若葉。山形へ。
いったい、何が起きたのかわからなかった。いろんな事が起こった事の間違いない。毎日、歌う事に、明け暮れていた。勉強なんて、した事もない。歌が大好きだった。だけど・・。あの日。全てが、変わっていった。
「若葉!」
激しい揺れの後、母親が血相変えていった。
「とにかく、姉さんの所にいきな!」
パート先から、慌てて帰って来て、バックに、着替えを詰め込んでいた。
「何で?」
その日、風邪で、学校を休んでいたあたしは、ようやく体調が、戻ったのをいい事に、春休みに、行うライブの練習に、こっそり出かけるつもりで、いたので、驚いた。母親は、地震で、崩れた家の中を、土足で、歩き回り、片付ける気配も、見せなかった。
「何、言ってるの?」
全く、訳が分からなかった。
「もー!CD片付けなきゃじゃん。」
「いいから、山形にいきな!」
母親は、通帳を出した。
「姉ちゃんには、メールしておいたから、とにかく、早く、いきな!母ちゃんは、後から、行くから。」
「意味、わかんない。」
「おばさんが、連れて行くって。おじさんも、一緒だから。なるだけ、西に、逃げるんだって。」
「何が、起きたの?」
「いいから。」
母親の顔は、真剣だった。
「危ないんだよ、原発が。西に、逃げろって、皆、言ってる。」
「嘘。」
「若葉!」
母親は、若葉の背中を押した。
「先に、行って。とおちゃんが、来たら、後から行く。猫や犬の心配もあるから。」
「連れてきて・・。」
「わかっているから。」
半信半疑のうちに、おばの、車が、家の前に、着き、クラクションが、響いた。
「早く。道が、混まないうちに。」
まだ、原発が危ないなんて、人が、気づいてなかった。父親の建設業界で、伝わっていた都市伝説にも、近い話。地震が来たら、西に、逃げろ!。そんな話が、現実になるなんて・・。まだ、そんなに、逃げる人の姿もなく、迫る津波の情報やら、片付けに、追われる人の姿があった。
「気を付けて!」
母親に、押され山形に、向かう事になった。母親や父親の安否を、気遣いながら、まだ、雪の多い13号線を、北上していった。




