。佇まいからそれが分かる。


「そうですか……」


 彼女の言葉を受けて俺は、顎に手を当てて考えてみる。


 もう少しきみのこと知りたいな~、アラニアに貢献してくれたら嬉しいな~。


 ……なるほど。


「ありがとうございました」


 俺はセロトニカさんにお礼を言って、街の中に入るのだった。



 ※※※



 中央広場まで戻ってきた俺は、その足で冒険者ギルドへと向かった。


 白い壁に青色の屋根。アラニアの冒険者ギルドはおしゃれだな。扉も深い青色で、西部劇の酒場のような王都のものとは大違いだった。


 扉を押して開けると、中は明るい茶色と植物を基調とした、港町の酒場のような雰囲気を醸し出していた。キャンドルの明かりが室内を照らし、白色の木の椅子とテーブルがまばらに並んでいる。


 右手が依頼窓口で、左手がバーカウンターのようだ。このレイアウトは王都と変わらないな。


「……ここだな」


 俺は五つある窓口の中から、一番空いているところに並ぶ。夕方時で少し混んでいるな。


 しばらく待つと、自分の番になった。俺はカウンター越しに挨拶する。


「こんにちは。水魔法使いのトールっていいます。なにかソロで受けられそうな依頼ってありますか?」


 もう少しきみのこと知りたいな~、アラニアに貢献してくれたら嬉しいな~。これは、冒険者ギルドに行って依頼を受けてこいということではないだろうか、と俺は考えた。


 だからこうして、アラニアの冒険者ギルドにやってきて依頼を受けに来たというわけだ。


「おう、ソロで魔法使いとは威勢がいいな。それに水魔法使いだとは」


 目の前の男性職員は中々のイケメンだった。


 果たして、この人は水魔法使いに偏見を持っているのかどうか。


「面白い、面白いぜ。トール、だったか。おすすめの依頼はこれらだ」


 見た目は色白でクールそうだが、話口調が男らしい。


 こちらこそ面白い人だな、と思った。


 目の前に、男性が選んでくれた依頼が並んだウインドウが出現する。俺はそれらの依頼の中から三つを選んだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 [依頼]:ウォーキングカクタスの葉十個の納品


  〇発注者:ハロメ・デラヘルト


  〇報酬:2000タメル ↑報酬増額中


  〇詳細:……アラニア騎士団西門防衛隊隊長のハロメ・デラヘルトだ。


      …………砂丘はいつも渇きに飢えている。


      ……巡回する我々も例外ではない。


      ……慢性的に食料としているウォーキングカクタスの葉が枯渇しており、困っている。


      …………冒険者の皆に供給をお願いしたい。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 [依頼]:アラニア平原(北部)におけるフォレストウルフ一頭の討伐


  〇発注者:クララ・キアラ


  〇報酬:3000タメル ↑報酬増額中


  〇詳細:アラニア騎士団北門防衛隊隊員のクララです!至急討伐してほしい相手がいるため依頼しました!


      本来アルグスネ丘陵に生息するはずのグリーンウルフの上位種、フォレストウルフがアラニア平原で


      確認されました!


      該当個体は約十頭のグリーンウルフと、現地のファングウルフ約三十頭を従えた大規模な群れを


      形成しています!


      平原の生態系に深刻な影響を与えかねないので、早急な討伐よろしくお願いします!


      討伐証明は必要ありません!

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 [依頼]:アロハリュウグウにおけるアロハメガロドン一頭の討伐


  〇発注者:ホランス・ウィーブリー


  〇報酬:100000タメル ↑報酬増額中


  〇詳細:アラニア魚市場責任者のホランスだ。冒険者の皆に緊急の案件がある。


      我々の漁場にアロハメガロドンが確認された。


      すでに何名かの同士や冒険者が被害を受けている。


      このままやつがのさばれば、経済への打撃も惨憺たるものとなるだろう。


      頼む。やつを狩り、海に平和をもたらしてくれ。


      討伐証明は、やつのヒレでも持ってきてくれ。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 まず一つ目はハロメさんの依頼だな。ウォーキングカクタスの素材を納品する内容だ。


 工房に素材があるから、これはすぐに達成できそうだな。


 次に、二つ目の依頼。クララさんの依頼だ。


 クララさんというのは、俺が大けがで運ばれたときに介抱してくれた騎士だ。優しい。俺にとっては守るべき天使の一人だな。失礼だけど、あんまり強そうじゃなかったから。


 フォレストウルフの討伐って書いてあるが、これはウルフの群れもやっつけてくれって言ってるようなものだな。まあ、たぶん大丈夫だろう。


 最後に、来たな。アロハメガロドンの討伐依頼。報酬も十万タメルと高い。


 依頼主は魚市場責任者のホランスさんとなっている。知らない人だな。でも甚大な被害が出ているみたいだし、狩らないといけない。


 左腕のリベンジだ。


「ちとEランクのトールには荷が重すぎるかもしれねえが、いいか?」


 この人、分かってて言ってるな。


 相応の実力があるのに、ランクを上げない俺をからかっているのだ。


「分かってて言ってるでしょう。あなたから薦めてきたくせに」


「へへ、ばれたか。俺はカルアドネっていうんだ。よろしくな」


 受付の男性改めカルアドネさんはカウンターの向こうから手を出してくる。


 俺は握手に応じた。


「こほん、とにかく、トールにそれなりの実力があると見込んで依頼する。手が空いている実力者が少ないんだ。くれぐれも、ウルフの群れとメガロドンを頼む」


 カルアドネさんは少し頭を下げ、頼み込むようにしてお願いしてきた。


 そこまで言われたら、応えるしかないだろう。


「やってやりますよ、どちらも。しっかりとね」


 俺は気丈にそう答えると、冒険者ギルドを後にするのだった。

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