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037 僕、携帯電話を作る

「ドワーフ屋、おぬしも悪よの〜」

「いえいえ、魔王様ほどでは」

「「がっはっはっはっは」」


 僕は、ドワーフのとある職人と会議室で楽しく話していた。

 いや〜、こういうノリってやってみたかったんだよね。

 魔族領内に作った民間放送局に作らせた時代劇が流行ったお陰だ。

 生前の病院の談話室のテレビはよく時代劇が流れていたから、僕もちょくちょく見ていた。

 やっぱり勧善懲悪は何処の世界でも受けるよね。


「はぁ〜、魔王様、ふざけるのはその辺りにして、話を進めてもらえますか?」

「……、アイルちゃん。ちょっとノリが悪いんじゃない? ねぇ?」

「そうですよ、アイル様」

「ま・お・う・さ・ま〜」

「「すいません」」

 今日僕はドルゴーン連邦にあるとある工房に来ている。

 バザル大王に紹介してもらった、ドルゴーン連邦の中でも精密機器分野でピカイチの工房だ。


「じゃあ話を進めるけど、頼んでた携帯電話の進捗はどんな感じ?」

「先日ようやく試作機が出来ましたぞ。おい、持ってこい」

「へい」


 弟子? がそそくさと動いて、その試作機を持って来た。


「魔王様、こいつです」

「おお〜」


 携帯というには大きい。横10cm、縦15cm、厚み5cmくらいかな。でも、これがこの世界、アウムスフィアで最初の携帯と思うと感慨深い。


 僕は、ヒト族とエルフ族とのいざこざがひと段落したことで、魔族領を改革することに決めた。

 その1つとして、携帯電話を普及させようと考えたのだ。


「どれくらいの距離まで会話出来るの?」

「そうですな、ドルゴーン連邦内であれば通じますな」

「魔族領までは厳しい?」

「現状ではまだ厳しいですな」

「でも、魔王様、これは十分にすごいですよ。遠隔通信というのはこれまで非常に限られた魔術師同士、もしくは大型の装置が必要でした」

「僕は、大陸中で使えるようにしたいからさ」

「流石魔王様。スケールが違いますわい」


「ちょっと、魔石回路を見せてもらっていい?」

「もちろんですわい。持ってこい」

「へい」


 地球の携帯電話には集積回路というのが入ってるというのはなんとなく知ってる。けど、僕がそれを再現するのは不可能だ。

 だから、この世界にある魔力を帯びた鉱石である魔石を使うことにした。魔石は魔力の伝達率が非常に高い。

 そこに小さい魔法陣を組み込むことで、代わりにしようと考えたわけだ。


 僕はこの案をこの工房に持ち込んだ。

 すると、親方は目の色を変えて飛びついてくれた。

 詳しいことは専門家に任せることにして、その試作機完成の報を受けて、今日やって来たというわけだ。


「これが使っている物と同じ魔石回路ですわ」

「うん」


 僕は手に取って見てみる。魔石自体は横8cm、縦8cm、厚み2cmくらいか。

 携帯の大きさはともかくとして、魔族領までは通信したいよなぁ。なんとか出来ないかなぁ。


「……どうでしょう?」

「これさ、魔法陣を重ねることって出来ないの?」

「!!!」

「魔石もこのサイズじゃなきゃダメ?」

「!!!」


「う〜む、魔石には1つに1つしか魔法陣を刻めないのですわ。魔石も、この魔法陣を刻むにはこのサイズが必要で」

「魔石の厚みは関係ある?」

「!!! 厚み? ですか。加工技術があれば薄い魔石に魔法陣を刻むこと自体は可能です」

「なら加工さえ出来れば、限界まで薄くして、魔法陣を刻んだ魔石を重ねれば、魔法陣を重ねた状態を作れるよね」

「それは出来ますな!」

「よし! じゃあ魔法陣を重ねられたら、魔族領とでも通信出来そう?」

「出来ます! 出来ますぞ!」

「じゃあまずは魔石の加工方法を研究しよう」

「よっしゃ! やりましょう! 魔王様!」


 本当は、魔法陣自体をもっと効率的に出来たらいいんだけど、それはいきなりは難しそうだし、また次だね。それも出来れば、スマホを作ることも夢じゃないよね。


 アイルちゃんはこの時点で国に戻った。やっぱり、バリ忙しいみたい。


 そして、アイルちゃんという枷を外した僕と親方は、このまま5徹してしまった。

 弟子のみなさんが次々に倒れていったよ。


 しか〜し!!!

 僕と親方は魔石の厚みを2cmから5mmにまですることが出来たのだ〜!!!

 はっ、はっ、は〜!!! 

 これで大きさを変えずに、4倍の性能が実現出来るぞ〜!!!


 ヤバイ。 徹夜続きでテンションがおかしくなってる。


 この1週間後、試作第2機が完成!!!

 多少、使いやすさについて修正をお願いした。


 それからさらに1週間後、遂に異世界版携帯電話が完成したのです!!!


「親方! よくやってくれた!」

「魔王様! やりました!」


 僕と親方は抱き合って喜びを分かち合った。


「それで、親方。こいつをいくらで売り出せそう?」

「そうですな、間違いなく最新という技術が使われておる上、それなりに魔石も使っておりますからな。

 大金貨2枚ってとこですな」

「へっ?」


 え〜と、確か大金貨って、1枚1,000,000Dだよね? それが2枚ってことは、日本円で2百万!?


「うは〜」


 携帯電話を普及させるという目的はここで一旦頓挫してしまったのだった。


 ただ、非常に有用ということで、魔族、ドワーフ、獣人の同盟3国の上層部と軍には導入された。


「親方、次はより廉価にすることを目指そう!」

「わかりましたわい! 魔王様!」


 僕と親方の戦いはまだまだ続いていくのだった。

「おもしろかった!」、「続きが気になる!」という方は、


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【世界最大の敵の元魔王、現在はウエイター見習い 〜人間の領地を侵攻中の魔王が偶然出会った町娘に一目惚れした結果、魔王軍を解体してそのまま婿入りしちゃった話〜】

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