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短編集 ミネマドカ  作者: Madoka Mine
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うさぎがいっぱい

「よくここまで集めたねー、奈美子なみこ


幼稚園から中学校まで11年の間、同級生として月曜日から土曜日まで嫌でも顔を合わせてきた幼馴染みが回覧板を届けに来たついでと言って、私の部屋に勝手に上がり込んできた。


「あんた何しに来たの?」


「隣の引っ越し準備の進み具合を見に」


「手伝ってくれないなら帰って」


父の転勤で遠方に引っ越すことになった私の家では現在、荷物の整理が行われている。 それにもかかわらずうちの母は呑気に近所のおばさん達とお茶に行き、私ひとりが荷物の山と格闘しているのだ。


「いや、このうさぎを全部持って行くのかと思ってサ」


箱に詰めていないから置いていくの? と抜かす客に一発見舞ってやった。 ひどいよなみちゃん、と言っているのは聞いていないことにしておこう。

私の可愛い可愛い19体のうさぎのぬいぐるみ達を箱になんて詰めたらかわいそうだということを分かっていないらしい。


「置いていくなら俺の家に持って行こうか?」


幼馴染みは回覧板が届けられた時点で憂鬱だった私の神経を逆撫でするのが得意らしい。 今日だけで2発もお見舞いしてしまった。 本当に荷物が片づくのかな。


「いやん、俺の玉の肌にイ」


「誰の玉の肌だって」


そばかすの肌の間違いじゃないの、と続ける私が見たのは、私の机で呑気に『こちら千代田区日比谷公園前派出所』略して『こち日比』を読む幼馴染みの姿だった。



「読むなら自分で買って読んでよ!」


「奈美子ンちのほうが楽だもん」


「楽って、それお兄ちゃんのだから。 ていうか用は済んだでしょ!」



Date;May 12

Theme;many rabbits

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