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第73話 やっぱ魔物って・・アホなのか?

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

感謝です。


ん?

あれ、俺の目って・・近眼じゃなくなってる!

回復してるんじゃないか?

戦車と魔物の戦闘を見ていて思った。

そういえば、腰の痛みもないような気がする。

今更ながら気づいたが、このシステム、ありがたい。

おっと、それどころじゃない。

・・・

さすが自衛官だな。

こんな状況なのに、余計な奇声を上げてないぞ。

だが、絶望的だと思うのだが。

!!

ありゃ? 

戦車のハッチを開けてライフルか。

余計にダメだろう。


あれは・・そうか、人が走って来てたのか?

「助けてくれ~!!」

叫びながら走ってくる人が見える。

なるほど・・あの人たちを助けようとしてるのか。

何という責任感の強さか。

・・・

しかし、無理だろう。

クッ、申し訳ない!

俺には出て行けない。

どう考えても無理だ。

・・すまない!


<戦車を俯瞰できる場所で>


女の子3人がひっそりと身をかがめ、成り行きを見守っていた。

「ちょっと久美、動かないでくれる?」

「仕方ないじゃない! あの魔物に見つかったら、確実に殺されるわ」

「わかってるわよ・・でも、いったい何が起こっているのかしら・・ううん・・わかってる。 ゲームのような世界になったのよ」

「由美・・」

「そうね・・本当に、夢じゃないわよね」

「うん、昨日から何度も確認したわ」

久美子、由美、茜の3人の女の子がひそひそと話し合っていた。

「茜・・あの魔物に魔法って効果あるのかしら?」

「わからないわ・・でも、もし魔法を放って効果がなければ、私たち死ぬわよ」

・・・

みんなわかっていた。

目の前の状況を見てジッとしていられるはずもない。

だが、動けば自分たちが死ぬ可能性がある。

それもかなりの確率でだ。


「・・うん・・わかっているわ。 言葉にしたくないけど、私たちでは無理よ。 今、こうして生きているのも奇跡のようなものよ」

由美の言葉に、みんながうつ向く。

「と、とにかく・・今は見つからないようにしましょう」

目の前で人の尊厳が踏みにじられている。

助けたいが、今の彼女たちの力ではどうしようもない。

現に、今こうして生きているのが奇跡と言っていいだろう。

それは痛い程わかっていた。

だからこそ、誰も言葉にせず耐えていた。


<テツ>


オークが戦車を持ち上げた。

「クッ!」

俺は目を閉じる。

ガッシャーーン・・ドッゴーーーン!


ゆっくりと目を開けると、炎が立ち上っている。

周りにいたオークたちが集まってきた。

同じように戦車を持ち上げて投げつける。

先程の自衛官と助けを求めていた人は消えていた。

クソが!

そのうち、ガーゴイルも集まってきて、戦車や車を空中に持ち上げては落としていた。

・・・

無茶苦茶だな。

チッ!

俺が奴等を余裕で倒せるくらい強ければ、速攻で仕留めるのに。

そんなことを思ってみるが、確実に無理だ。

瞬殺されるのは目に見えている。

それにしても、戦車ってあんなに軽かったか?


今度はオーガが大きな石のような棍棒で戦車を叩きつけていた。

戦車が段ボールみたいにグシャッとなる。

恐ろしいな。

このままここで居てもどうしようもない。

それに見つかったら終わりだ。

俺が移動しようと思うと、何やらオークの投げた車が他のオークの背中に当たった。


なんだ?

当てられたオークは振り向きざま、投げたオークに戦車を投げつけていた。

・・・

1体だったのが、2体、4体・・・。

まるでオークの雪合戦のような感じになってきた。

投げる車や戦車がなくなってきたら、瓦礫を投げつけ始めた。

ガーゴイルも参加して、まるで魔物たち運動会のようだ。

人がやるような枕投げや雪合戦ではない。

当たれば同族と言えども、血しぶきが舞い死傷している。

・・・・

こいつら、やっぱりアホなんだ。


オーガがこの辺りではレベルが一番高いが、オークが他のオークを倒すと稀にレベルが上がったりしていた。

なるほど・・魔物って、こうやってレベルが上がったりするのか?

俺は妙に納得する。

それなら魔物の抗争もアリなのかもしれないな。

適当に減ってるし。

地響きを感じながら俺は見ていた。


見ているだけってのは、なにかおもしろい感じがする。

ただ、渦中にいると即死だろうな。

それはわかる。

そりゃ、街が滅ぶわけだよ。

それにしても、こいつら手加減ってものがないんだな。

全力だ。

やっぱ、アホだな。

さて、長居は無用だ、移動しよう。

俺が動こうとすると、上空から1体のオークが降ってきた。


ドーーーーーーン!

うわぁ!!

もう少しで俺は声を出すところだった。

危ない、危ない。

オークはプルプル身体を震わせながら、起き上がろうとしている。

!!

こ、これはチャンスか?

俺は一瞬迷ったが、オークに突きを連打した。

ドドドドドドド・・・


『経験値を獲得しました』

yes!

俺はオークの赤い魔石を回収。

ありがたい。

こんな感じで経験値が手に入るなら、ラッキーすぎるぞ!

やっぱり、もう少しこの争いを見て行こう。

そして、弱ってる奴等がいたらいただいてしまおう。

そんな不埒ふらちな考えが俺の頭に浮かぶ。

適当に土埃も舞ってるので、見つかりにくいだろう。


そして、そんなチャンスは案外あるもので、オークたちの争いの外側にガーゴイルがやや多く倒れていた。

この刀はガーゴイルとは相性がいい。

ガーゴイルが落とされて倒れているところに俺は近づき、何体かを狩ることができた。

プス、プス、プス、プス・・・・。

やっぱり、軽く刺さるな。

ラッキー!!

これはかなりおいしいぞ!


『レベルが上がりました』

!!

マジか、早いな。

俺は驚いた。

しかし、ステータスを確認できるほど余裕があるわけではない。


吹き飛んでくるオーク。

落ちてくるガーゴイル。

それにしても多いな・・って、あいつか!

オーガ:レベル21。

棍棒を振り回しまくっているな。

そりゃ、ここら一帯の仲間というか、魔物はいなくなるんじゃないか?

それに、初めからレベルの低い魔物はいなかったしな。

低い魔物は郊外にでも行くのかな?


少しの間だったが、とても効率よく魔物を狩ることができた。

結構な数の魔物をいただいたし、レベルも上がった。

そろそろ行くか。

そう思っていたら、俺の身体にゾクリと寒気が走る。

忍術のスキルだろうか。

危険を察知したら感じるのか、本能なのか・・俺の目の端で、オーガがジッと立っているのをとらえる。

・・・

見たくないが見るしかない。

そっと、ゆっくりとその方向に顔を向けていく。

・・・

オーガが手にしていたオークをポトリとその場に落とす。

!!

間違いなく俺と目が合った。


豚ではない。


オークのような感じだと思っていたが、全然違う。

マッチョは間違いない。

牙が生えている・・口からはみ出していた。

小さな角のようなものも見える。

そこまでだった。

オーガがこちらに向かって歩いてくる。

俺の方じゃないよな?

そんな俺の希望的観測はすぐに消え去る。

俺は逃げようと思ったが、逃げた瞬間に追いつかれるような気がする。

近くで爆発でもあれば逃げれるのだが。

・・・

調子に乗り過ぎた。

サッサと移動しておけばよかったんだ。

だが今さら遅い。

って、死亡フラグを立ててどうする!!


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

よろしければ、ブックマークなどお願いします。

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