第352話 クリムゾン・ブレードのミラン
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俺はみんなに見送られながら、フレイアと一緒に王宮へと戻っていった。
時間は14時30分過ぎ。
王宮へ戻ると、ゲートのある場所へ案内の人に連れて行ってもらう。
俺たちの通過するゲートの前まで来ると、エレンさんがいた。
「テツ様、フレイア様、ご武運を!」
深々とお辞儀をする。
「エレンさん、わざわざありがとうございます。 では、行ってまいります」
俺たちはゲートをくぐる。
ゲートを抜けると王宮の人と騎士団員だろうか、何人かが待機していた。
俺たちに現在地とこれから進んで行く進路を教えてくれる。
・・・・・
・・・
なるほど、ここは上海あたりか。
ここから北西に向かって行くわけだな。
全体的にはモンゴルの南辺りを通って、ロシアの方へと敵を押し上げるわけだ。
俺は大雑把にそんなことを考えてみる。
ま、とにかく前進すればいいんだな。
騎士団たちが先行しているようだ。
◇◇
<帝都ギルド>
ギルマスことミランの出立に当たって、ギルドがものすごく盛り上がっていた。
ミランがギルド奥の部屋で戦闘服に着替えていた。
「ミラン、またこの服で出かけて行くのですね」
エレンが寂しそうな顔を向ける。
「エレン、すまない。 無事に帰って来るよ」
ミランが微笑み、答える。
「はい、それは心配しておりません。 また、争いが始まってしまうのかと思うといたたまれません」
エレンがゆっくりとうつむく。
ギルマスが紫水晶のような宝玉をはめ込んだ剣を背中に背負っていた。
「エレン、その平和を維持したいんだ」
ミランはそういうとエレンにキスをした。
ミランが奥の部屋から出て来る。
赤を基調にした戦闘服のようだ。
その姿でゆっくりとギルド内に現れた。
!
掲示板を見ていたやや年配の男が、ミランの赤い姿を見て固まっている。
その横にいた仲間だろうか。
年配の男に声をかけていた。
「おい、見ろよあの姿。 真っ赤に彩って、派手だねぇ・・ん? あの剣はどこかでみたような・・」
声をかけた男は何かを思い出そうとするような仕草でつぶやく。
「あ、あれは・・ミランだ」
年配の男が驚いた顔をして言葉を出す。
「は?」
横の男は何を当たり前のことを言っているんだという感じだ。
「・・クリムゾン・ブレードのミランだ」
年配の男がそういう。
横でいた男はよくわからなかった。
「クリムゾン・・なんだって?」
「クリムゾン・ブレードだ」
年配の男はもう一度言う。
ミランはゆっくりとギルドの中を歩いて行く。
ギルドの中にいた冒険者たちが騒がしくなってきた。
「・・俺、あの剣を昔の映像でみたことあるぞ」
「俺も、本で見たことある・・」
誰かが言った。
アメジスト・ダンサーという言葉を。
「「「アメジスト・ダンサー!!」」」
「そりゃ、見たことあるわけだ」
「伝説の魔剣だ」
・・・・
・・
いろんな二つ名が飛び交っていた。
ミランは気にするでもなくギルドを出て王宮へ向かって行った。
エレンも同行する。
ギルドの中は、お祭りのような雰囲気になっていた。
「「「うおぉおお!!!」」」
「あのミランが出て行くとはな。 負けはないな!」
「敵が気の毒だな・・」
「まさか、またあの赤い戦闘服が見られるとは・・」
・・・・
・・
若い冒険者などは不思議そうな顔をしているものもいる。
「・・なんだお前知らないのか」
「まぁ、無理もないか」
・・・
ミランの二つ名の由来を聞いている人がいた。
前の大戦で、アニム王子の護衛で雇った傭兵。
敵の返り血ではなく、剣についた血が乾くことなく連続戦闘したという。
まるでアメジストの宝玉が血を吸っているのかと思うような感じだったという者もいる。
紫色の光が戦場に光る。
その後を赤い煙が追う。
血しぶきだ。
赤い煙がゆらゆらと流れながら舞っている。
その中を紫色の光の稲妻が躍るように移動する。
赤い煙に近づいて行くとわかる。
敵の血しぶきが地上に落ちる前に舞い上がっていたようだ。
まさに鬼神のごとき闘い。
物語でも同じように書かれている。
学校の教科書にも魔剣として記載されていた。
アメジスト・ダンサー。
英雄ミランの固有武器。
戦場を踊るように紫色の軌跡が地上を走るところから命名されたそうだ。
◇◇
<アニム王国side>
俺はフレイアと一緒に先行している部隊を追った。
「テツ、この方向へ行けばいいわけね」
フレイアが俺に言う。
俺もうなずき移動する。
それほどの時間もかからずに先行部隊に追いついた。
既に戦闘が始まっていたようだ。
俺の予想では、楽勝モードだろうと思っていた。
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