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第29話 開幕"初めての迷宮"



 

 俺、グレイノースは《蒼天の翼》の仲間たちと共にラディナ村付近の迷宮に足を踏み入れてから、すでに1時間が経っていた。

 迷宮は洞窟のように入り組んでおり、見たこともない魔物が潜んでいる。どれも油断ならない強さで、俺だけではとても戦い抜けなかっただろう。

 そして今――目の前には一匹のゴブリンが立ちはだかっている。普通のゴブリンではない。迷宮で鍛えられ、強化された進化種 《ゴア・ゴブリード》。残忍で知能を持った、凶悪な魔物だ。

 ゴア・ゴブリードは二本の剣を握り、グラッドめがけて激しく振るう。

 襲いかかる連撃。その重い一撃、一撃をグラッドが剣で受け止める。


「今だ!!」


 グラッドの声に合わせて、フィーネは魔法を、アルは弓を放つ。

 フィーネの《火炎の槍(フレア・ランス)》とアルの炎の矢《紅炎弓(こうえんきゅう)》は、ゴア・ゴブリードの腕と足を直撃。ゴア・ゴブリードは一瞬ひるみ、その隙にグラッドが(たた)み掛ける。

 三人の連携はまさに完璧だった。長年一緒に戦ってきただけあって、互いの動きに無駄がなく、隙がない。俺もその動きに置いていかれまいと、必死に剣を握り締める。

 だが、その時――何か異様な気配を感じ、俺は咄嗟に洞窟の天井(てんじょう)を見上げた。

 そこには、赤く光る無数の瞳。小型だが獰猛(どうもう)なコウモリ、《シャード・バッド》がこちらをじっと見つめていた。


「まずい……」


 俺の視線に気づいたシャード・バッドは、一斉に四人に向かって襲いかかってきた。

 俺は剣を構え、鋭く斬りかかる。その動きを察したフィーネとラルも慌てて振り返り、シャード・バッドに応戦。しかし、一匹が巧みに攻撃を避け、グラッドの首元を狙って急降下してきた。

 グラッドは、まだゴア・ゴブリードとの戦いの最中(さなか)――避ける余裕はない。

 その光景を見た俺は、迷うことなくスキルを発動した。


 ――《瞬速》


 体が閃光のごとく動き、グラッドに襲いかかるシャード・バッドを一閃で切り落とす。

 そして咄嗟に体勢を切り替え、視線をフィーネとラルが戦うシャード・バッドの群れに向ける。


 ――《雷走》


 まるで反復運動のように、俺は素早く距離を詰め、切り掛かる。剣を握りしめ、加速した体の動きに身を任せ、俺は次々とシャード・バッドに斬りかかる。

 一匹、二匹、三匹――切り伏せたその刹那、四匹目に剣先を向けたが――


 間に合わない……!


 だが、絶体絶命の瞬間、目の前でフィーネとラルの攻撃が敵を貫いた。弓矢と魔法の光が敵を焼き払い、俺の目の前を覆う。


 ――ありがとう……助かった……


 俺は二人に軽く視線を送る。その一瞬の連携に、胸の奥が温かくなるのを感じた。

 再び、俺は剣を振るい、残るシャード・バッドを切り伏せていく。

 こいつらの相手は俺たちで、必ず倒す。

 ラルの弓が放たれ、火矢が飛び交う。フィーネの魔法が燃え盛り、シャード・バッドの群れを焼き尽くす。俺も剣を振り抜き、敵を次々と切り刻む。


 ――これで……最後……


 俺は最後のシャード・バッドを、渾身の力で真一文字に斬り裂いた。

 敵を切り伏せ、シャード・バッドの最後を見届けた俺は、ラルとフィーネに笑顔を向ける。

 その視線の先には、まだ戦い続けるグラッドの姿があった。すかさず、俺と二人は武器を構え、グラッドの援護に回ろうとした――その瞬間、グラッドが大声で叫ぶ。


「手を出すな!!」


 その声には揺るぎない意志が宿り、目には決意が光っていた。必ず俺が倒す意志。

 

 ――《猛虎覚醒(もうこかくせい)


 グラッドの体から(あわ)い光が放たれ、剣は炎のように揺らぎ、周囲の空気までも震わせる。


「スゥゥゥゥゥ……」


 大きく息を吸い込み、目を閉じるグラッド。そして次に目を開いた瞬間――グラッドが動いた。

 ゴア・ゴブリードの右手の一撃を軽々と弾き、左手の剣の攻撃も同様に受け流す。その勢いに身を任せ、グラッドは一閃。剣がゴア・ゴブリードの膝を斬り裂き、体勢を崩させる。

 そのわずかな隙も見逃さない。燃えるように揺らぐ剣身が、ゴア・ゴブリードの腕を貫く。


「大破斬!!!」


 そして、首を斬り落とす――


 落ちる首を最後まで見送ったグラッドは、首が地面に落ちた瞬間、剣を静かに鞘に収めた。

 グラッドは、俺たちの方に視線を向け、少し笑みを浮かべて声をかけた。


「グレイノース!助かったぜ!」


 続けて、アルもにこやかに声を上げる。


「やっぱり、戦士が一人いるだけで全然違いますねー」


 フィーネも(うなず)きながら同意の声を漏らす。


「ほんとね、頼もしいわ」


 それを受けて、グラッドは二人に向かい、少し皮肉(ひにく)混じりに言った。


「悪かったな!頼りない戦士で!」


 その冗談は、すぐに笑いに変わった。俺も思わず肩を揺らして笑う。

 これまで、一人で鍛えて、ひたすら戦ってきた。でも、仲間と共に戦うのは初めてだ……悪い気はしない――そんな思いが胸に広がる。

 俺は深く息を吐き、ゆっくりと口を開いた。


「あのさ……」


 三人の視線が一斉に俺に向く。

 その熱い視線が、少し恥ずかしくて心臓が跳ねる。


「もしよかったら、俺のこと、グレイって呼んでくれないかな……親しい人からはそう呼ばれてるんだ」


 蒼天の翼のメンバーたちは、顔を明るくして微笑む。グラッドは俺の背中を力強く叩いた。


「よし!改めて、よろしくな、グレイ!」


「よろしくね、グレイ君!」


「グレイ君、よろしくっすー!」


 迷宮の暗く湿った空間に、笑い声と明るい声が響き渡る。その場の空気は、一気に和らぎ、戦いの緊張も少しだけ和らいだ気がした。

 やがて、笑い声が静まると、俺たちは再び迷宮の奥へと足を進めた。



ご覧頂きありがとうございます!

物語が少しづつですが、大きく動き出しています!

個人的には、まだ序章な感じなので、これからの展開を期待して頂けたらと思います!

明日も20時30分投稿です!

グレイノースが迷宮最深部で何かと出会います!

ぜひア明日もご覧ください!

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