第304話 どう言ったらいいものか
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
感謝です。
俺は、クイーンバハムート:ゼロの報告を終え、帰路についている。
時間は7時過ぎだろう。
アニム王は気にするなと言ってくれたがなぁ。
ゼロを顕現させてしまった。
考えると、とんでもないことをしたような気がする。
いや、俺のせいじゃないよな?
誰も見たこともないと言っていたが、普通に子供が歩いているのが見えただけなんだ。
俺が探したわけじゃない。
などと自分に都合の良い考えばかりで頭の中を埋めていく。
う~ん・・考えても答えなど出るはずもない。
・・・
よし!
気にしない!!
一応そう結論づけて歩いていく。
家の前に来ると、凛や颯が家から出てきていた。
俺が手を振ると凛が駆け寄ってくる。
「パパ~! おはよう」
俺は凛を抱っこして持ち上げ、おはようさんと挨拶して横に降ろした。
「あのね、凛ね、今日から学校へ行くの!」
凛がうれしそうに言う。
「学校?」
「うん」
凛が返事をしていると、颯もやってきて同じことを言う。
「テツ、おはよう」
「おはよう、颯。 凛が言ってたけど、学校へ行くのか?」
颯がうなずく。
バーンが颯の頭の上でくつろいでいる。
スラちゃんが颯の後からのっしのっしと近づいて来ていた。
スラちゃんがプルプルと震えている。
「やっぱり、スラちゃん怯えてるね」
颯が言う。
そうしていると、嫁とお義母さんが近づいてくる。
「あら、テツさん。 おはようございます」
「パパさん、おはよう」
二人ともご機嫌だな。
というか、こんな朝早く起きられるのか?
「凛たちが学校へ行くっていってたけど・・」
俺は思わず聞いてしまった。
「そうよ。 今日から学校が始まるの。 私たちも通うのよ」
「え?」
俺は驚く。
お義母さんもニコニコしながらうなずいている。
「確かに誰でも通えるって言ってたけど・・」
俺がそうつぶやいていると嫁が凛たちを見ながら言う。
「8時から開会式と入学式だから、行って来るわね」
「・・・・」
みんなで出発していった。
俺は凛たちに手を振って見送る。
学校かぁ。
魔術学園ができると言ってたが、まさか今日からだったとは。
どんなことをするのかな?
俺も行きたくなったら行ってみよう。
さてと・・まずは、ばあちゃんのところへ顔を出しておこう。
ばあちゃんの家の前に到着。
呼び鈴を押してみる。
「はーい」
ばあちゃんの声だ。
「おや、おはよう、テツ。 帰ってきたんだね」
そういうと、中へ入れてくれた。
リビングへ行くと、じいちゃんが席に座ってお茶を飲んでいた。
俺も席に座らせてもらう。
「ばあちゃん、凛たちが学校へ行くの、知ってる?」
「あぁ、昨日からはしゃいで教えてくれてたよ」
ばあちゃんが俺にお茶を淹いれながら答えてくれる。
なるほど、ばあちゃんはご存知ですか。
「そっか・・」
俺は淹れてくれたお茶を飲みながらつぶやいてみた。
ピンポーン!
俺がお茶を飲んでいると呼び鈴が鳴った。
フレイアかな?
俺がそう思っていると、ばあちゃんが玄関を開けに行く。
「あらあら、いつも申し訳ないですね。 じいさん、迎えに来たよ」
ばあちゃんが玄関から呼ぶ。
じいちゃんは立ち上がり、玄関の方へ歩いて行った。
誰だ?
俺は少し興味があったので、じいちゃんの後をついて行って誰か確認しようと思った。
!!
誰?
あの美人。
その美人さんが俺に軽く会釈すると、じいちゃんと一緒に歩いて行った。
ばあちゃんはそれを見送ると、リビングへ行く。
「ほら、テツ。 呆けてないで、お茶を飲んでしまいな!」
俺は言われるまま席に戻り、お茶を飲む。
「ばあちゃん・・じいちゃんを迎えに来た女の人、何?」
俺は聞かずにいられない。
「あぁ、あの人ね。 王宮の人で、じいちゃんの送り迎えをしてくれる人だよ。 日によって人が変わったりするけどね」
ばあちゃんが説明してくれる。
なるほど・・じいちゃんと一緒に歩いていた女の人は、送迎の人だったのか。
しかし、どれだけVIPなんだ、じいちゃんは!
残りのお茶を飲み、ばあちゃんの家を後にする。
ばあちゃんも王宮へ行くのだとか。
みんな頑張ってるな。
さて、家に帰ろう。
ばあちゃんの背中を見ながら、俺は少し閃いたことがあった。
後でフレイアにでも話してみよう。
俺の家のドア開けてみると、フレイアがこちらを見る。
「あ、おかえり~テツ!」
「た、ただいま」
フレイアが声をかけてくれるが、これって・・どうなんだ?
いいのかな・・いや、いいとか悪いとかじゃないな。
そういう日本的な常識は消していかなきゃ。
さて、フレイアにはどう説明しよう。
・・・
やっぱり言わない方がいいだろう。
アニム王とだけ、真実は共有しておこう。
「テツ、どうだったの?」
フレイアが聞いてくる。
当然だよな。
「うん。 結局、クイーンバハムートはよくわからないね。 でも、居城というか宮殿というか、その建物で祈ると、何か感じるんだよね」
俺はフレイアにそう伝えてみた。
「そう、やっぱりね。 誰も見たことがないものね。 そういう存在なのかもしれない。 でも、無事に帰ってきてよかったわ」
フレイアの言葉に落ち着くな。
「ありがとう、フレイア」
俺はそう答え、
「そういえば、フレイア。 凛たちが学校へ通うって、知ってた?」
俺は聞いてみた。
「えぇ、知ってるわ。 昨日、颯君と凛ちゃんがうれしそうに走り回っていたから」
「そうなのか?」
「そうなのよ」
フレイアが答える。
俺はそれを聞きながら、さっき閃いたことをフレイアに話してみた。
「フレイア、あの・・俺たちの敷地の真ん中の庭だけど・・」
「うん」
「そのところに、小さな家を建てようと思うんだ。 みんなが気軽に集まれる場所みたいな・・」
「え? どういうこと・・」
フレイアが変な顔でこちらを見る。
「うん。 優とか俺もそうだけど、みんな個別に家を持っているよね。 その家を一つの部屋と思って、みんなが集まって食事したり、いろんな話をしたりする場所を作ってみたいと思ったんだが・・ダメかな?」
俺は話していて、やっぱいらないかなとも思った。
「いいんじゃない?」
フレイアは軽く答えてくれる。
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