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23、ローズを一人にできないルト王子

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「ローズ、消毒は終わったから、次は、、、」


 ルト様はそう言うと私の手を取り、私の上に覆い被さります。


「痛っ」


 私は手に痛みがあり、声が出てしまいました。


「えっ、何? 僕?」


 ルト様は訳が分からないようで焦っています。


「手が痛かったので」


 私がそう言うと、ルト様はすぐに私の手を見ます。


「何で?」


 ルト様は悲しそうに言います。

 そんな表情なんてしてほしくはないです。


「ルト様?」

「これって、あの青い花のエキスでできた赤い斑点だよね?」

「はい。素手でエキスを触って彼に投げたので、できて当たり前ですよね」

「せっかくなくなっていたのに。また、、、」

「また消えますよ」

「本当に、早く助けに行けなくてごめんね」


 ルト様はそう言うと、私の掌の赤い斑点にキスを落とします。

 その所作がとても美しくて、目が離せませんでした。


 そしてルト様が私の視線に気付き、目が合います。

 ルト様の大きな瞳は私を心配しているようで不安そうです。


 私は心配ないですよと言うように、覆い被さるルト様に抱き付きます。

 大丈夫。

 私はルト様がいれば大丈夫です。


「ローズ?」

「言いましたよね? 私はルト様といれば幸せですと。こんな傷があっても私は今、幸せです」


 だから心配しないでください。

 私はあなたの笑顔が見たいのです。


「ローズ、オーム国へ戻ったら、そのネックレスの次の物を渡したいんだ」

「ネックレス? あっ、これですよね? いつの間にかついていて、、、」


 私はあの日のことを思い出し、恥ずかしくなりました。

 だってあの日は、私がルト様に裸を見られた日なのです。


 私が気を失った時に、ルト様は私のドレスを脱がし、パジャマに着替えさせてくれたのです。

 私、裸、見られてますよね?


「ローズ?」


 私の裸を見たというのに、お忘れですか?

 私は、ルト様から離れてソファに座ります。

 ルト様も同じ動きをし、ソファに座ります。


「ネックレスはありがとうございます。どうしてこのネックレスをあの日、私とのお別れの日にくれたのかは分かりませんが、私はルト様はデリカシーがないと思います」

「デリカシー?」

「私の裸を見たのでしょう?」

「見てないよ」

「でも、ルト様が私のドレスを脱がせたのでしょう?」

「そうなんだけど、いやっ、違うのかな?」


 ルト様はお悩み中のようです。


「ルト様、もし私ではなかったら、女性を傷つけていたかもしれませんよ?」

「えっ、傷つくの?」

「当たり前ですよ。自分の知らないところで裸を見られるのですよ?」

「それなら、本当のことを言うよ」

「本当のことですか?」

「うん。本当は、僕は着替えさせてないんだ」

「えっ、でも、私はルト様が着替えさせたと聞きましたよ?」

「彼女に、そう言うように言ったんだよ」

「何故わざわざ、そのようなことを言ったのですか?」

「だって、そっちの方が最後の記憶が残るかなって。僕のこと忘れないかなって思ったんだよ。それに格好良いでしょう?」


 ルト様は拗ねたように、口を尖らせ言います。

 可愛いですね。


「それなら自分で着替えさせることもできたでしょう? 私のことを考えて女性に頼んだのですか?」

「ん? 違うよ。僕が着替えさせられなかったんだ。女性のドレスなんて脱がせたことないし」

「それは良かったです」


 私はルト様が可愛すぎてニコニコ笑ってしまいます。


「何で笑うんだよ。カッコ悪いとか思っているんだろう?」

「いいえ、女性のドレスを脱がせたことがないことが嬉しいのです」

「やっぱり、カッコ悪いって思ってるじゃん。だから秘密にしてもらったのに」

「ルト様、あの日はありがとうございます。そのお礼にですが、もう少しすればオーム国へ帰れますよ」

「えっ、でも、僕は何も見つけてないよ? この国を救う方法を」

「私が見つけましたよ」

「明日、皆様に報告いたします」

「本当? やったぁー」


 ルト様は嬉しそうにソファの上で飛び跳ねます。


「ですので、今日はルト様はお部屋へお戻りください」


 私の一言にルト様は固まります。


「何で? 僕、ここで寝るよ?」

「そんな当たり前のように言わないでください」

「当たり前だよ? だって、嫌なことがあったのに一人で寝るのは怖いでしょう?」


 そう言われると怖い夢など見るかもしれません。


「僕が傍にいるから、ゆっくり眠っていいよ」

「私が眠りましたら、ご自分の部屋へお戻りくださいね」

「え〜、一緒に寝たらダメ?」


 子どもみたいなことを言うルト様は本当に可愛いです。


「ダメです。明日は本当に忙しいですよ。明日が終わればゆっくりできると思いますので」

「ヤダ! ローズといたい」

「ルト様、ダメなものはダメです」

「分かったよ。ローズが眠るまでいるよ」

「それで良いのです」


 私はベッドに入ります。

 ルト様はベッドの横に座り、私を見ています。


「早く寝ないと僕が寝れないよ?」

「でも、そんなに見られても困ります」

「それなら、僕の昔話をしてあげる」

「昔話ですか?」

「うん。リトと僕の二人でイタズラをした話だよ」

「それは楽しそうなお話ですね」


 それからルト様は昔話を始めます。


「ローズは僕とリト、どっちが悪いと思う?」

「それは、どうでしょうか?」

「決められないの?」

「そうですね。だって私は、その場所にいないですし、その時のお二人を知らないので」

「今と変わらないよ」

「リト様もルト様も変わっております。お二人とも成長しています」

「ふ〜ん」


 ルト様は眠そうです。

 私がルト様の頭を撫でると、ルト様は目を閉じました。


 ルト様は、このままここで寝てしまうのでしょうね。

 仕方ありませんね。

 今日だけは許してあげましょう。


 私も目を閉じます。

 しかし、すぐに違和感に気付きます。

 私のベッドの中で何かが動いています。


 私は毛布を剥ぎ、その正体を確かめます。


「ルト様、何をなさっているのですか?」

「えっ、だって、一緒に寝たかったんだもん」

「もう! 自分の部屋へお戻りください」


 私はルト様を部屋から追い出しました。

 ルト様は嘘泣きをしながら自分の部屋へ戻っていきました。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。


~次話予告~

ルトはローズが心配なので、他の人を呼び、ローズを一人にさせないようにしました。

そして、ローズはレイン国の財源を見つけました。

それをレイン国の王様達に報告をします。

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