044 僕、週休2日制の導入を指示し、一方で温泉地を作る
「アイルちゃん、そう言えばさ、この国の人達っていつ休んでるの? 僕は好き勝手やってるから特に気にならないんだけどさ」
「??? 特に気にした事はありませんね。私は半年は休んで無いですし、基本的には他の役人や軍人もほとんど変わらないですね。市民もそうだと思うますが」
「それはダメだよ!」
「え?」
僕は生前、働いた事はおろか、学校にすら行ってなかったけど、鬱だとか不登校だとか色々問題になってた。鬱と不登校は同列じゃ無いかもだけど。ただ、責任感のある人ほど鬱になるってネット記事を読んだ事がある。
このままでは、アイルちゃんがいつ鬱になってもおかしく無い。
「よし! この国は週休2日制を導入しよう」
「???」
「とにかく、基本的には土日はお休み。いいね。接客業の人とかは別日にお休みを設けてもいいし、会社によっては人ごとにお休みを分けてもいいけど。やっぱり公私は分けないと。メリハリが大事だよ」
「それだと、生産性が下がりませんか?」
「逆だよアイルちゃん。しっかり休む事で、働いている時にしっかり働けるんだよ。人が足りないなら雇えばいいし、それで雇用も創出できるでしょ。それに休みの日には出かけてもらって、そこでお金を使ってもらえば、それで経済も回るんだよ」
「なるほど」
「だから、今後はもっと観光業にも力を入れよう。今は、結界石何かのお陰で輸出も好調だし国の財政も悪く無いでしょ。最初は国で支援してあげてさ、週休2日を根付かせよう」
「畏まりました」
「あ、一応言っておくけど、こないだみたいに1週間で仕上げるとかしなくていいからね。まずは国が週休2日を実践しないと、市民はやってくれないよ。だから、まずはアイルちゃんが率先して休んでね」
「……はい」
という訳で、週休2日制についてはアイルちゃんにぶん投げて、僕は新たな観光地作りを考えた。
そう、観光といえば温泉だ。僕は生前に温泉なんて行ったこと無いから、半分は自分のためだけど。
僕はサンと一緒に国中を飛び回り、空間魔法で地中の温泉を探り、温泉地に出来そうな所を調べた。
結果、3か所が候補に上がった。
「まずは一番ダイン王国に近い所を開発しよう」
僕は魔王パワーを使って、この国1番のゼネコンに発注した。このゼネコンは元々魔族が魔法を使って建設する事で地球よりはるかに短期間での工事を実現させていた。その上、僕が亜人を仲間にしてからは、力がむちゃくちゃ強いオークを労働力として大量に雇用した事で、一気に急成長したのだ。
魔法は便利だけど、やっぱり人海戦術は強いのだ。
結果、僅か1月で温泉地は完成した。
「やった〜! 早速入ろう。民間の旅館はまた最初に魔王様が入った温泉とかって揉めそうだから、国営の総湯に行こう」
そうなのですよ。コンビニの時と同じ轍は踏まないのですよ。
「はあ〜、気持ちいい〜。温泉ってこんなに気持ちいいんだね〜」
僕は温泉を独り占めし、心行くまで満喫した。
この翌日から、VIPを対象としたプレオープンを行い、1週間後に正式オープンしたのだ。
今回はちゃんと広報にも力を入れたからね。僕も日々成長しているんだよ。
その甲斐あってか、温泉地は大盛況だ。
「主様、私もこの前のお休みに行ってきましたが、温泉とは良いものですね」
「でしょ〜」
今回は新聞に悪く書かれることはなさそうだ。
それに、3執事にも週休2日が適用されているし、市民の間にも徐々に広まっているみたいだ。
「主様、温泉のことが新聞に載ってましたよ」
「お、サン。見せて見せて。今回は流石に悪く書いてないでしょ」
『魔王様発案の温泉地大盛況! しかし、大混雑で芋煮状態。受け入れ人数の設計に不備か?』
ピクピク
「主様、落ち着いてください! ね! 大盛況って褒めてありますよ」
「そ、そうだよね。褒めてあるよね。そうだよね?」
「そうですよ!」
ガチャ。ギ〜。バタン。
「お、シュン。どうしたの渋い顔して」
「主様。新聞に温泉のことが載っていたのですが、『混みすぎて不満の声続出』って書いてありまして」
「おい! シュン! バカ!!!」
「行ってくる」
「主様! どこに行くんですか!」
「ちょっと新聞社に挨拶しに行ってくるだけだから」
「絶対それ挨拶じゃ無いですよね!?」
「離せサン! あいつらには1度言って聞かせないと」
「ダメですって! 落ち着いてください! そうだ! 喫茶店に行きましょう。ね?」
「ふぅ〜、ふぅ〜。……じゃあ喫茶店に行こうか」
「はい! 行きましょう」
そして、僕とサンは喫茶店の前に転移した。
しかし、扉には
『本日定休日』
「あ」
「やっぱり、新聞社行ってくる」
「待って! 待ってください!」
僕はサンに滅茶苦茶説得され、開いていたケーキ屋さんでケーキを買って帰った。
次は絶対新聞社に手放しで褒めさせるからな。
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