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プロローグ
「「は?」」
携帯に写るのは明らかに俺の顔だった。たしかに、髪型はキレイにセットされているし表情も自然で、俺からしたら逆に不自然で違和感はあるけれど、その顔は、紛れもなく俺の顔。
しかしそれは、美容院にいっておしゃれ美容師に髪を切ってもらい「ワックスつけますか?」とか聞かれて「おおおお願いします」といった俺が帰宅してインカメラで自撮りしているような痛い人だからではなく、父さんと母さんが暇潰しに作った「R&R」というアプリを起動した結果、自動的にテレビ電話の画面になり、文字化けした番号が勝手にダイヤルされ(新手のウイルスかと思って焦った)、繋がったと思ったら、液晶に写し出された顔が俺の知らない俺だったわけである。なにそれ怖い。
「おま……きみ、誰ですか」
「お前こそだれだよ」
こいつ俺が遠慮して使わなかった初対面へのお前呼ばわり躊躇なく使いやがった。
「お、俺は……」