脱出
遅れて申し訳ありませんでした。
ここのところ投稿どころかPCが開けず、すいません。
頑張って投稿しますので見捨てないでくださるとありがたいです。
漢数字とアラビア数字が出てきますが気にしないでください。誤字ではありませんので。
でわ、第10話をどぞ!
城攻めまであと……。
安穏で静寂な夜が終わり、朝を迎えると混乱と終焉を告げることとなる。後に言われる『災厄』を事前に知りえたものは五人。
異世界からの英雄の一人である時代門宗明、自称只のメイドという時雨、宗明を助けるためだけに動き且つあわよくば親しくなろうと狙う異世界英雄の一人、宗明の悪友であり親友でもあるお互いの情報を共有している神薙永遠、そして隣の牢屋に長年いる元異世界英雄のおっさん。
しかしながら、世の中には危険や災害を察知する者や感じる者はいるようで、この夜は動物や魔物などの家畜は騒ぎ、城在住の魔導士は眉を顰め、この国の第一王女は自分の持つ能力の嫌悪感によって眠れずにいた。だが、結果としてこの『災厄』は起きてしまったのだ。
誰にも感知されず、どこからともなく湧いた魔物たち、騒ぎに乗じて盗みを働く者、場内で起こるクーデター、上げていけばキリがない。しかし、止めようと手段はあっても実行することができない。
この計画は大成功を収めたのだった。
そんな中脱出計画を企てていた者たちは……。
「行かねえ」
「どうしてだ?お前の待ち人とは本当にここで待てと言っていたのか?」
「そうだ。だから俺はここで待つ必要がある。ここからは離れられねえんだよ」
「宗明様、もうここが崩れます。急いでください」
「ああ、分かってる」
今俺たちがいるのは牢屋の機能を果たせなかった牢屋の前でたむろしている。俺の我儘なのは分かっているが、このおっさんにはここから出てもらう必要がある。
このおっさんは元英雄で異世界人だから情が沸いたとかではない。ちゃんとした理由がある。まずはこのおっさんのステータスを見てもらう。
◇◆◇
名前:遠藤郷司
能力:風神・雷神・浮遊
加護:女神ファルナ
状態:封印・第一級負荷・催眠・拘束
◇◆◇
どうだろうか。能力も気にはなるが問題はこの『状態』だろう。『仙眼』を使用しているうちに機能が増えたのだ。このステータスを見る限り、おっさんは何らかの封印中で重度の負荷を掛けられており、催眠で拘束されているということだろう。
なんだこれは。
何をしたらここまでの状態になるのか。
「おっさん。自分のステータスを見たことがあるか?」
「ああ?見たのは数年前だぞ。それがどうした」
「視ろ」
「っ!!?おまっこれをどうやって!?」
「俺の能力の一つだ」
おっさんのステータスをおっさん自身の視界に直接投影する。『仙眼』の応用技術だ。
「催眠…?俺は何も……?」
「あんたに待ってくれと言ったその待ち人は本当に『存在』しているのか?何者かに掛けられた『暗示』じゃないのか?何故城の外ではなく態々牢屋で待てなんて言ったんだ?」
「そんなバカな…?俺は確かにあの方にここで待てと……」
「あの方だと?そいつは誰だ?王か?なら何故お前はここで捕まっている?何故お前はここに何年もいる?」
「俺…は……?つっ!!?」
頭を押さえ蹲るおっさん。どうやら催眠は大丈夫そうだな。あとはその他諸々の拘束とかだが……。
それは追々解除させようか。今は脱出をしなければならない。
「おっさん、蹲っているとこ悪いが立てるな?来い。疑問を解消しに行くぞ」
「ああ…。すまんな、迷惑をかけた」
「宗明様!!こちらに!!」
「ああ!!」
俺たち三人が地下から駆け上がると同時に天井が崩れ落ちる。誰かが天井を抑えていたかのようだった。
城内は既に元は人の形をした何かと多数確認できる魔物の死体で溢れかえっている。どこかしらに英雄がいて対処しているのだろう、どこからか激しい剣劇と鳴き声やら遠吠えが聞こえる。
俺たちは地下から脱出しある一室へ入る。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ここにはどなたもいらっしゃいません。少しばかり休憩していきましょう」
「……すまなかったな」
「思い出したか?」
「ああ。全て、な」
「遠藤様、何故貴方はあの牢屋にいたのですか?」
「居たくていたわけじゃねえがな…。まずお前らに注意をしておく」
「「?」」
「俺は大犯罪者だ。殺人数5640人で二つの国を過去に墜としたことがある」
「で?」
「お、おう。驚かないのか?」
「俺も似たようなものだからな」
「そ、そうか……でだ。俺と一緒にいると確実に問題が起こる。この騒ぎに乗じて俺はある目的のために行動させてもらう。見逃してくれるとありがたい」
「そこはいい。続きは?」
「ああ、俺はこの事実のお陰でステータスには載っていない能力の存在が分かった。お前の持つ能力の『状態』もそうなのだろう」
「へぇ。だが、『仙眼』自体はステータスにあるぞ?」
「それはあくまで能力だからだ。俺が言うのは機能だ」
「機能、ね」
「殺人数五千人を超えた辺りから妙に体が頑丈になったり、気配がゼロに等しくなったりとかな、何かしらの恩恵はあった。が、」
「ステータスには何も書かれていなかったと」
「そういうことだ。それの検証をやっているうちに最も親しかった奴に裏切られてな。捕まったということだ」
「話が聞けてよかった。ありがとな」
「何を言ってる。こっちも胸がスッキリした。やっぱり人と話すのは良いことだな」
「宗明様。こちらに一、二、四名いらっしゃいますがどういたしましょう?」
今の今まで時雨さんに気配察知をお願いしていた。するとおっさんが扉の前に移動する。
「俺にやらせてくれ」
「大丈夫なのか?」
「ああ」
「なら任せた」
この時初めておっさんの実力を思い知ることになる。ほんと味方でよかったと思う。
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