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SHADE-I  作者: 青山 由梨
3/15

EPISODEi-3



TV塔の1階は、正面がガラス張りの広い空間だった―――

イメージキャラクターを飾り付けたエントランス、大型モニターを埋め込んだ側壁、それらを通り抜けると見栄えの良い女性たちが待ち構えるフロントがある。



「お〜、へ〜、こんなもんか」

「あたし、エウプド地区のTV塔なら行った事あるけど、ココは初めて〜」


ゴデチヤでは知らぬ者のいない制服に身を包んだ一団は一際目立っていたが、周りにいた人々は皆、示し合わせたかのように遠巻きになっていく。

彼らの先頭に立つ少女―――カーフェは、フロントまで真っ直ぐ歩いて行くと、受付嬢に向かって口を開いた。


「えっと〜、登録した相手と会いたいんですけど〜」




リュクシーたちと言えば、周りを学生たちにガードされ、少し離れた所でその様子を見ていた。


「やっぱ芸能人は正面玄関からは、入って来ねーのかな?」

「今日は○○○の生放送あるじゃん!△△△とかに会えるかもよ!?」


キョロキョロと辺りを見回す彼らは、制服の効果も倍増して、かなり悪目立ちしていた。




「登録相手の氏名とカードナンバーを教えていただけますか?」

「ジン=ヒナセ。え〜っと、1204dtws930sd432だよ」


「確認いたしますので、少々お待ち下さい。後ろの方たちは、お連れ様ですか?」

「うん、友達ー」


「では、お連れ様のカードも確認させていただきますね」

受付嬢がそう言うと、リュクシーの胸ポケットにあったカードが、ピピッと機械音を発した。



(これでバレなければいいが)


登録写真とよく見比べれば、別人である事は丸解りだ。

リュクシーは、内心ヒヤヒヤしていたのだが―――


「では、少々お待ち下さい」


―――受付嬢は、カードが正規の物であるのを確認しただけで、中身まではチェックしなかったようだ。

制服効果は絶大、という事なのだろうか。



(ずさんな管理で助かったな)


リュクシーはイチシと視線を交え、頷いてみせた。


場所が場所だけに、そう簡単に面会の希望が通るとは思えなかったが、相手は要人の子供たちだ――― 邪険に扱う事もできないと判断したのか、門前払いは免れたようだ。




「エル、OKっぽいよー」

カーフェが振り返り、こっちを見て言うので、しばし沈黙する。




―――――そうだ、リュクシーの名前は今、エレフィン=ダタロイド。

イチシは、トール=ヒロカミだった。






「―――で、どこにいるんだ?」

「こちらです」

その時、フロントの責任者なのか、受付嬢が男を連れて戻って来た。


「これはこれは―――何でも、ダタロイド議員のお嬢様までいらっしゃるとか。お父上に面会ですか?」



シ―――ン……。



リュクシーは隣にいた少年にわき腹をつつかれ、この場で返事をすべき《お嬢様》が自分である事に気づく。



「あー、しかしですね、あいにくダタロイド議員はご覧の通り、報道番組に生出演中でして―――」


しかし男は、お嬢様の返事を待たずに先を続ける。


男の視線の先には、壁面の大型モニター―――映っていたのは、この局のニュースだった。

どうやらダタロイド議員というのは、画面内で熱弁しているスーツ姿の男の事らしい。


「放送が終わるまで、一般見学コースでも回られてはいかがですか?」



「おっしゃ〜!」

「やったー!行く!行く行きま〜す!」

中に入れると聞き、若者たちが歓声を上げる。


本当はあまり大声を上げたり、飛び跳ねたりしないでほしいのだが―――何故なら調和を図るために、リュクシーやイチシも同じ行動を取らなくてはいけなくなるからだ。



「では、フロントで本日付の入館証を受け取って下さい。有効期限は入館証に記載されている通り、当日限りとなっておりますので」


ご大層な名前とは裏腹に、受付嬢によって配られた入館証とは、ただの厚紙に日付とテレビ塔のキャラクターが印字されただけの簡単なモノだった。



(いいのか、こんなに簡単で?―――制服に騙されてるという事か)


リュクシーとて、強行突破を望んでいたわけではないが―――こうもあっけないと拍子抜けだった。

自分の足を見下ろし、その短すぎるスカートを見て、嘆息する。




「ところでジンは〜?カーフェ、ジンに会いに来たんだけど!」


うまく話を誤魔化したつもりだったのか、カーフェが話をジンに押し戻したのを見て、男は短く舌打ちした。


「え?ああ、登録相手との面会でしたね。しかし、私どもと致しましては、そいういったご用件での面会はご遠慮いただいております。特殊業界だけに、誰でも簡単に面会を許すわけにも参りませんので。お相手は職員ですか?勤務が終わるまでお待ち下さい」


制服に惑わされて、ここにいる不審者2人を見逃しているくせに、よく舌の回る事だ―――


「違うよ!ジンはこんな所で働いてないもん!ジンだって、外来客でしょ!何で呼び出しかけてくれないの!」


「え、あ―――カードで直接ご本人と交信されてみては?」

「交信OFFになってるんだもん!だから、放送かけて呼び出してよ〜」


「いえ、生放送中ですので、それは―――」


言葉を濁し続ける男に、カーフェは全く引く気配がない。




「と、とにかく―――少々、お待ちを。上の者にまずは確認を取ってみますので……」

「えー、まだ待たされるの〜!?」


「あ、お連れの方たちは、どうぞ見学コースにお進み下さい」


男は議員の娘に、うつろな愛想笑いを浮かべると、上司を呼びに奥へと引っ込んで行った。




「あ、ではご案内いたしますので―――私について来て下さい」


「じゃ、ワリーな、カーフェ。オレら先行くから。また後でな!」

「相手と会えたら、また連絡してよ」


受付嬢の言葉に、カーフェの友人たちは薄情なセリフを残して、彼女の後ろを付いて行く。



「うん〜、気を付けてね」

置いていかれるカーフェは、少々ふくれっ面でリュクシーを見て言った。


軽く手を上げて応えると、リュクシーも歩を進めた。









「まずは、報道ブースからご案内しますね」


「ねー、お姉さ〜ん、芸能人とかやっぱ見た事あんでしょ?」

「っていうか、お姉さん、年いくつ?今日は登録済み?」


受付嬢に俗っぽい質問を浴びせると、彼女は苦笑していた。


「仕事中だから、あんまり個人的なお話すると怒られちゃうのよ」

「あ、じゃあ、仕事何時に終わんの?オレ、待ってるし」

「残念ながら、今日は登録済みなの。また今度ね」




人気が少なくなったら、この団体から離れようと思って様子を伺っているのだが―――案内されていくエリアは、報道関係を扱う部署らしく、先刻のドーム外壁爆破事件、少女の人身売買などの新鮮で物騒なニュースを放送する為に、人が激しく行き来し、ごった返していた。


「は〜い、質問!ニュースで見たけど、保護した女の子ってココにいんの?」

「いいえ、ここは階も低いし、スタッフたちが頻繁に出入りする場所だから。もっと上層の安全な所にいると思うわ」


「上層だと何で安全なの?」

「20階より上は、カードを特別登録している役職の高い職員しか、入れないようになっているのよ」

「フーン。あっ、見ろよ、女子アナだ!!」









「―――大丈夫か?」

イチシが耳元で囁くので、リュクシーはハッと我に返った。



「いや―――何か……」

「何だ?」


リュクシーは辺りを見回した―――生放送に翻弄されるスタッフたちが、乱雑に散らかったデスクとモニターで溢れたエリアを、忙しなく移動している―――




(視線が―――――)




「………」

「やめろ、考えるな」


原因を、《残像》を無視しきれない事にあると思ったイチシは、リュクシーの腕をきつくつかむと、その痛みで現実に引き戻そうとする。


「違う―――今までより、もっと……」

激しい違和感を感じ、リュクシーは視線を彷徨わせる。




(何だ―――どこから見ている?)











ザ、ザザ―――――ガガ、ピ―――ガ、









突然、周りに配置されているモニターの画面が一斉に乱れ、ノイズが入る。




《ただ今、音声が途切れました。失礼致しました》


画面内で原稿を読んでいたアナウンサーが謝罪する。







ザ、ガガガ―――――ピ、ビビ―――ガザザ……、







しかし、ノイズは断続的に画像を乱している―――



「何だ?おい、どうにかしろ!」

歪むモニターを見て、スタッフの誰かが声を上げた。



「やってるんですが―――」

「何か……変じゃない?コレ―――」


そして別の不安げな声も上がる。




(しまった―――)

リュクシーは食い入るように画面を見つめ、己の愚かさを呪った。



ノイズと共に、何か黒い影のようなモノが、画面内を点滅しながら動いているのが分かる―――



(私は―――《あいつ》の領域に、自ら近づいてしまったのか!)


電波の中にいるモノの正体に気づいたリュクシーは、四方をモニターに囲まれた今の状況に気づき、絶望に近い感覚を知る。




「―――見るな!あんたが奴を具現化させる!!」

イチシも気づいた―――リュクシーを胸に抱え、自身も視線をそらす。



「何か―――気持ち悪いわ。この影……」

「人間みたいにも―――でも、羽?何なの、コレは……」



(ダメだ―――私たちが目を背けたとしても……)



「何なんだ、この化け物は!!」



(そんな言葉―――やめろ!!)

誰かがその者を《化け物》と呼んだ瞬間、背中に悪寒が走る。


















バ・ケ・モ・ノ―――

























化け物だ!!!










その場にいる人間たちの恐怖心を吸収し、影は具現化を始める。

人々が連想する、影の魔人の姿へと―――


影はリュクシーの正面にあった大型モニターから煙のように立ち上り、新たな肉体を具現化し始める。

その体はどす黒く、ただ不安と恐怖を駆り立てる《人であらざるモノ》だった。



だが―――その身に帯びている電撃の波が、かつての……リュクシーが知っていた者を思い出させて胸が痛む。











(そう―――胸が痛い……)

リュクシーは―――イチシにつかまる手に力を込める。


これが―――リュクシーが選んだ者。そして捨てた者―――

どちらを選んだとしても、自分は後悔した事だろう。




「キャアアア!!!」

「おい、カメラ回ってるんだろうな!」


逃げ出す者、この光景を映像に残そうとする者―――魔人はその中心で、まるで深呼吸でもしているような動作で、電撃のシェイドを体の中心に集めていた。




(―――――来る!!)

狙いが自分に定まっている事実に、リュクシーは叫んだ。


「イチシ、避けろ!防御ではムリだ!!」


ケタ違いのシェイドに、2人は逃げるしか方法がなかった。









バチバチバチッッ!!!!!!









ほとばしる光の線が、リュクシー目がけて放たれる。

イチシはリュクシーを抱えたまま、間一髪の所で電撃をかわした。


「チッ!!」

イチシは攻撃を避けながら―――巻き添えを食らった人間たちがバタバタと倒れるのを見て、忌々しげに舌打ちした。



(あれを浴びたら、即死だ―――)

リュクシーも、シェイドに耐性のない人間たちの最期を思い、魔人の恐ろしさを再確認する。






バチッッ、バチ、チッ!!!!!!







だが魔人は既に、第二撃の準備にとりかかっていた。


複数の人間のイメージによって得た姿―――恐怖の象徴。

電波の飛び交うこの環境、人間という枠を捨てたモノの強さ―――どれもが魔人を最強とさせていた。


《人》の姿だった時のシェイドの容量を遥かに超える力を、リュクシーを手に入れる為だけに使って来る。







(これがお前を捨てた私への罰か―――)


リュクシーは―――魔人と化した《カライ》を見た。

そこには、あのふてぶてしい笑みや、アンバランスな感情、何もかもが無くなっていた。




(私は―――間違っていたのか?カライ……)












破  壊













スベテヲ    コ  ワ  セ












そこにあるのは、かつて恐怖を覚えたどす黒い意識―――理解し得ない負の感情。

リュクシーがカライをあの意識の中へ突き落としたのだ。



「―――奴を殺そう」

その時、イチシが言った。



「二度とあんたに憑きまとわないように―――今この場で殺そう」














「無理だ―――」

「無理じゃない」

やっとの事で出た言葉を、イチシは否定した。




「あいつは死の瞬間を―――電撃のシェイドを乗り越えた」

「無理じゃない」




「あいつは、人に手を下されたわけじゃない―――」

「無理じゃない」




「ハガルとは違う―――私は2ヶ月も、カライと一緒にいた」

「やるんだ」




「あいつのシェイドを浴びた―――夢も見た」

「やるんだ、リュクシー」


イチシの瞳はいつだって強かった―――そして、リュクシーに選ばせる。

どちらかを捨てるくらいなら、自分が消え去りたいと思うほどの、厳しい選択でさえも―――







バチッッ、バチチッッ!!!!!!







一方、魔人にもはや迷いはないようだった―――リュクシーを死の世界へ引きずり込もうという意識を、肌に突き刺さんばかりに感じていた。



「やるんだ―――あんたが呼び覚ましたシェイドだ。あんたが葬れ。そう決めたんだろう」

「………!!」



そう、イチシの言う通り、リュクシーは決心したはずだった―――なのに、何故こんなにも迷う。

何故、カライの顔ばかりが蘇る―――



「―――オレはあんたの味方だ。だから恐れるな」

イチシはリュクシーをきつく抱き締めた―――彼女を幻想の世界から断ち切るべく、自分の熱を伝えたかった。




「イチシ―――」


リュクシーにだって分かっていた―――魔人はもう、自分が名を呼んだくらいでは、元の姿を取り戻せないだろう。


リュクシーが死ぬか、魔人が消滅するか。

早く決着を付けねば、この場にいる人間の全てがショック死するだろう。









バチバチバチッッ!!!!!!









その時、自分を見つめるイチシの後ろに、充電を終えた魔人が再びリュクシー目がけて電撃を放つのが見えた。



「くっ―――!!」

避け切れないと判断したリュクシーは、あの時の―――カライが防御シールドに焼かれた時の記憶を蘇らせた。




(―――壁よ!!!)


自身のシェイドで見えない壁を創り出し、魔人の電撃を受け止める―――










バチバチバチッッ!!!!!!









「あああああっ!!!」

「ぐっ……!!!」



だが電撃と接触した瞬間、あの頃に支配されていた意識が、脳裏に入り込んで来る――― リュクシーをかばったイチシも、あまりの衝撃にうなり声を上げた。




(―――持ちこたえられない!!)

リュクシー1人のシェイドでは、到底支えきれない―――だが隣には、全てを分かち合うと誓った新しいパートナーがいた。




「くっ……!!」

リュクシーがシェイドの防壁を創り出しているのが分かると、イチシも自身のシェイドのイメージをそれに重ね合わせる。




「長くは持たないぜ―――この後はどうするんだ」

「……逃げるしかない」


「まだそんな事を言ってんのか!!」


イチシは声を荒げて言ったが、リュクシーは本当に知らないのだ―――カライの死の瞬間を。




「私は見ていないんだ―――気絶してしまったから……」

「くっ……じゃあ、他に方法を考えるしかない!」


死の瞬間を再現するには、リュクシーでは役不足だった―――電撃が直接の死亡原因だったとしたら、それを無効化してしまったカライに効果があるとは思えない。





(―――銃だ。カライは銃で撃たれた事がある……!)


まだ1%でも、人であった時の意識が残っているのなら―――撃たれて倒れた記憶を呼び起こせるかもしれない。




「―――おい!!どこかに銃はないのか!?」

リュクシーは、遠巻きにしながらカメラを回している男に怒鳴りつけた。



「そんな化け物に銃なんて効くのか!?」

「あるのか、ないのか!!」

電撃のシェイドの重みを全身に感じながら、リュクシーは声を張り上げた。


「あるぞ!そこの奥の棚に……でも、鍵がかかって―――」




終わりまで聞かずに、リュクシーはイチシと顔を見合わせた。


「一気にはねのけるぞ。武器を取って、モニターのない場所へ移動しよう」

「よし―――やるぞ」









破  壊!!!












2人は全身をシェイドで覆うと、魔人のシェイドを天井に向かって叩きつけた。

ターゲットをそれた電撃は、一瞬にして霧散するかのようにかき消える。



ダッ―――!!


肉体機能を限界まで高め、リュクシーは銃のある棚まで瞬時に移動すると、手刀で鉄製の扉を砕いた。



「うわああ!!」

棚の陰に隠れていた男が、リュクシーの背中に迫る魔人におののき、腰を抜かしていた。




「魔人を葬る!―――誰も付いて来るな!!」

カメラを担いで後を付いて来かねないTV塔の人間たちに一喝し、リュクシーたちは報道ブースを飛び出し、廊下を走り始めた。










ニ ガ サ ナ イ










電撃の魔人はその身をモニターの中にねじり込んだかと思うと、獲物のそばのモニターへと移動し、あっという間に2人の前に現れる。


カチャ。―――リュクシーは照準を合わし、モニターから上半身だけ抜け出た魔人に向けて連射する。



ドゥンッ、ドウゥン!!!バリンッッ!!!!!


だが銃弾はモニターを破壊しただけで、魔人は背後のモニターに移動した後だった。




「走れ!人気のない場所へ!!」

「どうする、TV塔から出るのか!?」

前方にあるモニターを銃で破壊しつつ長い廊下を走りながら、イチシは問う。




「―――ダメだ!外にはビルの側壁に巨大モニターが埋め込まれている!」


それに外へ出るには、あのエントランスを通らなければならない―――入り口にあった大型モニターも危険だ。

別の通用口を捜している余裕はなかった。




2人は道なりに走り、天井が高く設計された食堂らしきエリアへと出た―――






「!!!!!」






そこにあったのは、高さが3メートルはあろうかという巨大モニター……その横には、中型サイズのモニターがぎっしりと配置されていた。















バチンッッッ!!!












画面が波打つと、電のシェイドが食堂中に響き渡る。


「あっ―――?」

「うぐっ」


ただそれだけで、食堂に残っていた人間たちがバタバタと倒れていく。







チッッ、バチチッッッ、バチン!!















オ マ エ ヲ テ 二

イ レ ル













TV塔の中に、モニターのない空間など端から存在しなかったのだ―――各画面からこちらを見据えている魔人の姿。

目などないただの黒い塊だったが、リュクシーは金縛りにあったように動けずにいた。






「イチシ―――」

お互いの手を取り、そのシェイドを確かめる―――余力はほとんど残っていなかった。










バチッ、バチバチバチッッ!!!









これが最後だ―――残された力を全て注ぎ込み、リュクシーは銃を構えイチシが手を添えた。


心の奥底では、2人とも分かっていた―――銃は効かない。

魔人の肉体が滅びたその時間を再現させなければ、勝ち目はない。










バチバチバチッッッッッ!!!









(カライ―――お前は勝てない。私が死んでも、お前のモノにはならない)


たとえ肉体が滅びても―――心は誰にも支配されない。

リュクシーは覚悟を決めて、魔人に向けて銃弾を放った。





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