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15、双子の王子様失踪

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「ローズ、やっぱり似合うね」


 私を見てすぐにルト様は笑って言いました。

 私はなんだか照れてしまいます。


 ルト様が選んだドレスは真っ赤でした。

 似合うのか不安でしたが、ルト様が嬉しそうに言ってくれたので不安も消えました。


 私はお花の髪飾りをつけたまま真っ赤なドレスで展望台に来ました。

 ルト様も正装を着ており、大人の男性の雰囲気を(まと)っています。


「ローズ、今日はゆっくり話そうよ」

「そうですね」


 私達はたくさん話をしました。

 毎日会話をしているのに話題は尽きません。

 会話とはこんなに楽しいものなのですね。



 食事も終わり、二人並んでソファに座ります。

 星がたくさん見えて綺麗です。


「綺麗ですね」

「そうだね」


 視線を感じてルト様を見ると、私を見つめています。

 しかし、なんとなくルト様は寂しそうに見えます。


「ルト様?」

「ローズ」

「はい」

「僕は初めてローズを見た時から、傍にいて欲しいって思ったんだ」

「私を専属のメイドにするくらいにですね」


 私は初めて会った日のことを思い出し、クスクス笑ってしまいました。


「それからずっと、ローズには傍にいて欲しいって思っていたんだ」

「はい。ですので今も専属メイドなのですよね?」

「うん。でもさ、もう専属メイドは辞めてもらうよ」

「えっ」

「ローズは災害特別指揮官としてこの国を守ってほしいんだ。王様やリトの力になって欲しいんだ」

「はい。それは必ず約束します。でも、その中にルト様はいらっしゃらないのですか?」

「僕は、、、」


 ルト様は話すのを渋っているようです。

 何か私には言えないことなのでしょうか?


「ローズ、僕はレイン国のリズ嬢と結婚するよ」

「えっ」

「ごめんね」


 何故、謝るのですか?

 謝るのなら、結婚するとは言わないでください。


 私の胸は苦しいです。

 呼吸するのもやっとです。

 どうしてこんなに苦しいのでしょう?


「ローズ、ゆっくり息をして。過呼吸になっているんだよ」

「で、でき、、ない」

「ローズ、大丈夫。僕が傍にいるから」


 嘘つき。

 いなくなるのでしょう?

 私の傍から離れて行くのでしょう?


 苦しくて、息ができないまま私は目を閉じました。



 目を開けた時、自分のベッドに寝ていました。

 真っ赤なドレスは着ていません。

 あの夜は夢だったのでしょうか?


 首に違和感があり、私は鏡の前に立ちます。

 私の首にはネックレスがついています。

 真っ赤な宝石が一つ真ん中についていて輝いています。


 これは、ルト様です。

 ルト様が私にくれたのです。

 でも、いつ?


 ルト様にお礼を言いたくて、私はメイド服に急いで着替え部屋を出ます。


「あっ、指揮官殿」


 私は災害支援の仲間に声をかけられました。

 彼女は私に衝撃的なことを言います。


「ルト王子様はレイン国へと向かいましたよ」

「えっ、なんで?」

「何でと言われましても、任務なので」

「任務?」


 リズ様と結婚することが任務なのですか?

 これが、いずれやってくるはずだった国のための結婚なのですか?

 こんなに早くその時がやってきたのですね。


「しかし、昨夜は驚きましたよ」

「昨夜?」

「眠っている指揮官殿を、ルト王子様は軽々とお姫様抱っこしていましたよ。それはもう、お姫様と王子様そのものでした」

「もしかして着替えさせたのは、、、」

「はい。ルト王子様ですよ。私がすると言ったのですが、自分ですると仰って、すぐに指揮官殿の部屋へ入られました」


 私、ルト様に裸を見られたの?

 そんなこと、あるはずがありません。

 そんなこと、ルト様は、、、しそうですね。


「リト様は?」

「リト王子様は何故か部屋から一歩も出て来ないのです」

「私、リト様に会ってきます」


 私は急いで、リト様の部屋へ向かいます。

 すると、リト様の部屋の前に警備の者がいました。


「リト様は?」

「リト王子様は今は誰ともお会いしたくはないとのことなので」

「でも、訊きたいことがあるのです」

「今は無理ですので、またの機会にしていただいてもよろしいでしょうか?」

「そんな、、、」


 リト様に、訊かなきゃ。


「リト様、ルト様は何処へ行ったのですか? 私を置いて本当に行ってしまったのですか?」


 私はリト様の部屋に向かって叫びましたが、リト様の返事はありませんでした。

 私は何度か言いましたが、リト様から返事がくることはありませんでした。


 双子の王子様達は何をしたいのでしょうか?

 私を苦しめたいのでしょうか?

 でも私は、これくらいでは諦めたりしませんよ。


 私は、次の日も、その次の日もリト様の部屋へ通います。

 毎日、叫びますが全く反応がありません。

 扉に耳を当てて人の気配があるのか確認をします。


 人の気配がない気がします。

 私は警備の者にドアを開けるように言います。

 ドアを開けてびっくりしました。


 だって、リト様はいなかったのです。


 ルト様もリト様もいないなんて、理由があるはずです。

 私だけを置いていくなんて許せません。


 私だっていろんなことを言いたいです。

 私だって我が儘を言いたいです。

 私だって双子の王子様達がいなくても、一人で大丈夫です。


 でも、私を一人にするなんて許せません。

 私は怒ったら怖いんですからね。

 待っててください。

 お二人とも。


 必ず思いしらせてやりますからね。

 私を怒らせたらどうなるのかを。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。


~次話予告~

双子の王子様の行き先は分かりました。

ローズもさぁ、出発です。

レイン国へ行きましょう。

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