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053 僕、久々に会議に出る

 今日は僕も会議に出ている。


 基本的には配下に色々と丸投げしているから僕は暇なんだけど、今日は一応僕が魔王なので、判断を仰ぎたい事があるらしい。


「では、外務卿お願いします」


 アイルちゃんが仕切って会議が始まった。


 アイルちゃんは魔族のナンバー2であるのに、ヒト族のアウム神教国とエルフ族のエルガート聖樹国が不戦の草原の向こうに陣を引いて、いつ開戦するともわからない現状で、それよりも魔王将棋が大事と言い切るくらいなんだけど、今日は出ている。


「は」


 外務卿である旧サムラン王国の王太子だったエリオ・サムランさんが立ち上がった。


「相手方より使者が参り、こちらの書を持って参りました」

「外務卿、内容は?」

「は。要約しますと、『(ただ)ちに降伏し、魔族の領地、技術、利権を全て明け渡すのであれば、開戦を避ける準備がある』といった内容です」

「「「「「っ!!!!!」」」」」


 会議場が一斉にざわついた。


 僕も額に青筋入ったね。鏡見た訳じゃないけど。

 つか、マジで言ってんの? 舐めすぎじゃね?


「皆さん静粛(せいしゅく)に」


 アイルちゃんが場を納める。


「して、外務卿の意見は?」

「は。私は一考の余地もないかと」

「つまり、黙殺という事でしょうか?」

「いえ、使者の首を()ね、送り返しても(しか)るべきかと」

「なるほど」


 会議場を見渡しても、みんな怒り一色だし、エリオさんの意見に同調する色が強いかな。


「では、他に意見のある者は」


 技術卿が手を挙げる。


「技術卿」

「は。基本的には外務卿に賛同いたします。それに加えて、使者の首に魔導爆弾を仕込み、敵方の陣で起爆(きばく)しては如何か?」


 うわーお、随分(ずいぶん)と激しいね。


「しかし、その様な不意打ちは騎士道に反しまする」


 ここで騎士隊の隊長が声をあげる。


「今は騎士道などと言っている場合ではありませんでしょう。敵は卑劣(ひれつ)権化(ごんげ)ですぞ。奴らが邪竜様にした事をお忘れか!」


 技術卿の一喝(いっかつ)に騎士隊長は黙りこんだ。


 ここからは(おおむ)ね技術卿の意見でまとまっていった。


「では魔王様にご意見をお伺いいたします」


 ここで、アイルちゃんが僕に振って来た。


「まぁ考えは悪くないと思うよ。不意打ちは効くしね。で、その後はどうするつもり?」

「その後、と申しますと?」

「上手く爆弾を敵陣で爆発させたとしよう。でも、勇者リューンや海龍は無傷だと思うし、エルフの女も無傷だと思う。それで激昂(げきこう)して勇者リューンと海龍が攻めて来たらどうするかってこと」

(おそ)れながら申し上げます。それならば、堂々と向かいうてば(よろ)しいのではありませんか?」


 技術卿が意見を述べた。


「まぁ、普通ならそうなんだよね。王都は第十位階の魔法すら打ち消せるからさ。でも、勇者リューンと海龍はその上を行くよ」

「「「「「っ!!!!!」」」」」

「みんな僕とイェスタくんの喧嘩を見てたでしょ? 最後までは軍のトップくらいしか見れてないかもだけど。ただね、あの2人はそのレベルだよ」

「「「「「……」」」」」


 場が静かになった。


「では、我らでは防げないと言うのですか?」


 軍のトップである大魔将軍の元魔王のセリュジュ・ガーネットさんが声をあげた。


「う〜ん、他の奴らなら勇者も含めて敵じゃないと思うよ。ただ、あの2人は正直僕じゃないと対応出来ないと思う。SSSランクっていうのはそういう存在だよ」

「「「「「……」」」」」


 困ったな、士気を下げるつもりじゃなかったんだけど。


「そうだ、室長」

「はい。なんでありませんでしょうか?」


 僕の思い付きを研究させるために作った特殊技術研究室の室長でハーフリングのハンさんに(たず)ねた。


「今さ、不戦の草原に魔素安定石ってどれくらい仕込んであるんだっけ?」

「およそ半分が終わっているところであります」


 僕は今後は不戦の草原も開発していきたいと思っていたから、室長と密かに不戦の草原にも魔素安定石を仕込もうとしていた。

 今は魔素が多すぎて生活なんて出来ない不戦の草原だけど、魔素安定石で良い塩梅(あんばい)の魔素濃度に出来れば開発できると考えていた。


 ただ、全域は間に合わなかったみたいだけど。ただ、今回はそれがむしろいい。


「それは向こう半分?」

「そうであります」

「じゃあさ、不戦の草原でお互いに向き合って陣を引いたとして、その瞬間に結界石を発動したとすると、向こう半分だけが発動するわけだね?」

「その通りであります」

「「「「「?????」」」」」


 大半の人は何の話をしているのかわからないと言う顔だ。ただ、室長は意図を理解したのか目がランランと輝いている。

 アイルちゃんやエリオさんも理解してるみたいだけど、少し顔が引きつっている。


「ちなみに魔素安定石は内部の魔素を住むのに丁度いい魔素濃度にするためのものだけど、外部からの操作で内部の魔素をゼロにする事は可能かな?」

「可能であります」

「「「「「っ!!!!!」」」」」


 ここでようやくみんなも分かったみたいだ。


 そう、魔法を使うには魔素が必要だ。魔素は多過ぎると毒だが、少な過ぎてもまたダメなのだ。地球で例えると酸素みたいな感じかな。


 酸素は通常の空気には21%含まれるけど、18%以下になると次第に頭痛や吐き気、目眩が起こり、8%以下失神、6%以下だと最悪死に至る。逆に高濃度の場合は、酸素中毒というものを起こし、全身痙攣などを引き起こし、こちらも最悪死に至る。


 これはあくまで例えだけどね。この世界にも酸素はあるのかな?

 それに魔素はゼロでもすぐに死にはしないみたいだけど、少なくとも魔法は使えなくなるし、活動はしづらくなるみたい。


「みんな、分かった? 流石の勇者リューンも海龍も魔素が無いと魔法を使えないからね」


 誰かがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。


「じゃあエリオさん。上手いこと不戦の草原で対峙(たいじ)できるように考えてもらえる?」

「は!」


 ここから先は配下に任せる事にして僕は執務室に戻った。


「コウお茶淹れて」

「は」


 流石の3執事も(ぼく)が真面目に働いている時に趣味に走るような事はなかった。うん、良かった。


 僕はコウに淹れてもらった紅茶を飲みながら笑った。


「主様、悪いお顔をされておりますよ」

「あら、そう?」

「はい」


 おっと、自分の策が上手くはまった時を考えて思わず顔に出てたみたいだ。

 僕は顔を直して紅茶を楽しんだ。

「おもしろかった!」、「続きが気になる!」という方は、

下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて行ってください。


おもしろくなかったという方は、★☆☆☆☆〜★★★★☆でお願いします。


ブックマークや感想もお待ちしています。



非常に励みになりますので、よろしくお願いいたします。



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