第43話 無条件で信頼できる人物って、存在するんだな
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俺は思わず立ち止まってしまった。
嫁たちは前を歩いているので気づいていない。
すぐに俺も歩き出しながら連想した。
王だと?
なんだそれ。
もしかして痛い奴だったのか?
それにアニム王国?
そんな国・・俺の記憶にはない。
でも、こんな頭の中での会話ができている。
俺の頭がおかしいわけじゃないだろう。
『戸惑わせてしまったかな。 念話に答えてくれるものいたのがうれしくてね』
アニム王と名乗る人が優しく言う。
それにしても念話というのか、この会話。
確かに頭で思うというか、話そうと思わなければ思考は伝わらないようだが。
『君は、アニム王国の国民ではないね』
アニム王と名乗る人はいう。
『はい、地球人です』
ゆっくりと嫁たちの歩調に合わせて、俺は歩いている。
『そうか、この星の住人なんだね。 しかし、この念話が使えるということは、一定のレベルを持っているはずだが。 君はどうやってそのレベルを持ったのかね。 もしかして、初めからそのレベルが備わっていたのかな・・いや、すまない。 尋問するようなことを言ってしまった。 気を悪くしないでくれたまえ。 まずはこちらのことを話させてくれ』
アニム王はそう言うと、いろいろと話してくれた。
王が転移してきて、王の国の光の神も一緒に転移してきただろうこと。
神なんて本当にいるんだな。
念話も誰か一緒に転移したものに対する呼びかけだということ。
そして、光の神と地球の神が融合し、それによって今までの自然世界のシステムが変わってしまっただろうということ。
・・・・
・・・
大量の情報が俺に流れ込んでくる。
だが、パニックになるようなことはない。
スポンジに水がしみ込むように俺に定着していく感じがした。
そして聞けば聞くほど、この王はかなりの人格者だと確信できる何かがあった。
絶対的な信頼を寄せても問題ないと思わせる何かを、俺は感じずにはいられなかった。
それにしても、嫁とお義母さんは俺のことをチラっと見ることはあっても、気にすることなく歩いているよな。
『君は、私の話を信じてくれるのかね』
王はいう。
『アニム王、信じるというより、すでに昨日までとは違うことを実感してしています』
俺はうまく答えれなかった。
『そうか・・だが、申し訳ないと思っている。君たちの世界基準が変わってしまったことを・・』
王は本当に申し訳なさそうに語ってくれた。
俺は即座に反応。
『アニム王! とんでもありません。 私はむしろ感謝しています』
『感謝?』
『そうです。 今までの私たちのシステムでは、人の努力や行動が報われる世界ではありませんでした。 ですが、今のこのシステムでは、行動がすべて自分につながっています。 それに、神というものの存在はわかりませんが、ただ、いつも自然の存在を感じてはいました。 人の意思を超えたもの。 そして、この地球の存在というか、地球がそれを選択したために、ステータス画面が出現する世界になったのではないですか?』
俺は話をまとめることもできずに、思ったままに熱く語ってしまった。
俺はいったい何を言っているんだ?
なぜ、顔を見たこともない人に熱く語っているのか?
おかしいと思うかもしれないが、この王には何か人を信頼させるものがある。
俺も自分自身がわからなくなっていた。
王はしばらく考えていたようだ。
『・・君は、おもしろいね。 そう言ってもらえると少し気持ちが楽になったよ。 ありがとう』
『アニム王、お礼など・・こちらこそです』
俺も即答した。
『そうか・・君、テツ君だったね。 また念話をさせてもらってもよいだろうか』
王は優しく話す。
『もったいないお言葉。 こちらこそよろしくお願いします。 あ、それとテツと呼び捨ててください』
『ありがとう、テツ。 後、何か聞きたいことはないかね』
アニム王がそう言ってくれるので、俺はレベルのことや魔物のこと、どうして出現するのかなどをいろいろ聞いてみた。
魔物の発生は仕方ないとのことだった。
魔素を使うシステムでは当然起こるものだという。
だが、コントロールはできるそうだ。
人族などの単一魔素を持つものが1か所に多く集まると、それを分散させようと神の意思というか自然のシステムが働くらしい。
20~30万人単位あたりで発生する魔物のレベルが決まってくるという。
30万人単位であれば、レベル15辺りの魔物。
50万人単位であれば、レベル25辺りの魔物。
80万人単位であれば、レベル30辺りの魔物といった具合に現れるという。
あくまでも目安で、当然例外もある。
そして、コントロールするにはダンジョンや森などの特定の場所に魔石、魔物を倒すと得られる石のことだが、それを集めて術を施すと魔物の発生がコントロールできるという。
ダンジョンなどは、そのシステム自体が生きているので、放っておいても問題ないそうだ。
ただ、管理しておかないと、魔物が溢れ出して困ることになるとか。
また、ダンジョンを作るには特殊なスキルが必要らしい。
・・・
あと、俺がステータス画面に取り入れていた魔石・・自分より低位の魔石では意味がないそうだ。
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