散策—2日目
散策二日目を投稿しました!!
◆召喚魔法◆
大きな魔法陣が浮かび、私たちの前にそれは現れた。それは蛇のような長い体に、美しい鱗を持ち、角をはやして、4本の足を持っていた。
私はそれにの美しさに見惚れていたのだが、それを見た私の周囲の冒険者たちは、臆さずに剣を構えている………物陰に隠れたりしている方もいますが。
私が再びそれに目を遣ると、目が合った。そしてそれは、問うた。
「我を呼び出したのは其方か」
と。
何故、町中にある冒険者ギルドで召喚魔法を行ったかというと、少し前にさかのぼる。
私とジェラルドは朝から冒険者ギルドに来ていた。
「ジェラルド!」
ジェラルドの名が呼ばれ辺りを見渡すと、私たちの方に近づいてくる男がいた。
男の容姿は整っていた。金髪碧眼の美男子である。背はジェラルドより少し低いくらいで、宝石のような澄んだ水のような蒼い瞳が特徴的である。
「よう、ザック」
ジェラルドはザックさんに応える。私は咄嗟に、
「この方がですか、今日魔法を教えて下さるのは」
と、口を挟んだ。このままでは措いていかれる気がしたし、早く魔法のことが知りたかった。
「そうだ。紹介するぜ、こいつは幼馴染のザックだ。で、ザック、こっちが乃蒼だ」
「ザックだ、宜しく、乃蒼さん」
「乃蒼です。こちらこそ宜しくお願いします。」
簡単な挨拶を済ませた私たちは、ジェラルドの「どこかに座ろうぜ」の一言で、数日前に使わせてもらった個室を借りた。
「で、教えてほしい魔法って何だい」
「召喚魔法です。正確には契約の仕方を教えてほしいです。」
「魔法の使い方はわかるかい」
「知り合いに、魔力を込めてイメージするのだと聞きました。怖くて使ったことはありませんが」
「じゃあさ、練習場で召喚魔法の流れを教えるついでに、魔法の練習もしてみよう」
と、私とザックさんの話し合いはあっという間に終り、練習場へと向かったのだ。
ザックさん曰く、召喚後に抵抗なく契約できるのは稀なことで、大概の召喚獣は試練だの、条件だのを突き付けてくるらしい。………というわけでザックさんの提案で、ジェラルドとザックさんの信頼できる冒険者さん達に協力を要請した。
準備が整い魔法を使った。そしてそれは魔法陣の中に現れた。
「我を呼び出したのは其方か」
そして今に至る。
ザックさんが
「蒼い竜………まさか、りゅ、竜帝か!?」
と、驚愕の声を上げる。
「竜帝だと!?」
「竜帝って何ですか」
言葉を失っているザックさんと声を荒げるジェラルドに問う。
「りゅ、竜帝とはその名の通り竜の王のことだ。魔獣ではなく、神獣と呼ばれるもののうちに入る。」
「神獣…」
私たちが茫然として返事をしないのに痺れを切らしたのか、竜帝が口を挟んだ。
「おい、話は終ったか」
「あ、スミマセン」
「娘よ、我を呼んだのは其方だな」
「はい」
「契約をする前に我を使役する資格があるかを確かめる。我のもとへ来い」
私は頷いて、竜帝の元まで行く。
「我が体に触れ、魔力を流せ」
私は言われた通りに魔力を流す。魔力を感じてか竜帝が、「っな!?」と、驚愕の声を上げた。
竜帝はしばらく私を見ていたかと思うと、確認するように、
「もう良いぞ。しかし、これほどの加護を受けたものが、人間にいようとは………」
そう言った。
「魔力だけで分かるものなのですか?」
「いや、魔力の質が良かったのでな、其方のステータスを覗かせてもらった」
「そうですか。それで、契約はしていただけるのでしょうか」
「うむ、良かろう。では娘よ、我に名を付けるが良い。」
竜帝の言葉に、驚いたことにすんなりと言葉が出てきた。
「青藍、貴方の名は青藍です」
「青藍か、………良い名をありがとう、我が主」
「これから宜しく、青藍」
名を与え、私と青藍は無事に契約を済ませた。終わった、と思って後ろを見ると、
「まじかよ、あの嬢ちゃん竜帝と契約しちまったぞ!」
「あぁ、すげぇな」
と、みんながヒソヒソと会話していた。周りのみんなの反応に少し困った顔をしつつもジェラルドとザックさんは、「お疲れ様」とねぎらってくれた。
手伝ってくれた人たちに、お礼を言い解散になった。結構時間がかかったが、青藍は未だこちらにいる。終わるタイミングを見計らっていたのか、 青藍は、
「主よ、できれば常に傍に在ることを許してくれぬか」
と、申し出てきた。私が、竜の姿では目立ってしまうと答えると青藍は、
「心配ない」
と言い放った。刹那、辺りは光に包まれた。あまりの眩しさに目をつむる。
「主、もう良いぞ」
と言う青藍の言葉に目を開く。
――そこには、翡翠の和服に身を包み、水色の髪と碧色の瞳を持つ青年だった。……超イケメンだ。
見惚れていたが、一応確認を取る。
「青藍ですよね」
「応」
日本の神様なのでは、と疑いたくなるほど私のイメージ上の日本の神と合致してるんですけど。
まぁ、何はともあれ契約に成功した私は思わず、「よしっ!」と声を出す。
その後、ザックさんには魔法について教えてもらい、侯爵亭へと帰った。
侯爵亭への通りの陰では、数名の男たちが乃蒼のことを見ていた。
「おい、依頼された女ってのはあれか」
「はい」
「そうか。……お前ら、計画は明日だ。準備しておけ」
「「了解」」
ようやく魔法を出せました~。
いきなり魔法を使うなんて絶対に無理ですからね。どうしようかと思いましたが、何とか乗り切れました。
さて、次は三日目ですが、何やら乃蒼に迫る男たちが!?………と、次回予告っぽいことをしてみたかったので入れてみました。
裏から画策しているのを書くのは素人には難しいです。
慣れるように頑張ってはいくつもりですが・・・。
と、今回はあとがきが長くなってしまいましたが、今後とも宜しくお願いします!