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13、虹とゴールドフラワーと災害最高指揮官のルト王子

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「ローズうるさい」


 ルト様は私の言葉を遮って、私の首に巻かれた包帯をほどきます。

 それを見るとルト様は顔を歪めます。

 とても辛そうに見えます。


「ルト様?」

「痛かったよね?」


 ルト様は優しく傷に触れます。

 自分で傷痕は見ていないので、どんな傷痕が残っているのか分かりませんが、ルト様に触れられても痛みはないので、それほど深い傷ではないことは分かります。


「ルト様の青い花の苦しみに比べれば、私の傷は小さなものですよ」

「ローズ、怖かったよね?」

「えっ」

「イアンからは全部聞いてるからさ」

「う、、、そ、、、」


 私の目には涙が溜まっていきます。

 視界が歪んで、もうルト様の顔も見えないほどです。


「僕があげたブレスレットを大事に守ってくれてありがとう」


 ルト様は私の頭を撫でてくれます。

 私はその温かくて大きな手を感じた時、涙が次から次へと頬を伝っていきます。


「ローズ、もう大丈夫だからね。安心してね」


 ルト様は分かっていたのです。

 私が我慢をしていたことを。

 だから、私をレイン国のお城から早く連れ出してくれたのです。


 私は泣き止んだ後、少し疲れていつの間にか寝てしまいました。

 ルト様に起こされて、ルト様の肩を借りていたことに申し訳無い気持ちになりながら目を覚ましました。


「ローズ、外を見てよ」


 ルト様に言われ、馬車から降ります。


「レイン国は雨の日が多いけど、晴れた時たまに、大きな虹が架かるんだ」

「すごく綺麗な虹ですね」


 私の目の前には、高台から大きな虹が見えます。

 こんなに素晴らしい景色を見たことはありません。


「そしてこの花」


 ルト様がレイン国の珍しい花のゴールドフラワーを持っています。


「ゴールドフラワーですよね?」

「そう。ローズが寝ている間に摘んできたんだ」

「えっ、でも珍しいお花ですよね?」

「この辺りに多く咲いてるって聞いたから、すぐに見つけたよ」


 そんな風に言うルト様ですが、手には擦り傷がたくさんあります。

 大変だったはずです。


「この花を虹に向けると、、、」


 柔らかな風に私の髪が舞います。

 そしてゴールドフラワーは、虹と同じ色になりました。


 とても美しく、私はお花を手に取りたくて、ルト様の手と一緒にお花を両手で包みます。


「私、絶対に忘れません。こんな美しい景色を見せてくれたルト様に感謝しかありません」

「ローズ、この花の別の名を知ってる?」

「えっ、別の名があるのですか?」

「うん、あるよ。七変化草(しちへんげそう)

「お花なのに草ですか?」

「この花って、本当は草なんだよ」

「えっ、そうなのですか?」

「草が花の形になっているだけなんだ。でも、美しいよね?」

「はい。とっても美しいです」

「まるでローズみたいだ」


 ルト様を見るとニコニコと笑いながら私を見つめています。


「私ですか?」

「うん。ローズはメイドでもあるし、災害特別指揮官でもある。それに、どんな場所にも適応できるし、強い意思もある」

「私、七変化なんてできませんよ?」

「できなくていいんだよ。ローズは僕を飽きさせない。この七変化草(しちへんげそう)のように色んなローズを見せてくれるんだ」

「ルト様、本当にありがとうございます。またいつか、この場所に二人で来ましょうね?」

「うん」


 ルト様は可愛い笑顔で返事をしてくれました。

 いつか必ず、また二人で来たいです。

 私、レイン国が好きになりました。



 私達は馬車へ戻り、オーム国へ帰ります。

 馬車の中で、私の手の上にルト様が手を重ねていました。


 温かく大きな手に、安心感が生まれます。

 私はルト様の手が本当に大好きです。


 オーム国のお城へ着くと、王様が心配そうに迎えてくれました。

 大事な災害特別指揮官でもあり、双子の王子様の専属メイドである私を失うことは許されないそうです。


「ルト、お前がこれからはローズを支えろ」

「えっ、支える? 僕が?」

「そうだ。災害最高指揮官としてローズを支えるんだ。これは命令だ」

「はい。王様」


 えっ、ルト様が私の上官ですか?


「ローズは少し訓練をしてみないか?」

「王様、それは私も思っていました。自分の身は自分で守らなければいけないと、今回の出来事で必要だと思っていたのです」

「その役目をルトにさせよう」

「えっ、僕? ローズは僕が守るから強くなる必要はないよ?」

「ルト、お前がいつまでもローズを守れると思うなよ」

「は~い」


 今日のルト様は聞き分けが良いようです。

 いつもは我が儘ルト様なのに。


 次の日からルト様が講師になり、私に護身術を教えてくれました。

 身の守り方、軽やかな身のこなし方も教えてくれました。


「ルト様、このナイフは小さいですね? こんなに小さいと扱い方も難しそうです」

「これはローズ用を特別に作って貰ったんだよ」

「私のナイフですか?」

「そう。ほらっ、ここに薔薇のマークをつけたよ」


 柄の部分に薔薇のマークがついています。

 私専用のナイフ。

 嬉しいですが、これを使わないのが一番良いですね。


「さっき、身の守り方を教えたから、僕を悪い奴と思ってやってみてよ」

「はい」

「それじゃあ、やるよ」


 ルト様が私に襲いかかります。

 私はルト様に教えてもらった通りにします。

 教わった通りにすると、成功しました。


「完璧だね。それじゃあ、これは?」


 ルト様は私を押し倒します。


「きゃっ」


 私は倒れますが、ルト様は私の上に覆い被さります。

 この状態から逃げろとは?

 そんなの教えてもらっていませんが?

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。


~次話予告~

ルトからの護身術の難問をローズは簡単に解きます。

そしてルトからレイン国へ行くと告げられたローズですが、すぐに戻ると思っていました、、、。

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