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第315話 ドワーフ国のギルド

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。

短編として、先程投稿させてもらいました。

後半としてのスパイスになるものです。

よろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n4159gc/



なるほど、アナウンスは聞こえるんだな。

俺は椅子に身体を預けたまま少し考えてみた。

アニム王国との、いや異世界人との交流を断るなんてどういうことだろう。

魔法の世界なんて、メリットしかないぞ。

いろんなことが効率よく運ぶし、低コストだ。

医療なんて、死んだほうがマシというレベルでも回復する可能性がある。

いや、レベルによっては死者蘇生も可能かもしれない。

そんなメリットを放棄してまで、何を考えている連中だろうか。

・・・・

・・・

どうやら知らない間に眠っていたらしい。

澤田さんのことも既に忘れていた。


間もなく到着します。

アナウンスが流れていた。

椅子を戻すと、フィルターが自然と解除される。

ココも静かに席を戻していたようだ。


飛行船はドワーフ国入口のギルド施設に到着した。

前に来たときに大きく壊れていた岩場の扉は修復されている。

その近くに、結構な感じの街ができていた。

メインはギルドの建物だが、それを中心に商業施設になっているようだ。


俺たちは飛行船から降りてギルドの受付フロアに向かう。

時間は11時30分を過ぎている。


ここの受付はカウンターが2つあるようだ。

とりあえず受付を通しておいた方がいいかな?

いや、必要ないか。

チラッと受付を見て、ギルドを出ようとした。

やっぱ受付は美人が多いよな。

俺はそう思って出口へ向かう。

すると、俺に声をかけてくる人がいる。

「テツ様~!」

受付のところから俺の方に走って来た。

・・・

誰だっけ?

いや、顔はいつも帝都ギルド受付で見ている。

ただ、名前がパッと出てこない。


俺は立ち止まって、その女の子が来るのを待った。

「テツ様、ドワーフのギルドに来られていたのですね。 おはようございます」

「あぁ、おはよう・・」

俺は挨拶だけを返す。

すると、帝都の受付の子が目を細めて俺を見つめる。

「・・テツ様、おはよう・・の続きの言葉をうかがってもいいですか?」

「え? 続きの言葉って・・」

俺は意味がわからなかった。

「私の名前です」

「・・・」

「テツ様・・あれほど私と接しておきながら、名前をお忘れですか? そういえば、アリアが美人の名前しか覚えられないとか言ってましたが・・事実ですね」

女の子がうなずぎながら言う。


「・・ポーネです」

ポーネは静かに名前を言ってくれた。

「い、いや、ポーネさん・・決して覚えていないわけじゃないんだが・・」

俺はしどろもどろに言葉を発する。

「ギルティ!」

俺の後ろでココがつぶやく。

!!

おい、ココ!

火をつけるのはやめてくれ。

心の声です、はい。


ポーネはうなずきながら、

「いえ、いいのです。 私は美人ではありませんし、それほど仕事もできるわけではありませんからね」

ポーネ、いったい何が言いたいんだ?

俺は余計にわからなくなった。


「ポーネ、何がしたいんだ?」

俺がそう聞くと、ポーネは笑いながら言う。

「あ、そうでした。 テツ様を見て、駆け寄ってきただけでした」

そして続ける。

「実は、ドワーフのギルドに届け物があって、私がお遣いで来たわけです。 午後には帰るのですけどね」

ポーネはそういう。

「そうか・・じゃ、気を付けて帰れよ」

俺はそう言葉をかけると、その場を後にしようとした。

「テツ様、つれないですね。 わかりました。 テツ様もお気をつけて。 後、帝都に帰りましたら、やはりアリアの言う通りだったと報告しておきます」

いったい何の罰ゲームなんだ? 

もう、勝手にしてくれ~。


ポーネはそういうと、ペコリと頭を下げて受付の方へ走って行った。

・・・

俺はただ、飛行船から降りてきて出て行こうとしただけですけど。

ポーネが勝手に声かけてきて、勝手に勘違い・・いや、勘違いじゃないが、話を作って・・帝都に帰ったら、またネタにされるな。

俺はそんなことを思いながら、ギルドを出る。

ココがクスッと笑っていたが、すぐに表情を戻してついて来てくれる。


さて、ここから北西へ行ったら魔導国だったな。

ライセンスカードで確認してみる。

カードから地図を表示させて自分の位置と、ドワーフの国と魔導国の位置を確認してみる。

・・・

この中間辺りに街があるわけだ。

それほど遠くはないな。

走って1時間かかるかな?

いや、わからない。

まぁ、急ぐこともないしココもいるから、ゆっくり移動してみよう。


時間は12時。


◇◇◇


優とレイアは学校の食堂に来ていた。

優はテーブルにつくと、レイアが来るのを待っているようだ。

レイアが動くと、誰かの注目を集める。

美人だからな。

「優、どうだった? 午前の授業・・」

トレイに食べ物を乗せ、優の前の席に座る。

「うん、何か・・思ってたのと違う感じがする」

優が答えると、レイアが笑いながら話しかける。

「まぁ、理論を学ぶのと実戦とは違うからね」

レイアがそういうと、子供の声が聞こえてきた。


「兄ちゃーん!」

凛が優のところへ走って来る。

優の横にちょこんと座って話始める。

「凛ね、今日魔法使ってみたの。 火の魔法だったけど、先生からすごいってほめられたの」

凛が嬉しそうに足をブラブラさせながら話していた。

「そうなのよ。 凛ちゃんすごいのよ、ね♪」

レイアが凛にウインクして援護していた。

「優、私たちも一緒にいい?」

嫁が優に聞いていた。

お義母さんもニコニコしながら一緒にいる。

優はうなずいて、トレイのご飯を食べている。


颯がバーンを頭に乗っけて、ゆっくりとみんなの方に向かってきた。

颯の横に小さな女の子が一緒にいる。

タイプが颯と似ているようだ。

静かでおとなしい感じがする。


「颯、その子は?」

嫁が聞いていた。

凛は足をブラブラしながら嫁が持ってきた食事を食べている。

スラちゃんは、ばあちゃんにあずけてきたそうだ。

「うん、一緒の教室で友達になった・・」

颯がそういうと、その女の子はペコリと頭を下げて、颯と一緒に席についた。

席について、その女の子は周りを一通り見渡している。

「あの・・私・・教室で・・いろんな人にからかわれているところを、颯さんに声をかけてもらって・・」

その女の子はモジモジしながら話していた。


嫁たちは黙って聞いている。

「そう・・ま、お昼を食べましょ!」

嫁が取りあえず返答し、颯と一緒に食事を取りに行った。


その間に優がレイアにつぶやくように言っていた。

「おっさん、てっきり一緒に学校来ると思っていたのに・・」

「優、テツさんもそのうち通うわよ、たぶん・・」

レイアも言っていて、途中から自信がなくなったようだ。

「優君、テツはギルマスに仕事を頼まれたようだぞ」

フレイアが食べながらつぶやく。

優は静かにご飯を食べる。


レイアがそっと立ち上がると、フレイアに近寄っていく。

「お姉ちゃん、気づいた?」

「うん」

フレイアとレイアが目を合わせながら小さな声で話していた。

「あの子、デミヒューマンよね。 でも、なぜ帝都の学校にいるのかしら?」

フレイアがやや不安そうな顔をしてつぶやいていた。

「お姉ちゃん、そのうちにわかるでしょ。 嫌な感じはしなかったし、王様も受け入れてるってことは、大丈夫じゃない?」

レイアは軽く答える。

それを聞きフレイアの表情も少し明るくなった。


◇◇◇


ばあちゃんの家では、ばあちゃんが掃除をしていた。

「ほんとに、あなたは便利ねぇ・・」

ばあちゃんはそう言って、スラちゃんに出るごみをいっぱい食べさせていた。


◇◇◇



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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