073 俺、おいおい巫山戯んじゃねぇ
「本当にこんなもんなの? それならがっかりだよ。
もっと本気出してよ」
パールの息子が煽ってきやがった。
舐めるなよ!!!
つか、<何物も防げぬ斬撃>を簡単に防ぐってなんなんだよ!?
シーさん行くぞ、ついてこいよ。
「ちっ、出し渋っても仕方ねえか」
俺は強がって見せた。
これは俺自身に大きな負担がかかる奥の手なんだが、仕方ねえ。
「限界突破!!!」
これは生命力を燃やすことで爆発的に魔力を増やすって言う技だ。
だから、やり過ぎると死んじまう。
横を見ると、シーさんも詠唱を始めてやがる。
さっきのとは違う。
シーさんも奥の手を使うってことか。
パールの息子といえば、さっきからずっと笑ってやがる。
その笑い顔、すぐに止めさせているよ!!!
俺は限界突破で増した力を聖剣に込める。
「やっと本気を出してくれるんだね。
なら僕も奥の手を出すよ」
野郎、まだ何かありやがるのかよ。
だがな、限界突破状態の<何物も防げぬ斬撃>は、本当に全てを斬り裂くぜ。
シーさんの準備も整ったようだ。
行くぞ!!!
「限界突破<何物も防げぬ斬撃>!!!」
「<海龍の絶死の一噛>!!!」
俺の<何物も防げぬ斬撃>と同時にシーさんも放った。
うおっ!?
さっきのより段違いに強い!!!
これはさすがのパールの息子でも無事では済むまい。
「第十位階闇魔法<不死邪竜召喚>」
俺たちの技の発動を見て、パールの息子が言い放った。
<不死邪竜召喚>? ん? 聞き間違えか?
流石に<邪竜>が出てくるなんてことはねえよな。
そんな俺の予想は裏切られた。
現れたのは美しい純白の鱗を持つ巨体。
俺の親友にして、俺が殺したドラゴン。
それはパールに違いなかった。
嘘だろ!?
召喚されたパールは大気全体が震えるかのような強烈な咆哮を放った。
すると、俺とシーさん渾身の奥の手が一瞬でかき消された。
おいおい巫山戯んじゃねえ!!!
流石に冷や汗が出てきやがった。
限界突破状態での<何物も防げぬ斬撃>は生前含め一度も使ったことがない。なぜなら強過ぎるからだ。
これなら俺は神すらも殺せると思ってたんだぞ。しかも、俺はエルフやヒト族のバカ共に召喚されてから生前よりさらに力が増してる状態なんだぞ。
クッソ、冷や汗だけじゃなく体が細かく震え出しやがった。
隣のシーさんも同じか。シーさんも震えてやがる。
「さあ、2対2だよ。どうする? 伝説の勇者様と海龍様」
パールの息子がさらに煽ってくるが、どうもこうもない。
これ以上の技は少なくとも俺にはもうねえよ。
その時だ。
急に辺りが暗くなりやがった。
しかも、とんでもねえ存在感を感じる。
召喚されたパールに匹敵するぞ!?
「ウルヴァースおじいちゃんまで来たんだ」
パールの息子が嬉しそうに言いやがった。
巫山戯んな!!!
俺とシーさんが2人係で敵わないパールの息子に召喚されたパール、そこにウルさんまで加わるのかよ!?
流石にキツイっつうの!!!
四神獣の4体のうち3体が揃うとか、神話じゃねえかよ!?
俺はウルさんにどう言い訳するかを考え始めていた。
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