表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMO [AnotherWorld]   作者: LostAngel


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/125

第八十三話

2024/08/29 一部を修正、加筆しました。

[第八十三話]


 ”工房”の扉を開けると、やっぱりノーレッジが本を読んでいた。


「おお、帰ったかトールよ。他に新しい本はあるか?」


「ない」


 よかった。逃げ出してなかったな。と、野良猫みたいなことを思う。


 俺はノーレッジとのあいさつもそこそこに、工房のアイテムボックスを開いて中のアイテムを確認する。


 今回の旅で手に入れたアイテムを入れて、改めて調薬に必要な素材を引っ張り出す。


 ナオレ草×231、ネムレ草×129、ヨクナレ草×4、ココデアサリ×144、ココデハマグリ×61、ヤドカリヤシの実×23、ヤシヤドカリの脚×80、ココデイモガイの毒液×26、ココデオオシャチの肉×36、ココデオオシャチの骨×4。


 レア度の高いアイテムが少なくなったな。また調達に行かなければ。


 今回手に入れた使えそうなアイテムは、これくらいかな。


 ウインドイーグルの肉×25、ポイズンワスプの毒液×9、タラフクベアーの肉×1、ブラックスコーピオンの肉×31、ブラックスコーピオンの毒液×31、タラフクアップル×84、タラフクオレンジ×96、タラフクグレープ×79、タラフクピーチ×80、タラフクマロン×25、タラフクペアー×25


 アルグスネ丘陵で倒した上位種やアロハメガロドンの素材は、他のメンバーに譲ってしまったので持っていない。


 それにしても、見事に肉と毒しか持ってないな。これじゃあ疲労回復薬と毒薬しか作れないぞ。


「『アクア・ソード』」


 包丁のように杖を持って、そう宣言する。


 それならそれで、全部乗せで作ってみるのはどうだろうか。


 皆も幼い頃に経験がなかっただろうか。ファミレスのドリンクバーでありったけのフレーバーを混ぜて特製ジュースを作った経験が。あれと同じことをする。


 ヤシヤドカリの脚を身だけ取り出し、ココデオオシャチ、ウインドイーグル、タラフクベアー、ブラックスコーピオンの肉をそれぞれ一口大に切って鍋に投入!


 ぐつぐつと煮て、出汁を取る。


 数分間待って、できた薬(?)を一本ずつ試験管に注いでいく。鍋一杯分、計十本ができた。


〇アイテム:疲労回復薬 効果:疲労回復:大

 疲労を回復する薬。飲むと日をまたいだ時の体力、魔力の回復量が大きく増える。これでもかというくらい旨味に溺れた味。


 おお、効果が一段階上昇したな。ドリンクバー作戦成功だ。


 旨味もすごいことになっている。これなら、NPCに高値で売れそうだ。


 お次は毒薬。


 これもドリンクバー作戦で、ココデイモガイ、ポイズンワスプ、ブラックスコーピオンの毒液を『アクア・クリエイト』で水を張った鍋の中に流し込む。


 できたものがこれだ。


〇アイテム:毒薬 効果:神経毒:中、出血毒:中

 飲んだ相手を神経毒、出血毒に侵す薬。神経毒で動きを封じ、出血毒でダメージを与え続けられる凶悪な代物となっている。


 お、おお。まさしく理想の毒薬ができてしまった。


 毒の効果はどちらも中になっている。これは使えそうだ。


 けど、これ。また売れないんだろうな。十本分在庫を抱えてしまった。


 これ以上毒薬を作っても試験管が埋まるだけなので、もう一度疲労回復薬を作ろう。


 タラフクベアーの肉は一個しかなく、さっき使ってしまった。それ以外のココデオオシャチ、ウインドイーグル、ブラックスコーピオンの三種類の肉を入れて薬を作ってみる。


〇アイテム:疲労回復薬 効果:疲労回復:中

 疲労を回復する薬。飲むと日をまたいだときの体力、魔力の回復量が増える。旨味にあふれる味。


 タラフクベアーを入れないと効果が大にならないのか。残念。


 それと、後ろの説明がちょっと弱くなったな。タラフクベアーは味も引き上げてくれる優れものだったわけだ。


 それじゃあ次は、ココデオオシャチとウインドイーグルの肉で作ってみる。


〇アイテム:疲労回復薬 効果:疲労回復:中

 疲労を回復する薬。飲むと日をまたいだときの体力、魔力の回復量が増える。旨味にあふれる味。


 あ、あれ?


 これって、もしかして。


 次はココデオオシャチとブラックスコーピオンで。


〇アイテム:疲労回復薬 効果:疲労回復:中

 疲労を回復する薬。飲むと日をまたいだときの体力、魔力の回復量が増える。旨味にあふれる味。


 ははあ、だいぶ分かってきたぞ。


 最後はイーグルとスコーピオンで調薬する。


〇アイテム:疲労回復薬 効果:疲労回復:小

 疲労を回復する薬。飲むと日をまたいだときの体力、魔力の回復量が増える。旨味にあふれる味。


 はい。謎が解けました。


 どうやら、ヤシヤドカリの脚とウインドイーグルの肉、ブラックスコーピオンの肉は同じ括りのようだ。まあ、効果が疲労回復:小で同じだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。


 それと、小の効果の素材同士を組み合わせても効果は中に上がらない。中+小でようやく効果が中になるっぽいな。


 旨味のところは、二種類以上で『旨味にあふれる味』になると。


 さらに、タラフクベアーの肉のような効果が大のものは、薬の効果と味をさらに一段階上げてくれる。


 こりゃあ、今からでもクマ狩りに行きたい気分だ。それくらいベアーの肉の効果が優秀。


 で多分だが、この法則は疲労回復薬の調薬の際にしか成り立たないと思う。体力回復薬は抽出の方法を変えて効果を上昇させたからな。


「はああ……」


 ため息を一つつく。


 なんて奥深いんだ、調薬は。


 しみじみと感動していると、いつの間にか隣にやってきていたノーレッジが……。


「それくらいのこと、『調薬の組み合わせレシピ』に全て書いてあったぞ」


 とボソッと呟いた。


 はあ、これだから知識にしか興味がないやつは。


 俺は無言で首を振りながらため息を吐き、効果の低い疲労回復薬を一本ずつ飲んでいくのだった。


 

 ※※※



 その後、効果が中の疲労回復薬を百五十本作り、フクキチに連絡を取った。


 今回作った薬は……。


 疲労回復薬:大×10、疲労回復薬:中×180、毒薬×10だ。


 なんか前回と似たようなラインナップになったな。肉ばっかり獲れるから仕方ない。


 フルーツも使おうと思ったが、今回作った薬に混ぜてもまずくなりそうだったのでやめた。


 それから、待つこと時刻は二十一時。フクキチから返信がきた。現在、遠方まで行商しているので今日中には会えないとのことだった。


 ちぇ。買ってもらおうと思ったのに。


 そういえば、借金の返済のために貯金もしないとな。


 手持ちは、二十万-本二冊二万-氷属性の杖五万で十三万タメルだ。


 十万は貯金しよう。三万タメルあればとっさの買い物には十分だろう。


 俺は十万タメルを預けて、アイテムボックスを閉じた。


 残り借金は三百九十万タメルだ。なんだかんだすぐ返せるだろう。期限も定まってないし。


 さて、フクキチとの商談もなくなったので、この夜をどうやって過ごそうか。


 やっぱり、狩りでしょう。


「狩りに行ってくる。本は期待するなよ」


 俺は吐き捨てるようにノーレッジにそう言って、”工房”の扉を開けて出ていくのであった。

次回の投稿は12月18日(土)20時だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ