表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/26

18、ルト王子暴走?

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「ローズお姉様」


 愛くるしいお人形さんが私に向かって走ってきます。

 リズ様だとすぐに分かります。

 オーラや雰囲気、香りまでもが美しい。


「お兄様、ローズお姉様と婚約はしたの?」

「それはまだローズが落ち着いたら考えてもらうよ」

「そうなの? 私にやっとお姉様ができるのね」

「だから、まだ早いぞ」

「でも、お兄様と婚約しないなんてことあるの? こんなに格好良くて強いお兄様よ?」

「そんなこと初めて聞いたぞ。本当は思っていないだろう?」

「あっ、バレた? だって早くお姉様がほしいんだもん」


 リズ様は私の手を引いて、イアン様から逃げるように女性達の部屋があるエリアへ私を連れて行ってくれます。


 私はリズ様の弾丸トークを聞いた後に部屋へ入り、ソファへ座ります。

 疲れたなぁと思いながら外を見るとルト様がいらっしゃいました。


 私は手を振ります。

 ルト様は目をそらします。

 いつもだったら嬉しそうに手を振り返してくれるのに、どうして無視をするのでしょうか?


 ルト様に説明をしなければならないので、ルト様の元へ向かいます。

 さっきいたはずのルト様が見当たりません。


 そんなに忙しいのでしょうか?

 私は仕方なく、厨房へ向かいます。

 厨房は噂話の宝庫なのです。


 私のほしい情報があるはずです。


 私のほしい情報は、レイン国の財政状況です。

 それを知らなければ、リト様とルト様を助けることはできません。


 まずは、ルト様がこの国へ来た理由をお教えいたしましょう。

 ルト様はリズ様と婚約のために来たのではありません。

 私は、そう伺っていましたが、私には知られないように嘘をついていました。


 本当は災害最高指揮官として任務のためにこのレイン国へ来ていたのです。



 そしてリト様は、リズ様と婚約をしたいと王様に申し出たのですが、レイン国の財政状況が悪いと噂で聞いており、王様は婚約を快く承諾できなかったようです。


 それならと、ルト様がリト様の婚約のために協力を申し出たそうです。

 レイン国へ行き、財政状況を良くし、リト様とリズ様の婚約を王様に承諾させるために。


 『何年かけても必ず承諾させる』と言ってレイン国へ向かったそうです。


 リト様は、そんなルト様だけを犠牲にはできなくて、後を追うようにレイン国へ向かいました。


 お二人は私に何も言わず、私は何も知らないままでした。



 私が厨房へ着くと、使用人達の行動を観察します。

 どの方が一番偉くて、どの方が色々知っているのか。


「ローズ、ここにいたのか?」


 イアン様が私を見つけて声をかけてきました。


「イアン様? どうなさいましたか?」

「街の方で何か騒動があったみたいだから、少し出てくるよ」

「えっ、大丈夫なのですか?」

「大丈夫。また酔っ払いが暴れているんだと思うよ」

「そうなのですか。門までお見送りいたします」

「そうか? なんだか夫婦みたいだなぁ」


 イアン様は照れながら言います。


 私は、この国の王子が出向くほどの酔っ払いの騒動が大丈夫だとは思えません。

 それに、何人で向かうのかも知りたいのでお見送りを申し出ただけなのですが。


「あれ? ルト様も一緒に向かわれるのですか?」


 私はルト様の姿を見つけ、イアン様に言います。


「うん。ルトは何かあれば、一緒に行動するんだ」

「そうなのですね」

「今夜は遅くなるだろうから、リズと食事をしてから先に寝てていいからね」

「はい。いってらっしゃいませ、イアン様。それとルト様」


 私はルト様に聞こえるように言ったのに、ルト様は無視でした。

 何故そんなに私を無視するのですか?

 早く嘘をついている説明をしなくてはいけないのに。


 イアン様は私が見えなくなるまで何度も振り向き手を振ります。

 イアン様が見えなくなると、私はルト様の背中を目で追います。


 振り向けと願いながら。


 ルト様は振り向いてはくれず、落ち込みながら自分の部屋へと戻ります。

 少しすると、リズ様が私を迎えに来て、食事をした後、二人で話をしました。


 女性との会話は楽しくて、話題が尽きません。

 リズ様も可愛い顔で凄い発言をするので、私は驚き続けました。



「、、、ズ、どうして?」


 誰かの声が聞こえます。

 なんだか悲しそうに言うのはどうしてでしょうか?

 いつの間にかソファでリズ様と一緒に寝てしまったようです。


 眠くて頭が働かないです。

 瞼は重いですし、まだ起きたくないです。


『バンッ』


 ドアがいきなり開く音が聞こえました。


「リズ、ローズ、君達はこんな所で寝てたら風邪をひくだろう?」


 イアン様の大きな声に私とリズ様は飛び起きます。


「お兄様、うるさいわ。お姉様と一緒に寝れるなんて幸せだったのに」


 リズ様は私の腕に抱きついてきます。


「リズは部屋に戻りなさい」

「どうして、私だけなの?」

「お前は邪魔なんだよ」

「妹にそんなことを言うなんて、お姉様に嫌われるわよ」


 リズ様は頬を膨らまし、拗ねながら出ていきます。

 素直じゃないリズ様は可愛いですね。

 本当はイアン様が大好きなのに。


「ローズ、リズが迷惑をかけたかな?」

「そんなことはありませんよ。リズ様と話をしていると時間が過ぎちゃって、いつの間にか寝てしまってました」

「そうか、それなら良かったよ」

「今、お帰りですか?」

「そうなんだ」

「酔っ払いは大丈夫でしたか?」

「いつものことだから、なんとかなったけど、ルトが、、、」

「ルト様がどうなされたのですか?」


 ルト様の話を聞くと胸が痛くなります。


「ルトがさ、その酔っ払いに殴りかかってさ」

「ルト様が怒ったのですか?」

「そう。いつも笑っているルトが、あんなに怒るなんて思わなかったよ」

「何があったのですか?」

「それが、青い花の中毒者だと」

「青い花の、、、」


 私はその話を聞いて、急いで行かなければいけないと思いました。

 ルト様の元へ。


「イアン様、ルト様のお部屋はどこにありますか?」

「ルトの部屋はこの部屋を出て左の突き当たりだよ」

「分かりました。ありがとうございます」


 私は部屋を出て走ります。

 ルト様の元へ行かなきゃ。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。


~次話予告~

ルトを心配してローズは部屋へ行ったのに、スキンシップの多いルト。

妹だから良いよねなんて言われてローズは、妹じゃないと本当のことを言います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ