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055 僕、3人に秘策を授ける

 2日前。

 僕が久々に会議にでた次の日、不戦の草原で開戦の火蓋が切って落とされる2日前のこと。


 僕はアイルちゃんと大魔将軍、副魔将軍の旧魔王2人と向き合っていた。


「たぶんエリオさんは上手くやってくれるから、不戦の草原で対峙(たいじ)することにはなると思うよ」


 3人は(うなず)く。


「だから、魔素安定石による結界までは上手くいくと思う」


 再び3人は首を縦に振る。


「それで、勇者リューンも海龍も無力化できれば、その時点で僕達の勝ちだ。それはワンチャンあると思う。けど、あの2人をそんなに甘く見ない方がいいと思う」


 3人は静かに首肯した。


「そこで、いくつか僕なりに策を考えてみた」


 3人は真剣な面持ちで僕を見ている。


「1つは、無力化したらすぐに闇魔法で敵兵を拘束すること」

「よろしいでしょうか。魔術師団にそこまで強い闇魔法を使える者はおりませんが」

「魔素安定石で限りなく魔素がゼロになっていれば、弱い闇魔法でも対抗できないと思うんだ。隊長クラス以上は拘束できないにしても、大半は拘束できると思う」

「なるほど」

「次なんだけど、勇者リューンの固有スキル<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>はマジでヤバい。もし、固有スキルが魔素に依存しないんだとしたら、あっさり結界を破られる上に、こっちにも甚大な被害が出る」


 ゴクリ

 唾を飲み込む音が響いた。


「でも、勇者リューンは他の勇者と違って正統派な勇者だと思うんだ。だから小細工なんかしないで、真っ正面から技を放ってくると思う。

 だからさ、こっちの兵を陣の真ん中はダミーを配置したらいいと思うんだ」

「「「っ!!!」」」

「最悪、攻撃を受けてもこっちに被害が無い様にしたい。こっちの兵もこっちが優勢と思っている所にいきなり兵を大量に失うことなると士気が下がると思うし、それは想定しておいた方がいいと思う」

「それは、そうですね」

「どの様にしてダミーを用意しますか?」

「ポルンを貸すよ。ポルンには、先日の龍ヶ峰を奪還した時に、やられた敵兵をアンデットとしてストックさせてある。そいつらで偽装しよう」


 なんか僕、魔王っぽくない?

 3人は額に汗が浮かんでいる。


「あと、そのダミー兵の中に、室長が作った計測器を持たせようと思う。それとスパコンで<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>を解析して、2発目以降をなんとかできる様にしたいと思う。最悪1発じゃ解析しきれないかもだけど、大幅に危険度は下げられると思う」


 そこまで言って、僕は大剣を3本亜空間収納から取り出した。


「これを3人に渡しておこうと思う」

「??? 魔王様、これは?」

「これはドワーフの親方と室長の合作にして最高傑作だよ。外部から情報をインストールすると魔法が使えるという優れ物なんだよ」

「魔王様、まさか!?」


 3人とも気付いたみたいだ。


「そう、これは魔法だけじゃなく、勇者の固有スキルでも解析さえ出来ればインストール出来る様になっている」

「「「っ!!!」」」

「ただ、理論上可能って室長と親方が言ってたけど、当然試したことは無いから、実戦でどうなるかは未知数だけどね。その理論も僕にはさっぱりだったしね」


 そう、この3本の大剣は<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>を解析した後、その情報をインストールさせることで、<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>もどきを撃てる様にするという兵器だ。


「もし上手くいけば、勇者リューンと海龍相手に数的有利を取れる。こっちは最強の斬撃を3人が撃てるわけだからね。ただ、その機構を作るのに最大限小型化したんだけど、どうしてもこの大きさが必要みたい」

「しかし、もの凄いものをお作りになっていたのですね」

「実はね」

「ダイキ様、こいつを持ってみてもいいだろうか?」

「我もお願いしたい」

「どうぞ」


 旧魔王2人はやっぱ興味を抑えられないみたいだ。

 2人は大剣を持った。


「うおっ!?」

「な、何!?」


 2人は思わず声をあげた。

 そう、この大剣はめちゃくちゃ魔力を持っていかれる。だから、この3人くらいしか操れない。魔力だけならポルンもいけるかもだけど、大剣を操るには技量がまだ不足しているかな。


「こいつは中々のじゃじゃ馬ですな」

「我は乗りこなして見せますぞ」

「うん、期待してるよ」

「ちなみに(めい)はなんと?」


 あ。決めてなかった。

 僕は、その場で最大限に頭を回転させた。


「……これは、新生3大魔剣。それぞれ『ダイン』、『ガーネット』、『サムラン』」


 ちょうど3人が旧ダイン王国と旧ガーネット王国、旧サムラン王国の王族だったし、思い付きで決めた。


 3人はそれぞれの大剣を見つめて肩を振るわせた。

 そして、3人は一斉に僕に片膝をついた。


「「「我ら3人、魔王様のご期待に必ずや答えてご覧に入れます!!!」」」


 3人が練習してたんじゃ無いかってくらいに揃って宣誓を行った。


「頼んだよ」


 僕はにっこりと笑って部屋を後にし、アンサッスさんの元へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時は開戦後に戻る。


『<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>!!!』


 勇者リューンはその最強の固有スキルで魔素安定石で作った結界を破壊し、そのままこちらのダミー兵を吹き飛ばした。


「……、やってくれるよね。1人で戦況をひっくり返すとか反則だよ」


 僕は思わず呟いた。

 ただし、僕にも戦場の兵にも焦りは無い。


 僕は自分で淹れた渋い紅茶を飲みながら笑い呟いた。


「想定通りだね」

「おもしろかった!」、「続きが気になる!」という方は、

下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて行ってください。


おもしろくなかったという方は、★☆☆☆☆〜★★★★☆でお願いします。


ブックマークや感想もお待ちしています。



非常に励みになりますので、よろしくお願いいたします。



P.S. 新作の短編も投稿しました。


『世界最大の敵の元魔王、現在はウエイター見習い 〜人間の領地を侵攻中の魔王が偶然出会った町娘に一目惚れした結果、魔王軍を解体してそのまま婿入りしちゃった話〜』


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【世界最大の敵の元魔王、現在はウエイター見習い 〜人間の領地を侵攻中の魔王が偶然出会った町娘に一目惚れした結果、魔王軍を解体してそのまま婿入りしちゃった話〜】

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