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VRMMO [AnotherWorld]   作者: LostAngel


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第八十話

2024/08/22 一部を修正、加筆しました。

[第八十話]


 フクキチと新たな商売について話していた俺。


 早速実験をしようということで、旅の道中で手に入れたフルーツや肉のほとんどを凍らせてみる。


「『アイス・フリーズ』」


 氷属性の魔法の一つで、所有しているものを凍らせる魔法だ。


 魔法をかけると、あら不思議。見事に冷凍フルーツができあがった。


 正に魔法みたい。


 と冗談は置いておいて、次はこれを持ったまま王都にテレポートしてみる。


「じゃあ、ちょっと待っててくれ」


「うん」


 フクキチに挨拶をして、俺は中央広場からテレポートする。


 ちなみに、杖はこんな感じのものをエクリプス装備店で購入していた。


〇雪豹の杖 氷属性 効果:氷属性魔法威力強化:小 ¥50,000

 ブリザルド雪原に生息するブリザルドユキヒョウの骨と皮を使って作られた杖。脆いので取り扱いに注意。


「……」


 さて、どうなるか。


 白い光に包まれながら待つと、数秒後、王都の見慣れた街並みが見えた。


 どうやらテレポートに成功したみたいだ。フルーツをアイテム化して見てみる。


 すると予想通り、凍らせていないフルーツは腐敗してドロドロになっていたが、凍らせたフルーツ(フリーズフルーツと名づけよう)はその見た目を保っている。流石に冷たくはないけどな。


 実験の最終段階として、食べてみる。腐っているフルーツはやっぱりまずく、あまり空腹度が回復した感じがしないが、フリーズフルーツは問題なくいける味のようで、満腹に近づいた気がする。


 どうやら、成功したみたいだな。


 もう一回テレポートしてしまうと全部腐ってしまうので、一度”工房”に行き生鮮素材を預ける。


「帰ったのか。それで本はあったのか?」


 ”工房”に入ると”知識の悪魔”ノーレッジが触手を器用に動かして本のページをめくっている。


「ああ、こんなのでよかったらな」


 ちょうどいいな。俺は『アロハリュウグウの魚図鑑』をノーレッジに手渡す。


「なになに、『アロハリュウグウの魚図鑑』。ふむふむ……」


『お眼鏡に適ったみたいね』


「まあ、よかったよ」


 やつは受け取ると、黙ったまま本にかじりついてしまった。


 俺はノーレッジをそっとしておいて工房を後にし、中央広場に戻ってきた。


 そのままもう一度テレポートする。


 パチンッ!


 やっぱり目の前にフクキチの顔があったので、あらかじめ振りかぶっていた俺はビンタを繰り出した。


 結果、命中。


「いたずらも大概にしろ。びっくりさせられるこっちの身にもなってくれ」


「今回は準備してたじゃないか……」


 赤い頬をひりひりさせながら、フクキチが恨み節を吐いた。


「とにかく、実験は成功だ。王都―アラニア間なら凍らせたものは溶けるが、鮮度は十分だと思う。フルーツしか実食していないけどな」


「それでも大した成果だよ。王都でタラフク果樹林の新鮮な果実が味わえる。このことは王都の住民にとってビッグニュースだよ!」


 ポーションの件でも思い知ったが、NPCに摂食、経口する生産物(食べ物や料理、薬など)を売るとき、味が重要なファクターになる。


 薬なら飲みやすく、苦くないものであればあるほど高く売れる。食品なら新鮮で、おいしいものであればあるほど高く売れる。


 そんな仕組み、仕様があるから、今回の鮮度保持の取り組みは商人にとっての”革命”なんだろう。


「僕は北部の果樹園でフルーツを卸してもらえないか、頼みに行ってみるよ!」


 フクキチはそう言い残すと、ぴゅーっと北門にめがけて駆けて行った。まさに善は急げ、といったところだろうか。


 それじゃあ、俺はなにをしようかな。


 そう思っているがやはり悔しく、体は不思議と西門の方へ引き寄せられるのだった。



 ※※※



「……頑張れよ」


 特に深くは聞かないハロメさんに感謝しつつ、俺はリベンジをしにネッサ砂丘にやってきた。


 前回のように足を取られないよう、慎重に足を運んでいく。


 時刻は十九時。これから夜の時間帯になり、辺りが暗くなると同時に段々寒くなってくる。


 ……サソリは昼にしか出ないとかないよな。


 そんな一抹の不安は杞憂だった。


「……」


 黒い甲冑があちらからやってきてくれたからだ。


「リベンジだ。サソリ」


 ああ、とっととこいつの正式名称を知りたい。


「『アクア・ランス』」


 俺は初めに、顔面を狙った先制攻撃をしかける。


 今度は最初から全力だ。


 サソリは二つの鋏を掲げてガードするが、アローとは威力が桁違い。水の槍は前側に出していた左の鋏を貫通し、右の鋏も大きく傷つけた。


 よし、これで鋏は封じた。


 サソリはお返しとばかりに、尾を突き出す。


「『アクア・ソード』」


 それを、やっぱりカウンターで切り落とす。


 鋏と尾。二つの武器を失ったサソリはもはや敵ではなかった。


 サソリの眼前まで接近し、俺は返す刀で顔面を切り裂いてサソリを倒した。


〇アイテム:ブラックスコーピオンの甲殻

 砂漠地帯に生息する大型のサソリ、ブラックスコーピオンの甲殻。薄いが、ある程度の斬属性、突属性を緩和する性質を持つ。


〇アイテム:ブラックスコーピオンの肉 効果:疲労回復:小

 砂漠地帯に生息する大型のサソリ、ブラックスコーピオンの肉。騙されたと思って一度食べてみるといい。


〇アイテム:ブラックスコーピオンの割れた鋏

 砂漠地帯に生息する大型のサソリ、ブラックスコーピオンの割れた鋏。欠けてしまっているため、装備には使えなさそう。


〇アイテム:ブラックスコーピオンの短い尾

 砂漠地帯に生息する大型のサソリ、ブラックスコーピオンの切れた尾。途中で切断されてしまっており、武器に使うのは難しい。


〇アイテム:ブラックスコーピオンの毒液 効果:出血毒:中

 砂漠地帯に生息する大型のサソリ、ブラックスコーピオンの毒液。うっかり体内に入れてしまわないように注意。


 鋏と尾が訳アリ品になってしまった。といっても、この二か所を傷つけずに倒せる自信がないから、当分は完全な素材は手に入らないか。


 まあ、この調子でどんどんサソリを狩ろう。肉と毒液が欲しい。甲殻は高く売れるかもしれないしな。


 そう思いながら次の獲物を探していると、目の前から大きな砂煙が立った。


 なんだこれ?二メートルくらいある、人の形をした砂の魔物?


 わかった、この魔物、サンドゴーレムって名前だろ。


「『アクア・ソード』」


 サンドゴーレムらしき魔物はのそのそ近づいてきたので、水の刃でぐちゃぐちゃに腹の部分を掻き回した。


 たったそれだけでゴーレムは泥だらけになり、魔物特有の殺気みたいなものも消えたから、倒せたのだろう。


 なんだこの魔物。まったく強くないぞ。


 正直、こんなフィールドにいるのが場違いなんじゃ……。


 と考えていたが、俺は水魔法使い。サンドゴーレムに対して抜群の相性だったのではないか。


 なんだ、それなら納得だな。


〇アイテム:サンドゴーレムの砂

 砂漠地帯に生息する三度ゴーレムの砂。さらさらしていて、農業などに使えそう。


 なるほど、肥料の一部になるのか?農業に疎いからよくわからない。


 とにかく、このフィールドもしかして、サソリに注意するだけで行けるのか?


 採取ポイントでサボテンを採取しながら、俺はサソリとゴーレムを狩り続けるのであった。



 ※※※



 魔力も減ってきたので、一度アラニアに帰る。


 ハロメさんに挨拶をして西門をくぐり、中央広場へと戻ってきた。


 時刻は二十一時。ご飯も食べずにひたすら狩りをしていたせいで、もうこんな時間だ。


 休憩がてら、ログアウトして晩ご飯にするとするか。


 俺はメニューから現実世界へと帰還するのであった。

今日から三日おきの投稿になります。

次回の投稿は12月9日(木)20時です。

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