謁見と乱入と謝罪
昨日は投稿後に何とか次話を書き上げることに成功しましたので、二日連続であげさせていただきます。
◆謁見と乱入と謝罪◆
――コンコン
「失礼します」
ノックと共に部屋へと入ってきたのは、昨日ここに案内してくれたメイドさんだった。
「巫女様、湯あみをしていただきたいのですが、よろしいですか」
湯あみ、………ってお風呂!?
「湯あみって、お風呂があるんですか!?」
思わず問い返してしまった。
無理はなかろう。なんたって、私だって日本人ですからね。お風呂があればそりゃぁ入りたいですよ。
………侯爵様のお屋敷にもあったんだから、お城にないわけないんですけどね。
「はい。……ご案内いたします」
私の興奮っぷりには無反応………ポーカーフェイスがお上手です、メイドさん!!
と、言うわけで、………お風呂です!!それも、アニメでてくるような、白いバスタブに淡いピンクのバラが少し浮かべてあって、バラがほのかに香る!そして体が洗われていく、メイドさんたちによって!!
少し興奮してしまいましたが、お風呂から上がると、体をふかれて服を着せられました。
終るころには、もう好きにしてぇ!!と、叫びそうでした。
メイドさんに案内されて部屋に入ると、ドレスと靴が運び込まれていました。………何これ?
顔に出ていたのかもしれません。メイドさんが、
「国王陛下と謁見していただきますから、御召し物を。あとはお化粧と、髪のセットもさせていただきます」
と。………あれ?メイドさんの表情が少し柔らかいです。さっき迄の淡々としたような感じではなく、やりがいを感じているような、そんな気がします。
~ 一時間半後 ~
「つ、疲れたぁ」
「素敵ですよ、巫女様」
疲れ切った私とは反対に、メイドさんたちはやり切ったというような顔をしています。
椅子に座って落ち着こうとするが、ギチギチに締め上げられたコルセットが私から体力を奪っていく。
「もうすぐ陛下との謁見です。」
休む間もなく、国王との謁見の間に案内された。
緊張した私は大きな扉の前で、掌に人の字を書いてパクパクと飲み込んでいる。
………決して、誰も呪っていませんよ?
しばらくして落ち着いた私は、中に入ろうと意を決した。扉は、近づけば勝手に開いた。
中は、あまりにも静かで重い空気だった。
私は玉座の三メートルくらい手前で立ち止まり、国王を見た。
いつまでたっても跪かない私を見て、痺れを切らした男が何かを言いかけた時だった。
――バンっ!!
「主!!」
そう言って、騒音と共に現れたのは青藍だった。
待機していた騎士達が警戒を露わにする。そして間髪入れずに、
「「乃蒼」さん!!」
そう声を荒げて入ってきたのは、ジェラルドと侯爵様だった。一瞬、何事かと慌てた。が、……そうでした。私を助けに来てくれたんでした。私は思わず青藍に抱きついた。
「っわ、………あ、主?……泣いてるんですか?」
「怖かった。」
私を心配する青藍に、思わず本音が出た。たった一言ではあったが、青藍にも伝わったらしい。
「すみません、我は主を守らねばならなかったのに」
私は首を横に振った。
「悪いのは青藍じゃないよ」
と、伝えた。そう、悪いのはここに連れてきたやつらで、青藍ではない。
しばらくして私が泣き止むと、青藍は私を放してくれた。
そして、落ち着いたのを見計らってだろう。
「どういうことだ?」
と、国王が首をかしげる。その問いに侯爵様がこたえて、事情を説明していく。
………招待状とか、私、初めて知ったわ!!
事情を聞き終えた国王は、静かに
「コロナリア侯爵、ムーノ伯爵に事情を説明をさせろ。騎士団を使っても構わん」
と、言った。侯爵様は、「承知いたしました」とだけ言い、謁見の間から退出していった。
シン――と、静まり返る。その沈黙を破ったのは国王の謝罪の言葉だった。
「巫女殿、申し訳なかった。強制はするなと伝えてあったものだから、納得して来てもらったと思っていたのだ。……無理やり連れてこられていたことにすら誰も気が付かず、本当に申し訳なかった!」
「いえ、確かに攫われた恐怖はありますが、悪いのは陛下ではございません」
――国王さま!?国一番の権力の持ち主が頭を下げないで下さい!!他の臣下の皆さんも一緒に頭を下げないでくださぁい!!!
内心とても焦ったが、何とか表情にも態度にも出さずに、平穏?に謁見を済ませることができたと信じたい。王様には、懇親会を兼ねたパーティーを主催していたのでできれば参加してほしいと言われた。
――断ってしまいたい。………が、せっかくなので人生初のパーティと言うこともあり参加してみることにしました。………断じて、食事がおいしいぞ、というジェラルドの言葉につられてはいません。
何とか合流させられました。
王様ともう少し和解ができればいいと思うのですが、まぁ次回はパーティということで頑張って書きあげて一刻も早く乃蒼ちゃんを旅立たせたいと思います。