表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どうでもいい症候群

作者: 準々

 風間仁はおかしな病気の持ち主だった。

 何かにつけて「どうでもいい」と言ってしまう、どうでもいい症候群。

 実際、そんな名前の病気は存在しないけれど彼の場合、病的なまでに「どうでもいい」が酷かった。

 例えばクリスマス。物心がつき始めた仁に両親が優しく問いかける。

 「欲しいものを言ってごらん?サンタさんが届けてくれるから」

 すると仁はそっぽを向いて

 「どうでもいい」

 そう言い放った。

 それだけだとただの冷めた子供で終わるかもしれない。しかし、彼の場合、どうでもよくないものまで「どうでもいいい」と言って、また、「どうでもいい」ように対峙する。

 「どうでもいい」で勉強を怠り高校は最底辺、「どうでもいい」でムカ着火産業というよくわからない企業に就職した。

 もちろん、「どうでもいい」で入った企業がまともなわけもなく、週休なしで毎日残業、しかも最低賃金で残業代はない。そんな典型的ブラック企業であった。

 しかしながらこの風間仁という男は持ち前のどうでもいいを発揮、体が動かなくなるまで体を酷使し、ついには病院に運ばれてしまった。

 一命はとりとめたもののまだ体を動かせないでいる風間のもとに、

 「君はあれかね、人生をなめているのかね?何でもかんでも『どうでもいい』なんて言って」

 眉間にしわを寄せた主治医が問いただす。

 しかし仁は、

 「なぜですか?」

 仁には質問の意図が分からなかった。彼にとって、「どうでもいい」は悪でも怠惰でもなかったからだ。

 そして彼は言い放った。

 「何かに固執すればそれを得られなかったとき、失ったときのショックは大きい。だったら最初からどうでもいいって言ってた方がいいでしょ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ