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よみがえる小ネタ

風呂のお湯ぜんぶ抜く

作者: 京本葉一

 朝晩が冷えこむ季節となり、長風呂が楽しめるようになった。


 塩を入れるもよし、清酒をたらすもよし、マグネシウムをいれて水素を発生させるのもよいが、母上さまが通販で大量購入した入浴剤をつかうのもよいだろう。

 バラエティあふれる入浴剤セットのなかから、お試し商品とおもわれる青い固形物をえらんだ。説明がどこにも記載されていないが、成分や効用に大きな差異はないはずだ。


 熱い湯を張った浴槽にいれてみる。どうやら炭酸系のようだ。細かい泡を発生させながら底に沈んでゆく。お湯は南国リゾートの海のような美しい青に染まっていった。なんともいえない爽やかな香りが広がる。


 気分よく衣服を脱ぎはらい、全裸になって浴室にもどると、お湯は藍色に染まっていた。見えなくなった底から、大きな泡が浮かびあがり、ゴボゴボと表面で弾けている。海の匂いというか、磯の香りがすごい。海中を漂うプランクトンの死骸を想起させる力強さだ。


 その色合いと半端ないデトリタス感に怖気づいているうちに、ゴボゴボという音が消えた。固形入浴剤が完全に溶けきったのだろう。換気扇をまわしているせいか、濃厚な匂いも薄れつつある。どことなく色合いも、藍色から青色に変化している気がした。


 どういう理屈なのかはわからないが、徐々に透明度が回復しているのは間違いなかった。

 浴室がもう少し寒ければ、かけ湯をして、入浴していたのかもしれない。

 水面が不自然に波立っていなければ、覚悟を決めていたのかもしれない。

 ミニマムサイズでもわかってしまう特徴的な背ビレが水面を移動しなければ、栓を抜いたりはしなかったのかもしれない。


 数分の間、お湯が抜けてゆく様を、全裸で静かに見守っていた。

 なにも問題はなかったが、しかし、落ち着いていられたのは束の間だった。見とおすことのできなかった青いお湯のなかでは、大変なことが起こっていたらしい。

 浴槽の底に、ビキニブラとおぼしきマイクロなお宝をみつけた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] しょうもなっ!(←最大級の賛辞です) [一言] 深読みすればするほど多彩なHENTAI性が滲み出る作品を、こんなにサラッと書ける京本先生はリスペクトに値します。
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