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034 僕、龍ヶ峰を奪還する

「いよいよです」


 僕の後ろにはドラゴニュートのドサさん、キングオーガのオッニュさん、ハイオークのピックさんが控えています。

 3人の後ろにはドラゴニュート50人、オーガ100人、オーク500人が更に控えています。


「ドサさん、オッニュさん、ピックさん、用意はいいですか?」

「もちろんじゃ!」

「当然だよ!」

「行けまっす!」


「みなさんもいいですね?」

「「「「「おーーー!!!!!」」」」」


 みなさんやる気マンマンです。


 僕は、今回の部隊の隊長ですので、ここでみんなに向かって言葉を発しなければなりません。

 大魔将軍のセリュジュ様も部隊を率いる者は部隊の士気を高く保つことが何よりも重要と仰っていました。


 僕はこの中では1番若輩です。

 だからこそ、バッチリ決めないといけません。


「みなさん、今回の作戦は魔族にとっては言葉には表せないほどに重大なものです」


 みなさん、真剣に聞いてくださっています。


「みなさんは最近ダイン魔族連合王国にやって来られました。

 それを任せてもらえるということはダイキ様からの信頼の表れです。

 龍ヶ峰が魔族にとってどれほど大事かは今はわからないかもしれませんが、ダイキ様の為に絶対に成功させなければいけません」


 僕はちゃんと出来ているでしょうか。

 でも、ダイキ様の名前を出したらみなさんの顔立ちが変わりました。

 案外チョロいかもしれません。


「そうです。龍ヶ峰は、ダイキ様が生まれ育った場所なのです」

「「「「「っ!!!!!」」」」」


 みなさんはダイキ様には心酔していますので、僕はここでこの情報を出すと、作戦直前の高揚感と相まって、きっと物凄く士気が上がると思いました。

 だから、ここまでわざとこの情報を隠しました。


「「「「「うおおおおおおおおおおーーー!!!!!」」」」」


 みなさんの雄叫びがまるで地鳴りのようです。

 効果抜群ですね。


「その上、魔族にとっての神である伝説の邪竜様の住まわれていた地でもあります。

 そして、邪竜様こそ、ダイキ様のお父様なのです」

「「「「「っ!!!!!!」」」」」


 この情報も僕が隠していました。

 へへ。


「そんな聖域をヒト族とエルフ族は奪った上、邪竜様を討ったのです。

 言うならば、これは聖戦です!

 みなさん! 全力で奪い返すのです!」

「「「「「うおおおおおおおおおおーーー!!!!!」」」」」


 マジでダイキ様パないです。

 マジみなさんチョロいです。


「ポルン、おまいわざと黙っとったな?」

「へへ」

「……、見た目と違うて可愛げのないやつじゃな」


 ドサさんはやれやれ、みたいなアクションをしている。

 でも、ドサさん。あなたも魔力が昂ってるのバレてますよ。


「では、お伝えしていた通り作戦を開始します」


 場がピリっと引き締まりました。

 みなさん高めた気を内に仕舞ってギラギラとさせています。


 僕はそれを確認すると、ダイキ様直伝の魔法を唱えました。


「第7位階闇魔法〈不死軍団召喚(アンデットアーミー)〉。と、第8位階闇魔法〈悪魔軍召喚(デビルアーミー)〉」

「「「「「っ!!!!!!」」」」」


 みなさんも驚かれたようですね。

 伝えてはありましたが、見ると聞くでは違うのでしょう。


 僕はアンデットを1000体、悪魔を50体召喚しました。

 アンデットの中には、苦労して倒した愚者の森の主もいます。

 ダイキ様に比べればまだまだですが、これが今の僕の御しきれる限界です。


 そうです。みなさんに伝えていた作戦というのは、まず僕が召喚するアンデットと悪魔が先行し、龍ヶ峰の結界を無力化するというものです。

 そして結界を無力化した龍ヶ峰をAランク以上の精鋭のA隊で攻め、残りのB隊で龍ヶ峰を包囲するというのが大まかな作戦です。


 そもそも龍ヶ峰自体がAランク以上の魔物が跋扈する魔境です。

 なのでBランク以下ではそもそも厳しいです。


 つまり、ヒト族とエルフ族も龍ヶ峰の中にはそれほど多くの戦力はいないと思います。

 逆に言うと、中にいるのはAランク以上の実力者ということです。

 実際には、今の龍ヶ峰にどれほどの戦力がいるかも結界のせいでわかりませんが。


 ダイキ様は、恐らく、麓に大勢魔術士がいて、そいつらが結界を維持しているのだろう、前回に比べて結界が弱いから麓の魔術士を倒せば結界はなくなるだろうとも言ってました。


 そのため、伝説の勇者リューンをはじめとするトップオブトップの主戦力は残っていないだろうというのも、ダイキ様の見立てです。


 だからこそ僕達に任せてくれているのです。


 さて、僕はみなさんの前に立つに相応しくあるべく、魔力を解放します。


「「「「「っ!!!!!!」」」」」

「おまいもバケモノじゃの」


 僕はこれを褒め言葉と受け取り、少しだけにやけそうになりました。

 いやいや、と僕は表情を改め、右手を天に掲げます。


「全隊戦闘態勢!!!」

「「「「「はっ!!!!!」」」」」


「アンデットアーミーとデビルアーミー、龍ヶ峰を覆う結界を無力化すべく死力を尽くせ!」


 アンデット達と悪魔達は猛スピードで龍ヶ峰に突っ込んで行きます。


 そう言えば、死力っていうかアンデットはそもそも死んでますね。へへ。


 こうして戦端が開かれました。




 今回は、僕達新戦力のお披露目でもあるので、小狡いことは行わず、正面突破です。

 なので、向こうにもこちらが不戦の草原に陣取った時点でバレているはずです。


 ですが、異常なほど呆気なく結界は無力化されました。


「あれっ?」


 僕は思わず声が出ました。

 罠かとも思いましたが、アンデットと悪魔達からそんな報告は上がってきません。


「想定通り結界は無力化されました!」


 僕はさも想定通りという風に取り繕います。


「あれ? って言うとったじゃろ」


 またドサさんがやれやれをやってますが、無視です。


 そして、力強く右手を振り下ろします。


「全隊、続け〜!!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおーーー!!!!!」」」」」


 僕達が龍ヶ峰の麓に着いた時には、麓にいただろうヒト族、エルフ族の魔術士や兵は全滅していました。


 あれ? 弱すぎない?


「では、B隊は麓を包囲! アンデットアーミーも包囲に参加!

 A隊は龍ヶ峰に突撃!!!

 デビルアーミーは先行しろ!!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおーーー!!!!!」」」」」


 今回はあれ? って声に出してないのにドサさんはまたやれやれしてる。無視無視。




 僕達は何の障害もなく頂上まできてしまいました。


 あれ?


 頂上では、結構強うそうなヒト族とエルフ族が20人くらいいました。

 それを悪魔達が取り囲んでいます。


「……、おまいだけで良かったんと違うか?」


 ドサさんのやれやれが加速しています。


「……、流石にここにいるのは精鋭のはずですよ。

 ドサさん達の出番ですよ」


「……、じゃあ、いっちょやっちゃるか。のお?」

「ようやく出番かい」

「頑張るっす!」


 ドサさんをはじめA隊のみなさんが前に出て行きます。


 ドサさん達の魔力の迸りが激しさを増していく中、


「許してくれ〜!!! 降伏する!!!」


 ヒト族の部隊長みたいなヤツが何か言ってきました。


 ん? 聞き間違いかな?


「えーっと、もう1回言ってもらえます?」

「だから! 降伏する!!!

 早くこの悪魔達をどうにかしてくれ〜!!!!!」


 マジですか?


 よく見ると悪魔に囲まれたヒト族はみんなブルブルと震えています。


「……、やっぱ、おまいだけで良かったじゃろ?」

「……、あれ〜?」


 こうして僕達はあっさりと龍ヶ峰を奪還したのでした。


 ドサさん、いい加減やれやれがうるさいですよ。

「おもしろかった!」、「続きが気になる!」という方は、


下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて行ってください。

やれやれという方は、★☆☆☆☆でお願いします。


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【世界最大の敵の元魔王、現在はウエイター見習い 〜人間の領地を侵攻中の魔王が偶然出会った町娘に一目惚れした結果、魔王軍を解体してそのまま婿入りしちゃった話〜】

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