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第377話 猊下

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。



◇◇

<連合国side>


国務長官ジェームズを乗せた飛行艇が連合国本部に到着。

本部はロシアの西方場所に建設されていた。

今となってはロシアと呼んでいいのかどうかわからないが。

世界各国の重要人物たちが集まっている。


連合国の要人たちは、北米で完成した艦隊を世界に派遣。

アニム王国関連のギルドで確認した、生き残っている旧世界の国々の街に交渉係などを向かわせる。

そして、その協力を得ようとした。

案外どの国も、異世界人との共存は望んでいないようだった。

感覚的に肌が合わない。 

そんな感じだ。

まぁ、あの猿の国:日本の住人は親和性が高いようだったが、所詮は我々とは人種が違うのだ。 

連合国の要人たちはそう思っていた。

結果、連合国の大敗になった。

とにかく、早く私の得た情報を届けなければいけない。

ジェームズはそう思い、飛行艇から降りると急ぎ本部建物に向かっていた。


移動中にチラホラ傷ついた戦艦を見かける。

それを横目に、大きな建物ビルに入っていく。

エレベーターで上に向かった。

エレベーターが静かに停止し、ドアが開く。

そのまま降りて通路を歩いて行く。

ある部屋の前までくると、身体チェックを受け中へ入って行った。


部屋の中はざわついていた。

「・・そんなことはわかっている。 どれだけの被害が出たのだ!!」

「・・こちらに向かっているのか?」

「・・もういい!!」

・・・・

・・

いろんな言葉が飛び交っていた。

昔の世界なら、多言語なので意味がわからなかっただろう。

だが、言語変換の能力はほとんどのものが自然と習得できる。

わからない方がよかったかもしれない。 

そんなことを少し思ってもみたが、それよりも大統領のところまでいかなければ。

入った部屋を横切って、奥の部屋へ移動。

ここには、各国の重要人物が集まっていた。

ジェームズはまたも軽く身体チェックを受け、中を進んでいる。


大統領の前に来た。

「大統領・・」

ジェームズが言葉を発する。

大統領はゆっくりとうなずきながら、ジェームズを見た。

「国務長官・・負けたか・・」

重い言葉だった。

ジェームズは言葉を発することができなかった。

「ジェームズ殿、まだ我々は全滅したわけではありません。 お気を落とされぬように」

シュナイダーが労っていた。

ジェームズが震えながらうなずいている。

「おじさま、これからどうなさるおつもりかしら?」

エスペラント国にいたソフィアだ。

「ふむ。 とにかく次につなげなくてはな」

シュナイダーがそうつぶやくと、横にいた大柄の男が言う。

「とにかく戦争は終わりました。 後は戦後賠償などをどうするのか。 各国の負担割り当てや相手国との協議の再開など、やることはたくさんある・・」

「そうですな、あまりにも多すぎる・・」

大統領がそう答えると、大柄の男とシュナイダーは軽く微笑む。


この部屋には、かつての大国の代表とそれを補佐する人たちがいた。

異世界人はいない。

異世界人も街には存在しているが、協議するときに集まるだけだ。



この街の異世界人たちの建物では、また違う見方をしていた。

「猊下、アサシンからの報告では、ヴァンパイアの使徒サキュバスのウルダを討ち取ったそうです」

報告を聞きながら外の景色を見ていた。

「そうですか。 アサシンにはゆっくりと休むように言ってあげてください」

「ハッ!」

報告をした男は、退出する。

猊下と呼ばれる男は一人うなずき思っていた。

よくやってくれました。

ウルダが消えたのは朗報です。

それに、英雄ミランの方に向かったアサシンはどうなったのでしょうか?

まぁ、タダではやられはしないでしょう。


それにしても、この星の住人はよく役立ってくれますね。

魔核を埋め込んだ、役に立たないものを重宝がってくれる。

魔核もそこら辺の鍛えた人間や魔物を生きたまま素材にしたものです。

使用者の能力をレベル2つくらいは高めてくれるでしょう。

そして、勝っても負けても邪神様のかてになるのですから。

これほどの愚かな星の住人のところへ転移できたのは、私にもまだまだ運があるというもの。

この星の歴史を知れば知るほど、まるで邪神様のためにあるようなものです。

感謝しなくてはいけませんな。

生きながらにして、邪神王をこの目にすることができるかもしれません。

これに勝る幸福はない。

感謝いたしますよ、地球の方々。

さて、そろそろ定例会議の時間でしたな。


猊下と呼ばれる男は、ゆっくりと向きを変えると部屋から出て行った。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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