041 僕、コンビニを作る
「最近、リザードマン(トカゲ系の亜人)やラミア(蛇系の亜人)も仲間になってくれたじゃん」
「は。最近は亜人種が続々と国の一員になっております」
そうなのです。僕は最近仕事に関しては表に出なくなったから、一般の市民の人達は僕が遊んでばっかりと思っている人も多いらしいけど、実はちゃんとやることはやっているのですよ。
まだまだ隠れ住んでいる亜人はいるらしいけど、エリオさんに頼んでどんどんスカウトしてもらっているのです。
え? 結局エリオさんが働いているだけだって? あ〜あ〜聞こえない〜。
「それでさ、彼らはさ、トカゲや蛇の性質を持ってるから、基本は夜行性じゃん? 別に日中も活動出来ないわけじゃないんだろうけど大変そうなんだよね」
「……、確かにそうですね」
「今は夜間工事とか、夜間警備とかしてもらってるけど、もっとないかなぁ」
「そうですね。軍では夜間工作部隊として確立した役割を持っていますが、軍属でない者は職が限られていますね」
「そうなんだよね〜。お店も酒場以外は夜には閉まっちゃうしね」
僕は、コウに淹れてもらった紅茶を飲みながら、何かないかなぁと考えていた。
「そうだ! コンビニを作ればいいんだ」
「??? 主様、こんびに、とは一体どういったものなのでしょう?」
「一言で言えば、24時間営業の商店って感じかな」
「24時間、ですか」
「そう、最近は夜間に働いてもらってる人も増えてきてるし、需要はあると思うんだ」
「なるほど。ですが、既存の商店の客を奪ってはしまいませんか?」
「基本的には、大量生産した商品を扱う事にして、出来るだけ競合しないようにしよう。後、基本的には少し高めの値段設定にしよう。そもそもコンビニは地球の言葉でコンビニエンス、つまり便利なって事なんだよ。だから、そこに行けばある程度何でも揃ってるって感じであればいいわけ」
「それならば急激に客が奪われるということもないでしょうね」
「僕の生前の国には、それこそコンビニがそこら中にあってさ、コンビニまで何分っていうのがアパートを借りる1つの目安になってたくらいなんだよ。逆にコンビニまで1時間とかだとすごい田舎って事が伝えられるほど浸透してたんだよね」
「それは凄いですね」
「国営にするのはおかしいから、民間でやってくれそうな所を募ろう。出来れば2〜3社はほしいね」
「なぜですか?」
「コンビニには、書籍や日用品も取り扱ってもらうけど、食べ物なんかはプライベートブランドになるからさ。価格はある程度統制するとしても、クオリティは競い合ってほしいじゃん」
「なるほど」
僕は早速アイルちゃんにぶん投げた。
「魔王様、次は何ですか? 私はこれでも忙しいんですよ?」
いや、アイルちゃん。あなた最近は将棋ばっかやってるじゃん。
「しかし、これは面白いですね。早い段階で実現出来るように動きます」
「ありがとう。アイルちゃん」
この僅か1週間後、コンビニ第1号店が中央通りに同時に5店オープンした。アイルちゃんの呼び掛けに5社が手を上げ、競うように出店を急いだ結果らしい。
しかし、魔法があると言っても早すぎだよね。
オープン当初は物珍しさから人でごった返した。
それも1週間もすると次第に落ち着いていった。狙い通り、個人商店の客を奪う事にならずにすんだようだ。
ただ、夜間も開いているというのはこの世界でも需要があったようで、売り上げはそこそこ上がっているとの事だ。
やっぱり、自分の発案した事が上手くいくというのは嬉しいよね。
僕は、出来たコンビニに行くのが凄く楽しみだった。
だが、だがだよ。僕はまだコンビニに行けていなかった。
オープンの日に中央通りに行ってみたら、各社から物凄い客引きにあったのだ。
どこも、『最初に魔王様が来店したコンビニ』という箔がほしかったみたい。
僕はどこかに肩入れするとかしたくなかったから、結局どこにも入らず帰ってしまった。
つまり、今後もコンビニには入れないというこになってしまったのだ。
僕が、コンビニに入れず悶々としている間もコンビニは続々と増え、来月には全国を網羅するという。
「来月にはこの国でコンビニに行った事がないのは魔王様だけになりそうですね」
「コウ〜。そんな悲しい未来を口にしないでよ〜」
いいんだよ。元はリザードマンとラミアの雇用の為だったし、それは達成出来たし。
別にコンビニに行けなくても悔しくないもん。ほんとだもん。
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