062 我、水の勇者と対峙す
我は風になっている。
得意の風魔法を使い、戦闘領域に絶えず暴風を巻き起こしている。
そして、その風に乗るようにし、風の速度で移動を繰り返す。
対峙している水の勇者は機を伺っているのか、作り出した直径2m程の水球の中に閉じこもっている。
両手を合わせて気を練っているようにも見える。
何か技を出すつもりなのだろうが、そんなものを待つつもりはない。
我は風に乗り、ヒットアンドアウェーの要領で大剣を振るう。
伝説の勇者リューンの固有スキルはインストールされないが、この大剣で十分であろう。
しかし、水の勇者の水球は我の斬撃をうまく受け流してしまう。
「……、副魔将軍。私の水球は鉄壁」
口数の少ない水の勇者がボソっと呟いた。
「……、固有スキル<水球の陣>」
直径2m程の水球が同時に10個程、我を囲むように現れた。
水の勇者は勝ちを確信したかのように嫌らしく口を吊り上げている。
ならば、我も少し技を見せようか。
本当はあまり晒したくはないのだが。
「第十位階風魔法<暴風の不可視の刃>」
我の大剣に暴風が吹き荒れる。
これは大魔将軍の<獄炎の渦>と同じく魔法剣というものだ。
威力こそ負けるが、<暴風の不可視の刃>は風ゆえに見えない。
そして大剣に纏う暴風を伸ばすことで、見えない刃を作り出す。
つまり、我に間合いなどという概念はなくなるのだ。
我は大剣を上段に構える。
そして、水の勇者のいる水球に向かって振り下ろした。
その時、その水球から我に向かって水のビームが飛んできた。
我は大剣を振り下ろしざまに風に乗ってこのビームを避ける。
大剣の見えぬ斬撃を受けた水球は真っ二つに斬れた。
が、そこは液体。すぐに元に戻った。
そして、水の勇者の姿はそこになかった。
水の勇者は先程の水のビームが向かった先の水球にいた。
つまり、水のビームは攻撃でありつつ、水の勇者の水球から水球への移動を可能にしているということか。
そして水のビームは加速した。
我を囲む10の水球の間を絶え間なくビームが行き交う。
我はそれを風に乗って回避し続ける。
しかし、避けるだけではジリ貧だ。
我は飛んでくるビームを避けつつ、大剣をビームに振るった。
風魔法を纏う大剣を受けて、ビームは砕け散った。
このビームが水の勇者の本体であったなら、今水の勇者は砕け散ったことになるわけだが。
我の後ろから再びビームが飛んでくる。
我はそれを回避し、ビームが向かった先の水球を見た。
いない!!!
水の勇者がいない!?
そして背後から殺気を感じ、大剣を地面に刺した。
大剣に纏わせていた暴風を大きくし、我を守る暴風の結界を作った。
案の定、背後からビームが飛んできた。
そのビームは暴風の結界にあたり砕け散る。
水の勇者は背後から飛んできたビームの先の水球にいた。
「なるほど」
「……」
水の勇者は黙ったまま笑っている。寒気のする笑顔だ。
つまり、水の勇者の固有スキルは水のビームに変化して水球間を行き交うのではなく、水球間をワープしているということだろう。
最初は我を勘違いさせるためにわざとビームと移動を合わせていたということか。
しかも先程から、囲まれた水球の外へは出られなくなっている。
自らは通常の攻撃は通らない鉄壁の水球の中に身を潜め、かつ水球間を自在に移動して強力なな攻撃は避ける。
しかも水球はすぐに復活する。
自身の安全は確保した上で一方的に水のビームで攻撃してくる。
上手く出来ている。
ここで、水の勇者の攻撃が苛烈になる。
全方位からビームが飛んでくる。
我は暴風の結界で防いでいる。この程度の攻撃ならばこの結界を突破は出来ない。
だが、こちらの攻撃が今の所上手くいっていない。
「少しばかり考える必要がありそうだ」
我は大剣を地面から引き抜き切っ先を天に向けて頭の上に構えた。
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