プロローグ
どうも景鱗です。
でわ、第1話をよろしくお願いします!
お前ら異世界召喚ってのを信じるか?
俺は信じてない。
そんな小説は散々読んできたが、実際にあり得るはずがない。
現に俺がすでに大学生だし十八歳だ。
高校生でクラスごと転移とか想像していた俺が恥ずかしい。
俺の黒歴史だろう。
で、そんな俺がなぜ今この話をしているかだが、理由は二つある。
一つは只の暇つぶしによる回想。
もう一つが実体験となったことによる現実逃避だ。
そう。俺はどうやら異世界転移したらしい。
まあいきなりこんな話されても分からないだろうから、分かりやすく話そうと思う。
俺は時代門宗明。
相変わらずのわけわからん名前だ。
ガキの頃はよく「じだいもん」と呼ばれたっけ…。
で、さっきも言ったが大学生だ。
趣味は武術、特技は水中で何時間もいられることだ。
今日はゼミだった。
めんどくせえがおっさんの話を聞いてたら終わるという楽できる授業だ。
なかなかに気に入ってる。
しかし、何分待ってもおっさんが来ない。
何してんだと思いつつ、スマホをいじり待つ。
そこからの記憶は自分でも疑いたい。
突如足元に光る魔方陣に加えて一瞬の浮遊感。
次に目を覚ました時は真っ白の世界。
そこに立つ一人の女性。
困惑の連続だ。
ゼミには俺を含めて十一人いた。
全員の名前を知っているわけじゃないが、なんとなく分かる。
状況把握が必要だろう。
まず俺たちは転移させられた。
そして空や地面、地平線まで真っ白な世界にいる。
前には二十代後半辺りの女性。
髪は金髪で真っ白な衣服を身に付けている。
ここは真っ白でほかには何もない。
成る程……分からん。
誰か説明を求む!!
そう思っていたら前にいる女性が話し始めた。
「皆様は私ファルナを神とする世界に英雄として選ばれました。あなたたち十二人には私の加護を与えます。世界の悪ともいえる悪魔王をどうか倒してください。お願いします」
そう言い放ったのは目の前の女性だ。
女神とやらか?
まあなんて勝手で無責任な願いだろうか。
人にものを頼むときにはそれなりの礼儀があるだろうが。
女性がこちらに頭を下げる。
それを見かねたのかこのゼミのリーダーでもある西谷優斗が話す。
「頭を上げてください。女神様。僕たちはその悪魔っていうのを倒せば元の地球に返してもらえるんですか?」
「はい。英雄は役目を果たすと帰還するようになっています」
「では、受けます。それが英雄の役目であり、人としての礼儀ですから」
こいつは何をワケわからんこと言ってんだ?
勘違いも甚だしい上にそんな礼儀ねえよ。
そんな俺の思いを無視して二人で会話が進む。
まあ口に出してないから無視されるのは当たり前だがな。
「あ、ありがとうございます!!それでは皆様に私の加護を与えます。私の加護にはそちらの世界にはない能力が付与されます。この能力は生まれた時から当たり前のように使えるようになっていますので、その力を駆使して悪魔たちを倒してください」
「分かりました」
「では目を閉じておいてください」
女性が何かをつぶやく。
すると、俺の中に何かが入ってくるよな感覚がある。
これが加護とやらか…。
あ、そうそう俺は悪魔退治とかはやらない。
めんどくさいし。
そもそも誘拐されて頼まれても聞く気にはならないだろ。
「では皆様私の世界に転移します。次に目が覚めると王城の中だと思います。英雄召喚に応じたものとして。では転移を開始します」
俺たちの立っていた場所に魔方陣が浮かび上がる。
二度目の転移だ。
これが終わると王城に行くらしい。
「いってらっしゃいませ。十人の英雄たち」
視界が白で埋め尽くされる。
なんかおかしなことが聞こえた気がしたがまあいい。
悪魔退治とやらに参加する気はないが精々楽しませてもらおう。
せっかくの異世界なのに、小説とは違って帰れるんだし。
目を開けるとそこは真っ暗な場所。
これのどこが王城なんだ?
辺りを見回して気づいたことはここにいるのは俺一人ということだ。
皆はいない。
そして今度は目の前に三十代前半くらいの男性。
額には角が生えてる。
今度はなんだ?
「ふむ。貴様が最後の適正者か」
「はあ?」
「突然のこと済まぬな。我は邪神ファルス。悪魔を司る神だ」
「ああよろしく」
「貴様にはある願いを叶えてもらいたい」
「願い?」
「ああ。この我の封印を解いてほしい。そのために貴様には力を授ける。どうだ?」
なんか面白いことになってきた。
悪魔退治よりこっちの方が楽しそうだ。
「いいぞ。退屈してたし」
「そうか!!では早速力を授けるとしよう」
この流れさっきもやったな…。
俺の中にまたもや何かが入ってくる。
これが力か……。
これ女神の加護と中和とかしないよな……?
大丈夫だよな?
心配になってきた……。
「それは我の権能の一つだ。強大な力だが貴様なら使いこなせるはずだ。よろしく頼むぞ」
「あ、ああ」
「では元の転移軸に戻そう」
俺の視界は黒で埋め尽くされる。
これからどうしようか…。
光が晴れると前にはひざまずいている騎士たちとその中心にいるお姫様。
「ようこそいらっしゃいました。英雄殿」
ここからが俺の王への第一歩だった。
誤字脱字や矛盾点などが見つかりましたらどんどんお願いします。
出来れば評価もしていただけたらと思っております。
よろしくお願いします。