婚約破棄の表側
「クリシュナ・ガーディ公爵令嬢、今この時を持って貴女との婚約を破棄する。破棄理由については、今更語るべくもないな!」
高らかに宣言したのは、クリシュナ嬢の婚約者である王太子シヴァ・サクリファイン様。現在あたしの隣にいる麗しの君である。
公爵令嬢は、肩をわななかせこちらを睨む。……はっきり言って鬼気迫り過ぎて怖い。
「シヴァ様!それはあんまりです!どうかお考えを改めください!」
クリシュナ嬢は淑女の中の淑女と誉れ高き方、こんなに大声など出した事はないのだろう。語尾が少々咳き込んでいらっしゃった。
顔を真っ青にし、シヴァ様に縋るための大声を出すなんて。だったら初めからあたしに嫌がらせなんかしなければ良かったのに!今更縋るなんて、往生際が悪いです。
あたしは、数年前まで王都の平民街に暮らしていた極平凡な女の子だった。強いて言うなら、甘やかなストロベリーブロンドに空色の大きな瞳が特徴かな。つまり何が言いたいかって言うと、自分で言うのもアレだけど結構可愛い方だと思う、それくらいが特徴な女の子だった。
その状況が一変したのは、13歳の頃に全国民が受ける魔力測定の時。
この国では、魔力の高い人程優遇される傾向がある。平民は魔力を持つ者は少なく、高位貴族ほど魔力が高くなる事が多い。何故なら、魔力が高い者同士の掛け合わせで婚姻を結ぶからだ。
そんな中のあたし、桁外れに魔力が高かったそうで。
王族……ううん、いわゆる聖女クラスってくらいの値だったみたいで、測定会場は騒然。何度も測定のし直しや、両親の不義を疑われた。つまりイイところのご落胤かと思われたのよね。
結果として、どう調べてもどう考えてもドの付く平民だったんですが。
ただ、あまりの魔力値のため、このままの生活は望めないとの事だった。あたしの魔力を使って良からぬ事を画策されたり、利用されたり、その他色々から守られる必要があるんだそう。
そんな訳で、13歳にしてあたしは家を出て、高位貴族の養子となりました。バーティ・プロキシー伯爵令嬢の爆誕である!
キラキラしたお貴族様の世界は、何もかも違っていて、発音の仕方や文字の書き方、食事の仕方、眠り方に至るまで指導が入った。
あまりの違いに辟易して、もうおウチ帰りたいと何度思ったことか。
けれど何とか、本当に最低限、ギリギリ怒られない程度にマナーを覚えて、お貴族様の義務であるアカデミーに入学が許された。あたし16歳の時である。
養子にしてくださったプロキシー伯爵家の皆さんは本当に優しくて、魔力以外出来損ないのあたしは申し訳ないことこの上なかった。
伯爵家を継ぐ予定の一つ歳上のお兄様は、アカデミーでもとても良くしてくださった。
平民出身でマナーのみならず勉強もダメダメなあたしを温かく見守って、支えてくださる。
お兄様のその態度はクラスメイトにも波及し、皆さんとても優しかった。
中でも王太子であるシヴァ様やその取り巻き様方はあたしにとても甘かった。
そのせいか、シヴァ様の婚約者であるクリシュナ嬢があたしに辛くあたって来た。
「何故王太子殿下の周りに侍るのです、立場を弁えなさい」
「マナーがなっていませんね。そんな事では恥をかくだけでなくって?今のうちにに、ホントウのお家へ帰られたら?」
などなど。
皆さんがあまりに優しくて忘れていたけど、小説とかの出来事だと思っていた身分の高い方からの嫌がらせを、クリシュナ嬢からだけはされました、ええ、びっくりです。
確かにね、婚約者であるシヴァ様があたしにべったりで……。でもね、それはあたしじゃなくて、シヴァ様本人に言って欲しいんですよね。
教科書を汚されたり、ドレスを破かれてしまったり……、あたしが払ってる訳じゃないけどタダじゃないんだからホント止めて欲しい。これだから生まれながらの高位なお貴族様は……。
クリシュナ嬢がそんなだから、あたしの株爆上がりで(健気に耐えてたのよ)、魔力値も高いしシヴァ様の婚約者を変えたらどうか……なんて囁かれてるみたいだった。
そりゃあね、いかに公爵令嬢様とはいえ、あの態度はナイわぁ……。おっと、ちょいちょい平民魂が出ちゃうわね、げんなりすると。気をつけてはいるんだけど、どうにも言葉のチョイスが平民だわ、あたし。
……なんだっけ?ああ、クリシュナ嬢のことね。
流石公爵令嬢様なだけあって、あたし以外にはとても優しくて完璧な淑女!って感じなんだけど、やっぱ色恋絡むとアレなのかなぁ。
シヴァ様ホントカッコいいし素敵だしあたしを甘やかしてくれるし、……どう見てもあたし寵愛?されてる?
しかも婚約者なクリシュナ嬢、もしかして蔑ろにされてる……?あれ、もしかしてコレは、ひょっとして、……マジ?婚約者交代来ちゃう?あたしマナーダメダメだけど、王妃なっちゃう?
えー、どうしよう迷うわぁ。アレでしょ、王妃教育とかやばいんでしょ?今より辛そう?面倒……とか思いつつも、シヴァ様カッコイイしな。できる限り力になるよって言ってくれてるしな。
……あーん、求められたら頷いちゃうかも。そしたらクリシュナ嬢からめっちゃ攻撃されちゃうのかしら、怖……。
なんて思っていたところで、シヴァ様の冒頭の発言です。キタコレ。
でもでも、近頃の小説なんかだと高位貴族断罪からの〜ってのもあるから、まだ油断出来ないかな。
えーと、あたしクリシュナ嬢を罠に嵌めて無いよね、誤解も無いよね、……うん、大丈夫だ!
「聖女クラスの魔力を秘めたバーティ嬢に対し数々の嫌がらせ、見逃す事は出来ない」
「しかし殿下、わたくしの行為は婚約破棄される程の事ではない筈です。どうか、どうかお考えを!」
「この事は国王である父上にも了承を得ている。決定は覆らない」
「そんな、陛下まで……そんな、なんて酷い……」
クリシュナ嬢の顔は真っ青を通り越して紙のように白くなり、へなへなとへたりこみ、美しい紫色の瞳からはぼろぼろと涙が流れ落ちる。
……うーん、婚約破棄はやりすぎだけど、そんなに泣くくらいなら嫌がらせ何てしなければ良かったのに。
「そして、数々の嫌がらせにも耐え、魔力値は王族を上回るバーティ・プロキシー伯爵令嬢を新たな婚約者とする事を宣言する!」
マジか、ホントに?そりゃシヴァ様のこと好きだけど……出来るかな、あたしに。まー、クリシュナ嬢のこと結果として追い落としちゃったし?いっちょやってやりますか!
「あたしで良ければ!」
シヴァ様の求婚に、元気良く笑顔で頷いた。
あたしの顔はテレもあって桜色、シヴァ様はしてやったりな涼しい顔、クリシュナ嬢は真っ白と、三者三様でこの婚約破棄事件は閉幕となった。
……そう言えば、悪役?なクリシュナ嬢だけど、小説では衛兵とかに捕まったり、国外追放になったり、牢屋に入れられて二度と出れない……とかになるのをよく見るけど、全くそんな事はなく、迎えに来た公爵様とクリシュナ嬢のお兄様に抱きしめられて帰って行った。
クリシュナ嬢の顔色に対して公爵様たちの顔は落ち着いて……というか、むしろ良かったみたいな顔なのが気になった。
……?この婚約に反対だったのかな?
そうそう、クリシュナ嬢は去り際、往生際悪くあたしに向かって叫んだのだった。
「今ならまだ間に合うかもしれませんわ!お願…」
言い切る前に公爵たちから遮られ、シヴァ様なんてクリシュナ嬢の口を自ら抑えこんでいた。
……それほどイヤなの?シヴァ様。カッコイイお顔が、酷く歪んでいた。
クリシュナ嬢もさぁ、引き際ぁぁぁ!そういうトコよ、ホント。シヴァ様のことはあたしに任せて、お帰りくださいませ。
伯爵令嬢爆誕からの王太子妃ですか、人生何があるかわからないものね。
*****
クリシュナ・ガーディでございます。シヴァ・サクリファイン王太子殿下の婚約者でございました。
わたくしは3歳の頃シヴァ殿下の婚約者となりました。
貴族は物心つく頃、魔力測定を行う事となっております。特に高位貴族は魔力が高くなる傾向があるため、平民の測定より10年早く行うのです。
わたくしの魔力値は、シヴァ殿下に見合う年代の誰よりも高かった。それは10年後、バーティ・プロキシー伯爵令嬢が現れるまでずっと変わらず、飛び抜けて高かったのでした。
シヴァ殿下とわたくしは、3歳からの縁ですし、仲は悪くはありませんでした。……いえ、良好と言って良いでしょう。
その関係は13歳の時に影が差し、そして今、16歳になって終わりを告げました。
わたくしはずっと努力して参りました。誰よりも淑女たれとの教育、王太子妃、ひいては王妃としての教養を叩き込まれるなど、自分の時間など無いに等しい日々でした。
何よりも、王家に嫁ぐ事の意味については、まるで呪いの様に王妃様から繰り返して教え込まれました。
バーティ様の魔力値は確かに類を見ないものでした。さらにとても愛らしいお顔立ちなのも認めます。けれどマナーや教養はと言えば、わたくしと比べるべきもなく、むしろアカデミー在籍ギリギリでした。そして王家に嫁ぐ覚悟を全くお持ちではなく、望まれるなら……などと、キラキラふわふわしたお気持ちのみで、シヴァ殿下に求められるままなのが丸わかりでした。
そんな事で、王家に嫁ぐ事は出来ません。
ですから、わたくしはバーティ様にお立場を理解頂けるよう忠告や、……時には教科書を汚す、学園内パーティのためのドレスを破くなど実力行使をしました。
あわよくば、アカデミーを去ってくれたら……そんな想いでした。
酷い事をしている自覚はありました。淑女の中の淑女と称えられたわたくしの諸行では無いと、皆様にも何度もたしなめられました。
けれど、シヴァ殿下がバーティ様を求められるのが、許せなかったのです。
わたくしの悪事は全て明らかになり、婚約破棄となりました。さながら小説の中の悪役のように。
わたくしのもがきは、無駄に終わったのです。
残念でなりません。
わたくしの力が足りないばかりに。
わたくしがもっと上手にバーティ様を導いていたら……。後悔ばかりが募ります。
*****
我が国の起源は古く、王家を初め高位貴族にしか伝わっていない伝承が多くある。
その中の一つが、荒れ狂うこの地を鎮める為に王がその力を振るったというものだ。だから王家は、また王家に近い高位貴族は魔力が高いとされ、その魔力を保つ努力をしている、
この伝承、実は表向きのものであった。
鎮める為に力を『振るった』のでは無い。
その身を、捧げたのだ。
王家に必要なのは、この地を鎮める為の魔力。
つまり、鎮めるだけの魔力を持っていたものが王家になっただけ。……そう、その身を捧げる者を担ぎ挙げただけなのだ。
捧げさせる大義名分に、王家となったのが我がサクリファイン家である。
犠牲になる者を出した家、それが我が家であり、供物が足りなかった時のために公爵家などの高位貴族が存在した、それが始まりである。
王城地下深くには祭壇がある。身を捧げた場所の上に王城を築いたからだ。
この地を鎮めたこの国の始まり、それ以降不定期に供物は必要となった。王家から何人もの供物を出した時、それでも足りず高位貴族の娘をも捧げた時すらあったという。
平常時ならば、王家も高位貴族も供物の事など考えない。
私、シヴァ・サクリファインの婚約者を決める時も、形式的に、高位貴族から一番魔力値の高い令嬢を選んだだけのことだった。
事態が変わったのは今年、私たちがアカデミーに入学する頃のことだ。
ここ300年は供物を捧げる儀式の必要が無かった。だから、私はクリシュナと普通に、当たり前の様に結婚し国を治めるのだと思っていた。勿論二人で。
何事もなければ、ただの高位貴族との政略結婚だった。現在国中で最も魔力値が高いのは彼女だったからだ。
しかし、今から3年前の魔力測定の日。バーティ嬢は現れた。もしもを考える国は、備えなければならない。速やかにバーティ嬢を高位貴族の養子とした。
私はもしもに備える王命に逆らいたかった。私の婚約者が変わるかもしれないなど、考えたくもなかった。
クリシュナも、私とは違う意味でバーティ嬢を貴族とするのに反対した。
結果から言おう。
バーティ嬢を高位貴族の養子にしたのは間違いでは無かった。王命に逆らおうとしていた幼き日の自分を叱責したい。
バーティ嬢は美しくそして健気で、クリシュナはバーティ嬢を排除しようとした。バーティ嬢が私の婚約者となる手筈が整っていった。
彼女を思うと胸が痛む。本当に申し訳ないと思う。しかし、私は彼女と添い遂げる。必ず。
*****
あたしが婚約者になって早々に、シヴァ様との結婚が認められた。異例の早さだったと思う。
予想していた王妃教育は全く無くて肩透かしだった。まぁ、楽だから良いけど。
相変わらずシヴァ様はあたしに甘々で、王様も王妃様もあたしにとても優しかった。そう考えると、あたしを排除しようとしたクリシュナ嬢って何なの?ホント。あーあ、やな奴だったわ。
結婚式では、それはそれは美しい真っ白なドレス、繊細なレースで出来たヴェールに手袋、輝く真っ赤な赤い宝石が胸元に光る。
シヴァ様の瞳は新緑を思わせる翠で、この赤い宝石は何故かな?なんて、チラリと思った。
「代々王家に伝わる特別な宝石なんだ」
感極まったのか、涙目で薄く笑いながらそう告げた。
そんな大事な宝石を……、嬉しい。
「君は、私の妃となる。ありがとう、バーティ・プロキシー」
王城の塔の天辺にある鐘が鳴り響く。
あれ、あの鐘って鳴るんだ。特別な時だけに鳴らすものなのかな?凄い、あたし本当に王太子妃になるんだ。
遠くでクリシュナ嬢の声が聞こえたような気がした。この後に及んで、あたしの結婚を拒んでいる声だった。ホント、しつこいんだから。
*****
王城の中央にある大聖堂で行われた王太子の婚儀。荘厳な鐘の音、清廉なる光が差し込み、何処からか花弁が舞う中行われた。
「バーティ・プロキシーを、花嫁と認める」
国王陛下の声が響き渡ると同時に、バーティ・プロキシー嬢の足元に眩い魔法陣が現れた。
「え、え、ええ!何これぇぇぇ!凄い、すごく綺麗!素敵ね、シヴァ様!」
バーティ嬢は楽しそうに王太子に笑い掛ける。
「うん、凄く綺麗だ。ありがとう、バーティ嬢」
先程迄は涙目だった王太子の目からは、滝のように涙が流れた。
「何なに?あたしと結婚出来てそんなに嬉しいの?ふふふ、シヴァ様ったら」
輝く魔法陣は、バーティ嬢の胸元に光る宝石に吸い込まれていく。
ゴーン、ゴォォォォン……
鐘の音が怖い程に鳴り響く。
「……え?」
一瞬だった。
赤い宝石が光を吸い込みきったところで大きな音を立てて砕け散る。
バーティ嬢は、宝石が砕け散ると同時に、その姿を消した。
大聖堂は騒然となる。
王家に引き継がれていた宝石が砕け、花嫁が姿を消したのだ、驚かない筈は無い。
「王国伝承第5節の通り、王家は力を捧げた。今この時を持って、プロキシー伯爵は公爵とする。ひとときの安寧は、バーティ・サクリファインにより約束された。これより一年、皆喪に伏すように」
古の伝承を正確に覚えていたのは四大公爵家とプロキシー家のみだったのだろう。その他の貴族は口々に伝承第5節の内容を思い出そうとしていた。
シヴァ・サクリファインの元婚約者であるクリシュナ・ガーディは、その場に泣き崩れ謝り続ける。
「わたくしの力が足らないばかりに!申し訳ありませんバーティ様!何があろうとも、シヴァ殿下との婚約を阻止すべきでした!申し訳ありません!」
「クリシュナ、君の罪では無い。全て、全て私の罪だ」
泣き崩れるクリシュナ公爵嬢にシヴァ殿下がそっと近寄る。その顔は真っ青で、涙に濡れていた。
「わたくしは覚悟していました。前兆があったあの時に、わたくしの身を、貴方の為に捧げる覚悟を。なのに、何も知らないバーティ様を!…嗚呼!バーティ様!申し訳ありません」
「私の、我儘だ。クリシュナを、失いたくなかった。君を愛してるんだ、クリシュナ。そしてこれは王家の総意だ。君のせいじゃない」
赤い宝石は、供物の証であった。
婚姻の儀で、あの赤い宝石を身につけている者が供物となる。
「何も知らない彼女を、捧げるなんて。わたくしを捧げ、彼女を側妃にすれば良かったのに!何故ですか!」
「バーティ嬢には、王太子妃、ひいては王妃たる素養は無かった。そして何より、宝石がバーティ嬢を選んだんだ」
青白い顔でシヴァ殿下の言葉に、クリシュナ嬢は何も言えなくなった。
恐らく、クリシュナ嬢では、足りなかったのだ、魔力が。バーティ嬢が現れるまで、随一の魔力値を誇るクリシュナ嬢をもってしても。
荒れ狂うこの地は、いにしえより何人かの供物で生かされている。
しかしこの事は、高位貴族のみの記憶となる。いにしえからの慣わし、慣例通りなら高位貴族……場合によっては王自らが供物となる事は、平民や下位貴族は知らされない。
よって、シヴァ王太子殿下の婚儀に出席した全ての貴族(平民の出席は許されていない)のうち、下位貴族から記憶を奪う事となる。
本来ならその身を捧げる筈であった、クリシュナ・ガーディ公爵令嬢の手によって。
「何がガーディ……、王家の守護よ。こんなの、こんなの……」
「本来の意味での守護は出来なかったが、クリシュナ、君は別の形で王家を守ってくれた。この国の存続に供物が必要などとは、国民全てが知る必要はない。これは……高位貴族の義務だ。我々だけが負うべき義務」
「バーティ様は、貴族ですら無かったのに……!殿下は最初からバーティ様を……」
シヴァ殿下は、もう何も言わなかった。
一年の喪が明けた頃、新たな赤い宝石が、大聖堂に現れた。次の供物を捧げる時まで、宝石は持主を待っているのだと言う。伝承の通りだった。
その頃ひっそりとクリシュナ・ガーディ公爵令嬢はシヴァ王太子殿下の側妃となった。
シヴァ殿下の正妃の席は永遠にバーティ・サクリファインのものとなる。
サクリファイン家の家名は、その名の通り犠牲である。
バーティ・サクリファインは、王家の、王国の、礎となったのだった。
ちょっと胸糞悪いので、蛇足的に続きます。
誤字報告ありがとうございます!変換ミス多くて申し訳ありません、助かります。
因みに、バーティの言葉づかいは、敬語入り混じりでギリギリアウトな感じを、みんな暖かく見守ってくれていました。
尚、バーティが供物となる事は王家の皆さんが決め、ガーディ公爵家、プロキシー伯爵家は婚約破棄直前に知らされる事となりました。
クリシュナだけは、王太子の様子に不穏な気配を感じて自ら動いていた、と考えて頂けると幸いです。