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短編集 ミネマドカ  作者: Madoka Mine
5/16

喜劇

「ゆかりちゃーん、ネタが思い浮かばなーい!」


一緒に生まれたもう片方の人が、定期演奏会の練習にかまけて存在を忘れていた部誌の短編に行き詰まっていた。



話は夏休み初日、あるミレニアムな年の7月21日まで遡る。 この日、もう片方の人は一日中ピアノに向かっていた。 部屋から聴こえてくるシューベルトの『野ばら』。 彼女は夏休み明けの定期演奏会で歌うから、と言っていた。


「それに、ゆかりちゃんも聴音になるでしょ?」


「かおりちゃん、私ヴェルナーなんだけど」


私とかおりは1984年7月29日生まれのもうすぐ16歳。 3歳の時から習っていたピアノと歌を続けて13年。

双子だから同じ題名を付けられた別の曲を弾きましょう、と先生にうまいこと騙され続けて13年。 『トルコ行進曲』もバッハの『メヌエット』も同じ演奏会で弾いた。


「あ、野ばらの詩を今風にアレンジしようかなぁ!」


かおりは大声で独り言を言いながら鍵盤を叩く。 まったく、どうしてあんな器用な真似ができるのだろう。 それに野ばらの歌詞をアレンジするって、どういうこと?



そこからひと月とその半分が流れた2000年8月31日。 ピアノに向かう私の向こうで、かおりが悲鳴を上げている。 まったく集中できない。 部誌を放っておいた彼女が悪いのに。


「もーうるさい! あんた言ってたじゃん、野ばらの歌詞があーだこーだ…」


「野ばらの歌詞?」


「違う違う! なんかさ、ミレニアムな野ばらみたいな…」


同じ顔をしたうるさい人を静かにしたくて、ひと月前の会話を思い出して話す私の横で歌い出すかおり。 尚更うるさくなった。


「他人の話を聞け!」


ピアノはヴェルナー、歌はシューベルト。 山の上の一軒家からは異様な音楽が聴こえてきたらしい──。



Date;June 16

Theme;comedy

続編も出したいので設定を。


一色(いっしき)ゆかり

 1984年7月29日生まれ、子年、獅子座、A型。

九州生まれ、山陰育ち、関東在住。 名前の由来は(ゆかり)


一色(いっしき)かおり

 1984年7月29日生まれ、子年、獅子座、A型。

九州生まれ、山陰育ち、関東在住。 名前の由来は(かおり)

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