大型攻撃機開発小史
### ⽇本の⼤型攻撃機開発史
#### **1. 試製97式⼤型陸上攻撃機の誕⽣と試験運⽤**
1. **開発背景**
- 97式⾶⾏艇の成功を受け、これを元にした陸上運⽤に適した⻑距離偵察・
対艦攻撃機の試作を海軍が要求。これに応じて川⻄航空機が試作したのが「試
製97式⼤型陸上攻撃機(試製97式⼤攻)」である。
- 英国との技術交流や共同作戦を視野に⼊れて開発が進められた。
2. **設計と性能**
- **エンジン**:四発空冷エンジン(1,000⾺⼒級)
- **最⾼速度**:400km/h
- **航続距離**:5,000km(試作段階)
- **武装**:爆弾搭載量2トン、13mm機銃5基
- **⼨法**:
- 全⻑:25.6m
- 全幅:38.0m
- 全⾼:7.2m
- **重量**:
- ⾃重:14,000kg
- 最⼤離陸重量:24,000kg
- **任務**:偵察、対艦攻撃、物資輸送
3. **試験運⽤**
- 試製97式⼤攻は少数量産され、地中海戦線での試験運⽤に投⼊された。
- **主な作戦地域**:北アフリカ、地中海東部
- **役割**:
1. 英国艦隊との共同作戦で偵察および敵輸送船団への攻撃。
2. 枢軸国軍との戦いでの補給路妨害。
3. 地中海諸島間の偵察および物資輸送。
- **成果**:マルタ島近海で枢軸国輸送船団への攻撃に成功。
- **課題**:防御⼒の脆弱性や⾼⾼度性能の不⾜。
#### **2. 2式⼤型陸上攻撃機の開発と活躍**
1. **開発背景**
- 「13試⼤型⾶⾏艇(後の2式⾶⾏艇)」の設計を元に開発された。特に主
翼、尾翼はそのまま流⽤している。
- 試製97式⼤攻の運⽤データを基に、航続距離、防御⼒、搭載量を強化。
- 英国との連携作戦での使⽤も考慮され、技術的な互換性が重視された。
史実のコンソリデーテッドB-24と同様
2. **設計の特徴**
- **エンジン**:1,600⾺⼒級空冷エンジン×4基
- **最⾼速度**:470km/h
- **航続距離**:6,500km(爆弾搭載時4,000km)
- **武装**:
- 爆弾搭載量:最⼤4トン
- 防御装備:20mm機関砲×5基、13mm機銃×5基(機⾸、尾部、側⾯、上
部に配置)
- **⼨法**:
- 全⻑:24.0m
- 全幅:33.0m
- 全⾼:9.0m
- **重量**:
- ⾃重:16,000kg
- 最⼤離陸重量:28,000kg
- **⾼度性能**:最⼤⾶⾏⾼度10,000m
3. **実戦配備と運⽤**
- **ヨーロッパ戦線**
- 1943年から欧州戦線に派遣され、⽇英同盟下の共同作戦で戦略爆撃を実
施。
- **主な作戦**:
1. **ルール⼯業地帯空襲**:英国軍と連携し、ナチスドイツの軍需⽣産拠
点を攻撃。
2. **地中海戦域での共同作戦**:英国軍と協⼒し、北アフリカ戦線での敵
補給路遮断。
4. **成果と評価**
- 成果:
- ルール地⽅での⼯場破壊、港湾施設の爆撃成功。
- ⻑距離偵察と爆撃の両⽅で⾼い成果を上げ、柔軟な運⽤が可能。
- 課題:
- 防御⼒は改善されたものの、新型迎撃機には対抗が難しい場⾯もあった。
#### **3. 4式⼤型陸上攻撃機(連⼭)の開発と戦争後期の運⽤**
1. **開発背景**
- 枢軸国陣営の航空戦⼒の増強に対応し、さらなる⾼性能爆撃機の必要性が
⾼まった。
- 戦略爆撃能⼒を強化するため、4式⼤型陸上攻撃機(連⼭)が開発された。
2. **設計の特徴**
- **エンジン**:2,200⾺⼒級空冷エンジン×4基
- **最⾼速度**:570km/h
- **航続距離**:6,000km(爆弾搭載時4,500km)
- **武装**:
- 爆弾搭載量:最⼤6トン
- 防御装備:20mm機関砲×4基、13mm機銃×8基
- **⼨法**:
- 全⻑:22.7m
- 全幅:33.1m
- 全⾼:7.6m
- **重量**:
- ⾃重:18,000kg
- 最⼤離陸重量:30,000kg
- **⾼度性能**:最⼤⾶⾏⾼度12,000m
3. **戦争後期の活躍**
- **主な作戦**:
1. **ドイツ本⼟空襲**:英国爆撃機部隊とともにナチスドイツの⾸都ベル
リンや⼯業地帯への⼤規模空襲を実施。
2. **地中海での戦略爆撃**:枢軸国占領地域の重要拠点を攻撃。
4. **評価**
- ⾼い爆撃能⼒と航続距離が評価され、枢軸国の戦争遂⾏能⼒を著しく削ぐ
ことに成功。
- 防御⼒の強化により、⽣存率も向上。
#### **4. 戦後の空軍編成と8式⼤型陸上攻撃機「富嶽」**
1. **陸海軍航空部隊の統合**
- 戦後、陸軍と海軍の航空部隊は統合され、新たに⽇本空軍が編成された。
- 空軍は戦略爆撃、輸送、偵察の分野で⼀貫した運⽤を⽬指す。
2. **8式⼤型陸上攻撃機「富嶽」の開発と進化**
- **当初の設計(レシプロエンジン型)**:
- **エンジン**:レシプロエンジン×6基
- **最⾼速度**:650km/h
- **航続距離**:12,000km(ハワイから⽶国⻄海岸への空爆が可能)
- **武装**:爆弾搭載量最⼤8トン
- **⼨法**:
- 全⻑:46.0m
- 全幅:63.0m
- 全⾼:10.0m
- **重量**:
- ⾃重:50,000kg
- 最⼤離陸重量:80,000kg
- **富嶽改(ターボプロップ型)**:
- **エンジン**:ターボプロップエンジン×6基(各5,000⾺⼒)
- **最⾼速度**:720km/h
- **航続距離**:14,000km
- **武装**:爆弾搭載量最⼤8トン
- **⼨法**:レシプロ型と同⼀
- **重量**:
- ⾃重:52,000kg
- 最⼤離陸重量:85,000kg
- **特徴**:
1. 燃費の向上により、戦略爆撃と⻑距離偵察での効率が⼤幅に改善。
2. ⾼⾼度での運⽤能⼒が向上し、迎撃機の脅威を軽減。
- **富嶽改Ⅱ(ジェットエンジン型)後に剣⼭に名称変更**:
- **エンジン**:ターボジェットエンジン×6基
- **最⾼速度**:850km/h
- **航続距離**:15,000km
- **武装**:爆弾搭載量最⼤10トン
- **⼨法**:
- 全⻑:50.0m
- 全幅:75.0m
- 全⾼:12.0m
3. **第⼆次⽇⽶戦争での運⽤**
- **主な作戦**:
1. **ハワイ基地を拠点とした⽶国本⼟空襲**
- 富嶽および富嶽改は、主にハワイから⽶国⻄海岸の都市や軍需⼯場を対
象とした戦略爆撃を実施。
- サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトルなどの重要都市への攻撃で
戦争遂⾏能⼒に⼤きな影響を与えた。
2. **⻑距離偵察と補給路の妨害**
- ⽶国の補給線を断つための広範囲な偵察と攻撃を実施。
4. **評価**
- **成果**:
- 富嶽と富嶽改の戦略爆撃は、⽶国本⼟への直接攻撃を可能にした。
- ⾼⾼度かつ⻑距離運⽤により、迎撃の難易度を上げることに成功。
- **課題**:
- 巨⼤な機体と複雑な整備要求により、特に剣⼭の参加する作戦回数は限定
的だった。