疵口
心の疵が広がっていく。
それは、音もなく、ゆっくりと。
その疵は、いつ、どうやって出来たものなのだろう。
分からないまま、確実に。
私の全てを蝕んでいく。
痛いの、痛い。
苦しいほどに、締め付けられて。
痛いよ、痛い。
灼けるように熱い、この疵に。
ねぇお願い、誰か気づいてよ。
私が私じゃなくなる前に。
全て終わらせて。眠らせてよ。
心の疵が、広がっていく。
音もなく、ゆっくりと。
その疵は、いつの間にか痛みすらもなくなって。
私自身でさえも、忘れてしまった。