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第400話 戦慄

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。



<南極:ゼロの居城>


ゼロが俺を見ながら言う。

「テツ、イリアスと鍛錬しただろ? イリアスの闘気、まぁボクもそうだけど、竜神気りゅうじんきっていうんだ。 それを受けたり攻撃したのが経験値になっているんだよ」

「え、でも経験値獲得しましたとか、レベルが上がりましたとか聞こえなかったのですが・・」

俺は少し呆けた顔でゼロを見る。

「ここで念話って使えたっけ?」

ゼロが言う。

・・・

そういえば、外の声が何も聞こえない。

来たときには何も考えれなかったが、いったいどういうことなんだ?


「まぁ、言わば神域というか異空間というか、天の声も言わば世界の声だからね。 ここだけは違うんだよ。 ボクのお腹の中というか、そんな感じかな」

ゼロは笑いながら言う。

笑い事じゃないぞ。

もしかして、浦島太郎じゃないだろうな。

俺は焦ってしまった。

そんな俺の顔を見てゼロがまた笑う。

「テツ、心配しなくてもいいよ。 時間の流れは同じだから」

ゼロ、あんたはエスパーか!

俺の思考を読むんじゃない!


「さて、時間もあまりない。 テツ、良くないものが出ようとしている。 そして、確実に出るだろう。 後は君たちの頑張り次第だね」

ゼロはイリアスに目線を移す。

「わかりました、ゼロ様。 テツ、私が帝都まで送って行こう」

イリアスが言う。

「え、いや・・飛行船で帰ればいいんじゃ・・」

俺の言葉にゼロが首を振る。

「テツ、それでは完全に手遅れだよ」


イリアスが行くぞ、と言って俺を抱えようとする。

イリアスさん、あんた忙しいな!

俺はゼロに向かい慌ててお礼を言った。

「ゼロ、本当にありがとうございました。 あなたは何もできないと言ってましたが、これほど私にしてくださいました。 本当に感謝しています。 もし、生き残ることができればまた伺います」

俺がそこまで言うと、イリアスが俺を抱えて空へ舞い上がる。


「飛ばすぞ」

イリアスは一気に加速した。

俺も急いで風魔法で身体を覆う。

・・

そういえば、ステータスを見ただけで項目を確認してなかったな。

俺はそんなことを思っていた。


イリアスが飛び去った方向をゼロが見送っている。

テツ、人間が存在を許されているのかどうかわからない。

それが試されているのだろう。

邪神王・・ただのエネルギーの集合体だ。

善悪はない。

その試練をくぐり抜けられるのか、果てるのか。

それはボクにもわからない。

ただ、ボクを顕現けんげんさせてくれた人間だ。

せめて君だけでも消えないでもらいたいものだ。

ゼロはそう思うと居城の中へ入って行った。


◇◇


<アニム王国帝都>


アニム王が指示を出してしばらく経過。

アニム王は大広間で居た。

大広間は人が出たり入ったりして大騒ぎだ。

アリアンロッドがアニム王のところへやってくる。

騎士団長も一緒だ。

「王様、ギルドが攻撃を受けた街から飛行船と戦艦群が飛び立ったという報告があります」

アリアンロッドが言う。

「飛び立った? どこへ行くというのか・・」

アニム王は姿勢を正し、少し前に乗り出し気味になりつぶやく。

騎士団長が続けて言う。

「王様、どうやら東側、こちらの方に向かって来ているようなのです。 どこまで移動するのかはわかりませんが・・」

「フム・・」

アニム王は片手を顎に当て考えていると、駆け寄って来る騎士団員がいた。

王の前まで来て報告をする。


「お、王様、邪神王です! 邪神王が迫ってきています!」

騎士団員が大きな声で報告する。

大広間に一瞬静寂が流れる。

アニム王が報告していた騎士団員を見て言う。

「その報告は確実なのか?」

「い、いえ、確認しておりませんが、凄まじい魔素をまとった塊が接近してきていると、飛行部隊から報告がありました。 それで・・」

騎士団員は報告すると落ち着いてきたようだ。


アニム王は立ち上がり窓の方へ近づいて行く。

そっと窓を開けた。

!!

すぐにわかった。

帝都は結界に覆われているので、注意しなければわからないだろう。

だが、その結界を越えて伝わるこの波動。

想像を超えている。


アニム王は少し震えた。

窓を見つめて動かずにいると、ルナがアニム王の横に来て言う。

「アニム、これは邪神王などではないようだ。 魔素の暴走・・違うな。 大量の魔核を喰った魔物のような感じだ。 吐き気がする・・」

ルナが険しい顔をしていた。

ルナに遅れてレアとレアのロイヤルガードたちも窓に近づく。

「な、なんですの、これは・・気持ち悪すぎますわ。 人の憎悪・・違いますわね・・無念・・ともかく吐き気を伴います」

レアは口に手を当ててよろめく。

フローラがそっと寄り添い、レアを支えた。

・・・

とにかくすぐに対応しなければいけない。

だが、これほどの魔素のエネルギー、数で当たればいいというものでもない。

アニム王はパッときびすを返し、椅子まで戻る。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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[一言] 「テツ、時間が来たようだ」「さて、時間もあまりない。「わかりました、ゼロ様。 テツ、私が帝都まで送って行こう」 と時間がせっぱ詰まっていると話しているのに 「え、いや・・飛行船で帰ればいいん…
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