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第381話 優のところへ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。



その後、エレンさんの推測を話してくれた。

この戦いで多くの人の命が失われた。

邪神の復活が早まったのは間違いないだろうという。

もし復活でもすればどうなるかはわからない。

そのためにも、今以上にギルドの存在が重要になるという。

そして、魔族や精霊族などとも協力して対策をしていかなければならないだろうとも話してくれた。


「テツ様、これからは見えない敵に対する対策で忙しくなると思われます。 私もミランの意思を継いで、この平和な王国の維持に寄与したいと考えております。 テツ様、ミランのことであまり気を落とされませんように」

「エレンさん・・」

俺はそれ以上言葉が出て来なかった。

最愛の人を失ったというのに、この人は未来をしっかりと見つめている。

・・・

強い人だな。


エレンさんはスッと席を立ち、ギルドへと帰っていった。

その背中を見送りながら思う。

逆に俺が励まされた感じだな。

俺は家の中に入り、もう一度ベッドに横になる。

天井を見て少し考えてみる。

・・やはり、いろんな意味で俺は弱すぎる。

天井に右腕を突き出し、ゆっくりと握り拳を作った。

「よし!」

そうつぶやくと、俺は家を出て優の家に向かう。

時間は23時過ぎ。

かなり遅いが、今伝えないと。

優の家の呼び鈴を押す。


少しして、レイアが出てきた。

「はーい」

ドアを開けると少し眠そうなレイアが出迎えてくれる。

「あら、テツさん。 どうしたのですか、こんな時間に・・」

「レイア、夜分にすまない。 優はいる?」

レイアは嫌がりもせずに家の中に入れてくれる。

そして優を起こしに行ってくれた。

リビングに案内されて少し待つと、優が現れる。

「・・なんだよ、おっさん。 こんな時間に・・アホか!」

優が言う、当然だな。

「すまないな、優。 だが優だけには言っておこうと思ってな」

俺はそういうと話を始めた。


「優、俺は弱すぎる」

「はぁ? いきなり何を言って・・」

優が言葉を出そうとするが、俺が言葉を被せる。

「だから、俺は修行してくるよ。 だからこちらを頼む」

優が真剣な顔になって話しかけてきた。

「おっさん、意味がわからんし勝手すぎるだろ。 そりゃ修行したいのはわかる。 だからって、勝手にやっていいことと悪いことがあるだろう・・」

優は正論を言う。

「そうだな、いきなり過ぎたな。 俺の中で完成してる話だったからな、すまん。 だが、相談したからってどうにもならんだろうしな。 それにあのママなんて文句の塊だろ? 俺のやることにすべて否定から入って来るし・・って、こんなことを言いに来たんじゃない」

俺がそう言うと優の顔がほころぶ。

話を続ける。

「おっと、余計なことばかり言ってるな・・すまんな、優。 俺も何から話していいのかわからないが、お前しか言う人がいないんだ。 それにまだ知られてないかもしれないが、ミランさんが亡くなったんだ」

「え?」

優から言葉が出ると同時に、キッチンの方で食器が落ちる音がした。

ガシャーン・・。

俺はそのままエレンさんに聞いた話を伝える。

・・・・

・・

優もレイアも驚いていた。


「それに、邪神教団なんていうわけのわからない連中がいるようだ。 人の恨みなどの負の感情を糧として邪神王なんていうものが復活するらしい。 その復活の時期はわからないが確実に起こるそうだ。 だからこそ、それまでにできる限りのことをしたい。 エレンさんもやる気になっていた」

俺がそう話していると、レイアが飲み物を運んできた。

「テツさん、ミランさんが亡くなったのは事実なんですか? それに邪神教団も・・」

レイアが聞く。

優は少し呆けている感じだ。

俺はうなずきながら答える。

「ミランさんが亡くなったのは事実だ。 俺の目の前で消えたんだ・・」

俺の言葉にレイアは目を閉じ下を向いた。

「邪神教団ですか・・」

レイアが下を向いたまま、つぶやくように言う。

レイアは知っているようだが優は知らないらしい。

俺は邪神教団について知っている限り説明し、レイアも優に補足説明してくれた。

・・・・

・・

「・・そんな組織があったのか・・」

優が驚いたように言う。


「優・・だからってわけじゃないんだが、外で行動するときには信じられる仲間か、ソロがいいように思う」

俺もどう言っていいのかわからない。

なんか後付け的な言い訳だな。

優は言葉を発することなく考えているようだ。

誰も発言せずに沈黙が流れたが、俺が発言する。

「まぁ・・優、いろんな見方があるが、俺の考えはママでは理解できないだろう。 優なら少しわかってもらえるかもしれない。 そう思ってきたんだ」

優は真剣な顔をして考えてくれているようだ。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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