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転生後の運命は  作者: 宵藍
精霊の森にて
18/28

忠告と提案

遅れてしまってすみません!!

結局先週は執筆作業ができませんでした。

 皆さんこんにちは!前回、襖を思いっきり開けて「五月蠅い!!」と怒鳴りこんでしまった乃蒼です!

あれからその場は凍り付いてしまいました。

 一番最初に口を開いたのは団長さんでした。


「子供?」

「っな!?子供ですって?」

「あ、主、抑えてください」

「団長!この方は昨日、突然押し掛けた我々を泊めて、治療までしてくれた……えっと」

「ん?あぁ、申し遅れました。私は乃蒼と申します。一応この屋敷の主です。そ・れ・に~、()()ではありません」

『子供』を強調した私の言葉に、子供じゃなかったら何なんだ、とでもいうような目で私を見ながら、

「それは失礼しました。お嬢さん、助けてくれたことは大変ありがたいが、我々はすぐにでもここを出ていかなければならない」

という。あくまでも子供扱いですか、良い度胸です。

「団長!そんな体では無理ですよ!!」

アランさんの言葉にも団長さんは頷かなかった。静かに首を振ると、私たちを見据えて静かに言った。

「乃蒼嬢、俺たちは王国からの逃亡者だ。王国を脱出するときも追手が掛かっていた。帝国に行くにはこの森を抜ける必要があるし、待ち伏せも考えられる。此処にいることが知られれば貴方方に迷惑が掛かってしまう。だから」

「出ていく、と」

「あ、あぁ」

アランさんの説得に含まれた、私たちへの配慮が伝わってくる。私はこの屋敷が先代様の結界で守られていることを知っているから彼らを引き入れたが、彼らが知らないことを忘れていた。

アランさんはというと、自分のことばかり考えていたと落ち込んでいた。……だんだんアランさんが、団長さんに仕える忠犬のように見えてきた。私の脳内フィルターを通して見ると、しゅん、としたように耳も尻尾も垂れている、叱られて落ち込んだ犬と同じ特徴が………。

おっと、話がそれました。とにかく問題ないことを教えなくては。

「出ていく理由がそれだけならば何も問題ないですね」

私の言葉に意味が分からない、とでもいうような目で私を見る団長さんと、首をかしげているアランさんを見て、私はこう続けた。

「意味が分からない、という顔をしていますね。まぁ、ただ安心しろと言われて安心されても困るんですが、軽く話しておきましょうか。……此処は巫女の家。悪意ある者や私の許可のない者は基本的に入ってこれません。何故か、と問われても、先代様が施した術なので説明できません。……わかったらご飯食べて寝てください!!」

軽く説明してご飯を押し付けた後、団長さんの服をチラリと見て客間を後にした。


○●○●○●〇●〇●〇●〇●

 客間を後にした私は、青藍に体力回復の魔法薬(ポーション)を持っていくように指示し、先代様の趣味であろう、コス…コホン、衣類を漁る。

え?何故って?それは、……団長さんの服が哀れなほどボロボロだったからです。もうあちこち裂けて、血だらけで、それはそれは酷いありさまだったのです。……魔法薬のおかげか、傷口は塞がったようなのでついでにお風呂にも入ってもらわなくてはいけません。御髭も伸びてますし……これでは今でも捕虜のようです。このままお国に帰ってしまわれれば、彼のことを慕っているであろう他の騎士団員もお怒りになられるでしょう。


「と、言う訳で、お風呂と着替えを用意したので済ませてきてください!!」

「何が、「と言う訳で」だ」

「まま、団長、お風呂貸してくれるって言うんですからお借りしましょう、ね?」

何やらボソボソと言っていた団長さんは、アランさんに浴場へと連れていかれてしまった。


(数十分後……)

バンッ!!

「乃蒼さん!」

襖の開く音と、アランさんの焦ってような声が響いた。

「ん?どうしたんですか?」

「どうしたんですか、じゃありませんよ!!何ですか、あれ!?どうやって着るんですか!?」

「服?普通に袖通して、帯を締めるんですけど……ん?」

着方を説明しながら首をかしげる私に、焦ったアランさんは、

「あぁ、もう!ちょっと来てください!!」

と言って腕を引っ張っていく。もうすぐ浴室と言うところで気が付いた。アランさんも急いで着たのか服が若干乱れている。そして、服の着方がわからないという話……ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

「いぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

私の叫び声は、屋敷中に響いたことだろう。



****しばらくお待ちください****



「何かすまん」

「すみません!!」

申し訳なさそうな団長さんとアランさんの謝罪を受け、私は再び恥ずかしくなった。

因みに団長さんの服は浴衣である。似合うと思って用意したのだが、こんなことになるとは。

「いえ、こちらこそ配慮が足りず、大きな声まで出してしまって………すみません」

そう、わたしが恥ずかしかったのは自分が大きな声を出してしまったことで、彼の裸体を見たからではないのだ。裸なんてものは、保険の教科書にも載っていれば、父親や兄、弟でもいれば見てしまうことは結構ある。世間の皆様のご家庭ではどうか知らないが、我が家ではよくあることだった。


「ところで団長さん」

「カルロでいい」

「団長さんはあの服で国に帰るつもりだったんですか?」

「そうだが?」

何を当然のことを聞いているんだ、と言うような目で見ないでください。

「あんな姿で帰ったらえらいことなりますよ」

団長さんは「えらい事」を想像しているようだった。アランさんは何故か沈んだ表情をしている。

おそらく今まではそんなことを考える余裕もなかったんだろうな、と勝手に憐れんでいたのだが、何やら考えながらニヤニヤしている団長さんを見て馬鹿らしくなった。


〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●

 再び客間に戻ったタイミングで青藍にナイフと鏡を持ってきてもらい、団長さんに

「髭、剃るでしょ?」

と言って差し出した。団長さんが「馬鹿だな」と呟いたので、しばらく言葉の意味を考えてみたが答えは出なかった。呆れたようにため息を吐いた団長さんを見上げると、

「兵士が……男がナイフを持ってこうしてきたら……どうする?」

そう言って次の瞬間、凄い速さで襲い掛かってきた。………結果から言っていいですかね?いいですよね。えーと、団長さんは私に絞められて床に転がってます。アランさんは口を開いたまま茫然とし、団長さんも何があったのかわからないようで少しボウっとしています。

………って、怪我人だってことをすっかり忘れていました!!

「あぁ!!ごめんなさい!でも、急に襲い掛かってくる方が悪いんですよ」

「……はっ?何が起こって………?」

フッフッフ、お教えしよう!突然ナイフで襲われても冷静に対処できていたのには二つ理由がある。まず一つ目は、チート?能力の一つ『転生眼』!!どうやら動体視力も大分上昇しているらしい。そして二つ目、それは……私がこちらへと来る前、日本では合気道を嗜んでいたのだ。それほどうまくはないが、ある程度ならば躱したり、流したり、絞めたりといろいろできるのです!!!

「自衛くらいできますよ」

私の過去話す気は毛頭ないので、一方的にどういっておいた。


 団長さんが髭を剃り終わると、話すことがなくなり、自然と重たい沈黙が続く。

青藍は夕食の仕込みをするために台所へ行ってしまい、沈黙に耐えられなかった私は、

「お二人はこれからどうするんですか?」

と問う。帰ると言っていた人に聞くのもおかしい気がするが、焦っていた理由も気になるので聞かずには居られなかったのだ。幸い、普通に答えてもらえたが。

「国へ帰る」

「どうやって?」

「馬がいないのだから、歩いてに決まっているだろう」

「剣もお金も食料もないのに」

「何が言いたい?」

私の聞き方がおかしかったのだろうか、団長さんは訝し気にそう訊いてきた。

だから、少しだけ強い口調で言ってしまったんです

「私が帝国まで連れて行ってあげようか?」

と。

不定期更新になりますが、これからもよろしくお願いします。

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