仙眼
今回は長いです。
え?いつもが短すぎる?
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、ナンノコトカナ?
でわ、第6話をどぞ!
目を覚ますと知らない天井だった。
……俺のやってみたかったことだ。まあ気にするな。
今日の予定は王の前で能力把握らしい。
時雨さんによると、鑑定器…?なるもので身体値と女神から授けられた能力を確認するとのことだ。
今の俺のステータスはこうなっている。
◇◆◇
名前:時代門宗明
能力:門・代償交換・時代門流武術[師範代]・潜遁・鑑定・格闘術・隠蔽・気絶耐性・総魔力上昇・魔力操作・魔眼・仙眼・自己魔力回復・自己身体回復
加護:女神ファルナ・邪神ファルス・双神の寵愛
◇◆◇
なんかまた更に増えた気がしないでもないが……。
その内隠蔽していない能力は『門・格闘術・自己身体回復』、加護は『女神ファルナ』のみだ。たくさんあって頼りにされても困るだけだし、普通は召喚されたばかりなら能力は少ないだろうし……まあ色々考えはあるからこその選択だ。
王に会うときは正装らしい。そらそうかと思わないこともないが誘拐犯に正装とはあまりいい気はしない。
その前にはまず腹ごしらえだ。昨日は食堂に行けなかったが、今日は体も軽いし大丈夫だろう。
部屋にコンコンと叩く音がする。
「ご用意ができましたか?宗明様」
「ああ」
「では、ご案内します」
「よろしく」
時雨さんの後を歩き長い廊下を過ぎ階段を下ると、大きな門が開かれている場所に来た。
ここが食堂だろう。兵の人たちからメイドまでたくさんの方が朝食を食べている姿が見える。
一つ疑問に思ったことがある。召喚された俺たちもここで食べていいのだろうか。別に特別扱いしろとまでは言わないが、多少なりとも騒ぎが起こるのではないだろうか。昨日部屋に入った後、散歩に行こうと思ったら時雨さんに止められたのだ。だから能力の把握に専念したんだが……。あれは俺たちの存在を露見させないためだったのだろう。
「ここが私たちが使う食堂となっております。『英雄の召喚』が公になってからはここを使用してください。多少の騒ぎが起こりますので、今はご遠慮下さい。今日宗明様が朝食を召し上がるのはこちらです」
そう言って時雨さんはまた歩き出した。
今度は廊下も壁も天井も白一色で統一された大理石のような素材でできた場所を進む。
目の前の白樺のような木でできた門に時雨さんが行くと自動で開いていく。これには俺も驚愕せざるを得ない。内側から門を開いている様子もないのだ。これも魔法なのだろう。
ふと昨日試していたことを思い出す。紫の管を目につなげると『魔眼』、緑の管を目につなげると『仙眼』だったはずだ。『仙眼』には魔法の解析能力が備わっていたことは試し済みだ。どんな原理で何で理解できるのかはまだ分からないが……。
まあなんにせよこの眼で視れば、どんな魔法なのか解るだろう。
※※
魔法名:無属性魔法『オートムーヴ』
作成者:魔導士ヴラウ・リーン。
詳細:無属性魔導士であるリーン氏によって開発された。ぐーたらで有名であり楽をする目的で開発された魔法。菓子を片手間に作成したらしい。後世には戦争に使うために偶然出来た魔法だと残してある。
※※
なんじゃこりゃ!?
こんな説明が来るとは思っていなかっただけに吹き出しそうになった。時雨さんに怪訝な目で見られた。
無属性魔法。魔法には属性があるのか…?
※※
有
火属性魔法:字の如く火を基とした魔法。鍛えると溶属性へと進化する。
水属性魔法:字の如く水を基とした魔法。鍛えると氷属性へと進化する。
風属性魔法:字の如く風を基とした魔法。鍛えると雷属性へと進化する。
土属性魔法:字の如く土を基とした魔法。鍛えると地属性へと進化する。
光属性魔法:字の如く光を基とした魔法。鍛えると聖属性へと進化する。
闇属性魔法:字の如く闇を基とした魔法。鍛えると邪属性へと進化する。
無属性魔法:字の如く上記基本六属性に属さない魔法。派生では時空魔法、強化魔法などが挙げられる。
精霊魔法:……………。
付与魔法:……。
※※
もういい!!
まさか疑問にも反応するとは思わなかったぞ……。
この『仙眼』は使いどころが難しいが武器になるだろう。いいものを手に入れた。
俺の疑問に対話したように見えたのは気のせいだったに違いない。
※※
否
※※
無視だ!無視!!
朝食食べた後で検証するからそれまで待ってろ!!
※※
了
※※
ふう……。
「お疲れのようですが、昨日の後遺症がまだ残っているのでしょうか。お部屋に戻りますか?」
「い、いや。なんでもない。大丈夫だ」
「分かりました。皆様揃っているようです。宗明様、では私は案内なのでここまでです。朝食はバイキング形式になっております。お好きなものをご自分でお取りになりお召し上がりください。では、ごゆっくりどうぞ」
「ああ、ありがとう」
見渡してみると召喚された何人かがもう既に朝食を食べている。俺も近くの席に座り上着を椅子の背に掛け、料理を取りに行く。こちらの世界の料理や誰かが言ったのか、過去に来たことがあるのか俺たち側の料理もある。俺の朝は大体パンだ。朝から白ご飯はキツい、と思っていたらこちらにはパンしかないそうだ。あとは芋を潰した麺とかだな。
「うっす!!隣良いか?トッキー!!」
「ああ」
料理を取り終えて戻ってくると俺のゼミの中で最も俺と仲がいいと思うやつが来た。というのもこいつとは幼馴染だし、軍に剣術を教えてる。俺と環境がよく似た親友であり、悪友でもある。
こいつの名は『神薙永遠』という。よくあるキラキラネームだ。本人は気に入ってるらしいが、俺なら親を怨む。まあ似たようなものだが……。
神薙家は代々武術の中でも基礎である剣術を軍に教えている。俺の時代門家と同じくして生粋の武術派だ。神薙流は海を割ったとか、山を割ったとか、戦車を割ったとか嘘か真か判らない伝説が残っている。
「で?何の用だ?」
「?親友と仲良く食べたいってのはダメなのか?」
「お前は用がないときは向かいで食うだろうが。何の用だ?」
「お前に嘘は通じねえか。しゃーねえな。あまりこのことは他言するなよ」
こいつが真剣な顔する時は何かあった時だけだ。
緊急事態か?不穏分子か?毒か?
「何だ?」
「………ここのメイドさんたち綺麗過ぎねえか?」
「……そうだな」
「なんだよ!反応薄いって!!」
「何の話してんの?」
「お?混ざるかね?城本さん」
「やめとけ……」
「またエッチな話?ならやめとくね」
「ああ、待ってよー城本さーん!」
こいつの反応速度は異常だな。城本さんが近づく時、瞬時に話を変えている。こいつだけは後ろをとれる気がしない。しかしあの話はないんじゃないのか?誤魔化すにしてももっといい方法があっただろうに……。
『城本奏美』同じゼミで五人の女子のうちの一人だ。俺たちのような特殊な家系ではないが親が俺の両親と幼馴染であり、他の人に比べて面識がある程度ではあるが、まあトワに比べればそんなに会っていない。故に城本は幼馴染とまではいかないご近所さんという感じか。
「また後でな」
「何!?もう食ったのか!」
「ああ」
早々に朝食を終えた俺は時雨さんに連れられて城の案内をしてもらっていた。鑑定するにはまだ時間があったからだ。時雨さんは快く受けてくれた。俺にとってプラスとなる場所は訓練場と風呂と書物庫だろうか。道は覚えたから後で来るとしよう。
そんなこんなで時間になった。
王の前に頭を下げている俺たち。ふんぞり返る王。当然のことだと主張せんばかりの宰相。
欠伸をする時雨さん……って何してんだあの人は!?運よく見られていなかったのか注意はされなかった……。
「面を上げよ」
「これより鑑定器による能力把握を行います。この球状の水晶に手をかざすと、前の平たい水晶に鑑定結果が現れます。十一名の英雄方には順番にかざして下さい」
「楽しみにしておるぞ」
「では、最初はユウト殿!頼みますぞ!!」
「はい!!」
おお、英雄(笑)が行った。
さてさてどうなってんのかな?英雄(笑)の能力は……。
この時は何も考えてなかったが、まさかあんなことになるとは……。
人生何が起きるかわからないものだ。
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